見出し画像

The Crown シーズン5 エピソード5 カミラゲート事件

いよいよ、チャールズのカミラゲート事件のエピソードです。

チャールズ皇太子(当時)と愛人のカミラ夫人(当時既婚)の電話内容が盗聴され報道されました。
この内容が本当に衝撃的で
君のパンティーになりたい。君のタンポンになりたい。
というチャールズの発言が全世界に報道されてしまいます。
ただの不倫スキャンダルというレベルを越えて
キモすぎて人間性を疑われる内容。

私も当時1992年にこの報道を見聞きし
うっわ・・・引くわ・・・と思った記憶があります。

が、今回、The Crown で
その電話内容の一部始終が詳細に流れ
いろいろと発見がありました。

チャールズはカミラにスピーチの内容を相談していた。

電話の内容の前半は、主に翌日のスピーチ内容の相談でした。
チャ「秘書官が言葉が強すぎるって言うから直したんだけどどう思う?」
カミ「そうね、あなたの思う通りだけど、ちょっと物足りないくらいの方が良いのかもよ」
とたしなめるカミラ。
The Crownの内容がどこまで本当なのかはわかりませんが、ドラマ内ではこのときクリスマスシーズンでカミラはご主人や子供たちと団欒していた最中に、チャールズからの電話で呼び出されてました。

チャ「スピーチの内容を聞いて欲しいんだ」
カミ「長くなるかしら?」
チャ「すぐだよ、すぐ、すぐ」

「すぐ」のわけがありません。それなりの長さのスピーチを聞くんですから。
カミラにとっては
(なんで今、電話かけてくる?しかも主人が電話とってるし)
と正直、イライラ案件のはずです。
毎週末、習慣のように会っていた二人ですが
家庭崩壊していないカミラにとっては
クリスマスシーズンは家庭優先でチャールズとは会えなかったようです。
だったら余計に、家に電話かけてくるなって話です。迷惑すぎる。

それでもチャールズはカミラにスピーチの内容を相談したかったんですね。
どうしても。
もう、これは不倫というより依存です。
皇太子の責務をやりとげる自信のないチャールズを
カミラだけがたしなめて、落ち着かせて、自信を持たせることができたんでしょう。
若くて甘えん坊のダイアナにカミラの代役は無理な話。

このスピーチ相談っていう電話内容に、夫婦間の深すぎる溝が露呈しているなと思いました。

チャールズの子宮回帰願望

「君のタンポンになりたい」という言葉は
電話の流れでは性的な意味合いでした。

でも、考えてみると、タンポンそのものに性的興奮を抱く男性っています?
いるのかもしれないけど相当少数派ですよね。パンティーならまだしも。
だからこそフェティッシュすぎて余計に気持ち悪い印象だったのですが。

カミラとチャールズの甘え構造から連想して
チャールズはカミラに母親的な役割を求めているんだろうなと私は思いました。
「タンポンになりたい」って
つまりはカミラの子宮に入って、胎児になりたいんだってことでは?
チャールズは無意識でしょうが
子宮回帰願望の深層心理の表れだと思いました。

タンポン発言を子宮回帰願望だと考えると
母親不在、愛情不足で育ったチャールズをすこし可哀相に思えてきます。
それでもまだキモさは残りますが。
それをカミラが笑って聞き流すところに
「カミラじゃなければだめ」な理由そのものなんだと思います。

The Crown でのタンポン発言の描き方

The Crownのシーズン3、4のチャールズ役はジョシュ・オコナーが演じていました。
https://www.elle.com/jp/culture/celebgossip/g35528521/the-crown-cast-210222/?slide=8
ノッポで猫背、自信なさげでいつも不機嫌なチャールズ。
まさに子宮回帰王子というイメージにピッタリでした。

でもシーズン5で演じているのはドミニク・ウエストという俳優。
この方がなんというか、ガタイがいい。
猫背ではなく肩幅が広く、真っ白な歯をキラリと見せて笑い
発声も腹の底から出すし、自信ありげなイケオジそのもの。
なんかキャラ変わってない?
という違和感があったのですが
このタンポンエピソード5を見たとき
あえてキャラ変させたんじゃないか、必然性があったんだと思いました。

「君のパンティになりたい」からの「君のタンポンになりたい」という
しむけんの変なオジサンが最も似合うようなセリフを
まるで「君の瞳にカンパイ」的なモードでサラッと言います。
かなり変態感を払拭させた演出です。

タンポン発言が公になって落ち込むチャールズに
妹のアン王女が会いにきて彼を慰めて言います。
「二人はまるでティーンエージャーみたいに愛を貫いてて
 微笑ましいとさえ思ったわ」

しばらくすると、チャールズは好感度下落を挽回すべく
若者を支援する基金を設立し、熱心に活動をします。
その姿を良さげな曲を流しながら引きで撮っています。
そのシーンは仕事のできるかっちょいいイケオジ。
その様子をアン王女が「チャールズは強くなったわ。」と称えます。

つまり、The Crown ではこのタンポン発言を
ものすごくフォローしつつ描いたんですよね。
チャールズとカミラは愛を貫いてるわけだし
チャールズは過ちを受け止め、社会に貢献しようとしているって。
「変態発言、キモッ」で終わらせないよう最大限の配慮をしてます。

だからこそのドミニク・ウエストなんだなーと思いました。
これを前シーズンのジョシュ・オコナーのままだったら
アン王女の「チャールズは強くなったわ」に説得性が出づらいでしょう。

The Crown は君主制を支持しているのか、批判的なのか、どっちかというと
なるべく中立の立場で面白おかしく人間ドラマを描こうとしているのだと思います。
だからこそ、あまりにネガティブなエピソードに関しては
なるべく衝撃を減らそうとかなり工夫してるんだなーと思いました。

さて、まだ全部見てませんが、続きを見るのが楽しみです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?