コロナ禍に造血幹細胞提供(骨髄提供)をしてきました・④
※この記事は、最後まで無料で読めます。
ということで、前回からの続きです。予告した通り、今回は健康診断と自己血採血について話をしていきたいと思います。
3回目の適合通知
適合通知を受け取った当日~適合通知から75日目(最終同意面談) ⇨ _③へ_
適合通知から78日目(ドナー手帳交付)
骨髄バンクからA4サイズの速達が届きました。入っていたのは骨髄採取施設並びに採取予定日の案内でしたが、他にも多くの同封物がありました。
①骨髄採取施設並びに採取予定日の案内
採取施設は政令指定都市にある病院で、採取予定日は適合通知から 113日目という内定を既に知らされていましたが、採取医の名前を加えて正式な案内が来ました。
②健康診断の予定通知
健康診断の日は、適合通知から82日目に決まったとのこと。
③採取に伴う入院の予定通知
入院予定日は、適合通知から112日目。入院は採取日の前日になります。
④交通費請求書、返信用封筒
交通費については、都度請求も可能なようですが、基本的には以降の手続きで発生する実費を後日にまとめて請求することになります。健康診断から術後検診までの交通費を記入していく欄と交通費を受け取る振込口座の記入欄があり、術後検診後またはコーディネート終了後、必要箇所を埋めて返信用封筒で骨髄バンクに郵送します。
⑤骨髄・末梢血幹細胞ドナー手帳
ドナー手帳は、採取施設情報や造血幹細胞の提供スケジュールなどをドナー自身で記入します。ドナーが造血幹細胞を提供した記録として保管するもので、医療機関の受診時や健康診断の時に医師に見せるなど、ドナー自身の健康管理に使います。
適合通知から81日目
担当コーディネーターから健康診断の前日確認をする電話が入り、当日の待ち合わせ場所を確認しました。
適合通知から82日目(採取前健康診断)
自宅からバスで地元駅まで出ると、まずはいつもの理髪店へ行きました。混んでいたら別日にすることも考えていましたが、店が空いていたのでそのまま髪を切ってもらいました。
入院に備えて髪を短くしておきたいと思っていたものの、新型コロナウイルスに感染するリスクを大きくする訳にはいきません。コロナ禍中も通ってきた理髪店で、感染対策をしっかりしている店舗なのは分かっていましたが、入院直前よりも未だ 1カ月間の余裕が有る内にと考えてこの日に散髪を済ませておくことにしました。
散髪を終えると、今度は電車を乗り継いで政令指定都市にある採取病院へ。乗換駅からは出ている本数も多いため、地元駅からの出発で遅れなければ遅刻する心配はなさそうです。
採取病院はこれまで行ったことのあるどの病院よりも大きく、若干テンションが上がりながら待ち合わせ場所の広い受付ロビーまで行くと、先に来ていた担当コーディネーターが私を見つけてくれてすぐに合流できました。
2人で処置室へ移動すると担当コーディネーターが看護師に用件を伝えて、ここで採取医を待つことになりました。先に院内コーディネーター(※)の方が来られたため簡単に自己紹介を受けた後、血圧や体重を測って処置室の一室に通されました。
※骨髄バンクのコーディネーターと血液内科の医師が直接やり取りをすると医師の事務負担が大きくなるため、病院側で調整業務や報告書管理を行っているコーディネーター
処置室で 5分ほど待っていると採取医のお医者さんも来られたので、この日の手続きが始まりました。
健康診断の前に、採取病院が入院時に必要となる診察券を用意してくれていたため、名前等に間違いが無いことを確認して受け取りました。その後、採取医から骨髄採取に関わる様々な事項に関して説明を受けつつ、採取病院宛の同意書に署名をしていく時間が取られました。
①骨髄採取同意書
手術の概略、術後に予想される合併症などの危険性とその対処方法について採取医による説明があり、説明を理解した上で同意書に署名をします。
②抗生物質によるアナフィラキシー防止のための問診票
術後、ドナーは細菌の増殖を抑える抗生物質を点滴されることになるため、花粉症や食物アレルギーなどアレルギーの有無、服用して副作用が出たことのある薬について問診に答えます。
③自己血採血輸血の説明及び同意書
