見出し画像

東西ドイツ統一30周年記念日に思ったこと

10月3日は東西ドイツ統一記念日であったが、今年はちょうど東西ドイツ統一から30周年記念日ということで、あちこちで統一を振り返るような記事や番組がたくさん出ていた。

毎年、この記念日には異なる地で公式式典が開催されるが、今年はベルリンから近い旧東ドイツのポツダムで式典が開催された。大きなホールでコンサートが行われ、音楽が流れる間に様々なスピーチやパネルディスカッションが行われていた。テレビで様子を見ただけだが、COVID19の影響もあって縮小したようだけれど、参加者はソーシャルディスタンスを取ってかなりの距離を開けて座っており、去年の教会で開催されていた式典とは大きく異なるように思われた。

元々経済的に非常に発展していた西ドイツに、東ドイツが統合される形で発足した統一ドイツ。冷戦終結後、世界で社会主義体制は否定され、資本主義側の論理で進んで行ったこともあってか、旧東ドイツ地域のことはネガティブな視点で語られることが多い。

30年前よりかなり改善しているが、高い失業率、低い平均給与に大企業の不在。そんな環境からか人口減少がずっと続いていて、旧東ドイツ地域の住民の大半が二級市民と感じているという最近の調査も耳にした。そんな閉塞感からなのか、極右政党に対する支持も旧東側で高い。

最近はテスラ・モーターズがベルリン近くの旧東独地域に工場を建設したり、旧東独地域の大学に進学する人が増えていて、西から東に移住する人口が増加し続けているそうだが。


私自身は、極右政党への支持が強い東側地域についてはあまりいいイメージもなかったが、東側の地域にドイツ的な文化の栄えた地域がたくさんあって、いつも行ってみたいと思っていた。でも、見た目が明らかに違う私は、旧東側に行くときは気をつけないと行けないよと冗談のようにこの辺りで言われたこともあるくらいであった。

でも、今回、色々な情報を目にして、東西ドイツ後の統一後、ネガティブに扱われていた旧東ドイツ側の地域の人たちにとっては、それまでの生き方やあり方を否定され、一からやり直さなければ行けなかった苦難の時期でもあったのだなということを、私自身は想像できるようになった。 最近来た私のようなよそ者には分かり得ないけれど、ベルリンの壁の崩壊を誰もが喜んだけれど、実際に国が統一された後に手放しで喜べなかった人の存在は少なくなかったのだと思う。極右政党への支持は、そうやって取り残されてしまった人たちの閉塞感から繋がっているのだなということを意識させられた。


なお、この統一記念日は祝日であるが、2020年はちょうど祝日が土曜日に重なったものの、振替休日は特に設けられなかった。有給休暇が平均30日与えられ、ほとんどの人が使い切るドイツでは、振替休日は不要ということなのだろう。

今の夏はコロナの影響で、国外旅行をするドイツ人の数が大幅に減少したが、旧西側地域から旧東独地域を旅行する人がとても多かったらしい。 私も今年の終わりに行きたいと思っていたのだが、コロナの患者数が日に日に増えて行く一方で雲行きが怪しくなって来た。もっと落ち着い手から旧東独地域をゆっくり見てみたいと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?