事前に採血・保管しておいたドナーの自己血を手術中に輸血して骨髄採取に伴う貧血を予防することについて、目的や留意点、用意する血液量と採取日に関する説明があり、説明を理解した上で同意書に署名をします。この時に直近で献血した日付や健康診断の結果が出揃う時期から各調整をしており、適合通知から97日目に全血 400mlの採血をする予定となりました。
④深部静脈血栓症・肺塞栓症の予防についての説明同意書
ドナーは全身麻酔による手術から手術当日の夕刻までの長時間、寝たきり状態で血流がゆっくりとなるため、血栓が血管に詰まる所謂エコノミークラス症候群になる危険性が高くなります。その対策として、弾力性ストッキングを使って下肢・ふくらはぎに適度な圧力をかける血栓予防の処置をすることに関して、説明を理解した上で同意書に署名をします。
⑤非血縁者間骨髄・末梢血幹細胞移植における検体保存事業の同意書
造血幹細胞移植の成績を向上させる研究に使用するため、研究用の検体として 2ml程度の血液を提供することについて、説明を理解した上で同意書に署名をします。検体保存事業については同意しない自由もあり、一度同意しても後日に撤回することが出来ます。
⑥入院前検査説明同意書
新型コロナウイルス感染が蔓延していることから、入院に際しては 2営業日前に PCR検査を受けて陰性であることを確認する必要があります。その入院前の PCR検査について、説明を理解した上で同意書に署名をします。この時に新型コロナウイルスワクチンの接種状況を聞かれたため、接種済証を出して確認をしました。
一通り説明が終わると、同意書のコピーを取った採取医から何か質問は無いかと聞かれました。しかし、私は相変わらず特に聞きたい質問が出てこなかったため、「他のドナーの方たちは、こういう時、どんなことを質問しているのでしょうか?」と以前から気になっていたことを聞いてみました。
採取医は、こころよく手術当日の流れを説明した上で(朝 9時に手術室に入って麻酔をし、体位をうつ伏せにして骨髄を採取。まだ麻酔の残ったぼんやりとした状態で11時30分頃に病室へ戻る予定)、術後の痛みを心配して聞かれることが多いといった話をしてくれました。
他のドナーの方々が痛みを不安に思う感覚は理解しているつもりですが、私にとっては「痛そうならやらない」という話でもありません。また、麻酔から目が覚めた時に気にならない程度に弱い痛みなら放っておくでしょうし、我慢が要るぐらい強い痛みなら我慢すること無く痛み止めを貰ってさっさと対処する話だと考えてきました。採取医の話を聞きながら、「『今、この場で聞かなければ』と思うような心配事は、やはり無い」ということを、私は再確認することができました。
その後、尿検査、血液検査(この日も採血管 6本分)を終えると採取医や院内コーディネーターと別れて、担当コーディネーターに付き添われて検査室の有る病棟へ移動。心電図、肺活量、胸部X線検査を行いました。
健康診断を終えた後は入院受付前に移動して、採取病院の入院案内を受け取りました。担当コーディネーターから、入院当日は午前11時までに採取病院へ入って受付を済ませて昼食は病室で食べる予定であること、コロナ禍での入院であるため病室を出てコンビニに行ったりしなくて済むようにお茶など必要な物は事前に準備して、全部持って病室へ入って欲しいことなど、入院についての説明を受けました。
またこの後のこととして、今日行った健康診断の結果が出揃い次第、医師たちが集まって手術を実施できる健康状態かどうかの協議が行われ、そこで了承されると改めて採取日が正式決定となるという話がありました。
この日の最後に、入院前 PCR検査の提出ボックスに案内されました。検査結果を入院可否の判断に間に合わせる都合上、入院 2営業日前に採取した検体をその日の午前11時までに必ずここへ提出して欲しいとのことでした。
適合通知から93日目
昼過ぎに担当コーディネーターから健康診断の結果に問題は無かったとの電話が入り、骨髄採取が正式決定。自己血採血も、予定通りに97日目の午後から行うことになりました。
適合通知から95日目
この日、担当コーディネーターから電話が入りました。自己血採血の前日連絡には 1日早いため「キャンセルか?」と思いましたが、内容はいつもの前日連絡でした。
自己血採血の当日は担当コーディネーターが病院に来られないという話で、健康診断の時に使った処置室で「自己血採血に来た」と伝えれば後の対応をしてもらえるようにしておくとのこと。
担当コーディネーターが居ないと不安ということもないため、了解したことを伝えて電話を終えました。
適合通知から97日目(自己血採血)
自己血採血は午後からの予定ですが、この日は病院へ行く前に寄りたいところが有るため、昼前に自宅を出ました。
バスに乗って地元駅に出た後、駅から電車に乗って途中下車。病気平癒にご利益があるという神社まで足を伸ばして、自分の手術の無事と患者さんの回復をお願いしてきました。ドナーとして出来ることは健康な状態で予定通りに手術へ臨むことぐらいですが、神社へのお参りは屋外で済ませられることもあり、気になったことはやっておきたくて行ってきました。
神社から途中下車した駅に戻り、今度は採取病院まで乗車。寄り道をする予定の分、時間を早め早めに行動してきたため、病院には自己血採血の予定時間よりも40分以上早く着きました。
適当に時間を潰しても良かったのですが、採取病院に早く着けるついでに、気になっていた入院着レンタルについて話を聞いておくことにしました。レンタル窓口の方によると、この病院では替えの入院着をスタッフが病室まで届けるようになっており、契約は病室が決まった後で来て欲しいとのこと。この日に契約できるなら済ませておきたいと思っていましたが、話を聞いて心配事が 1つ減ったので良かったです。
病院に入っているコンビニでコーヒーを買って、休憩スペースで一息。予定時間の10分前ぐらいに処置室まで移動して、看護師さんに、骨髄提供のドナーで自己血採血に来たことを伝えました。しっかり話は通っていて、採取医が来るまで処置室前の待合スペースで待機することになりました。
輸血係の看護師が採血の準備をしているのを眺めつつ、先に来られた院内コーディネーターと合流。採血前に血圧を測ることになり、今日も平常値であることを確認しました。
採取医を待っている間に「相部屋だったら耳栓が要るかもしれないと思っていて、病室はどんな感じですか?」と、気になっていたことを聞いてみたところ、個室を用意することは絶対という返答でした。ただし、ナースコールが鳴ったり、他の病室の音が気になったりは有るとのこと。
予定時間の少し前に採取医が到着して、今日の自己血採血について簡単な説明がありました。これまでの献血で気分が悪くなったことは無いかなどの確認をされた後、処置室のベッドに移動。先ほど採血の準備をしていた輸血科の看護師も補助について採血が始まりました。
要領は、いつもの献血と同じ。採取医のお医者さんの穿刺は流石の巧さで、穿刺部位が疼くこともなく採血は順調に進んでいきました。こまめに体調変化は無いかと聞かれながら、10分ぐらいで採血終了。再度体調について聞かれましたが、特に変化は感じませんでした。輸血科の看護師が自分の血を運んでいくのを見ながら、ベッドに横になったまま手渡されたパックのお茶を 1本飲み切りました。
ベッドから背もたれ付きの椅子へ移動すると、入院から退院までの標準的な経過を示した『経過表』を渡されて、入院中の流れについて簡単な説明を受けました。そこで何か心配事は無いかと聞かれたので、病室について気になっていたことを質問しました。
病室は血液内科のフロアに個室を用意する予定で、部屋番号が確定するのは入院前日になるとのことでした。また、ノートPCなどの持ち込みは可能であるものの、病院としてはネット回線の提供をしていないとのこと。ただし、ポケットWi-Fi などを持ち込んで、自分でネット環境を作ることは問題無いという話でした。
最後に院内コーディネーターから、新型コロナウイルス感染が蔓延している状況下での入院に必要な物として、 PCR検査用の容器と健康調査シートを受け取って各々の説明を受けました。
PCR検査は唾液を採取する方式で、入院 2営業日前(今回は適合通知から110日目)に唾液をとって午前11時までに病院へ提出しに来なければならないということでした。
もう一方の健康調査シートは、入院当日を含む入院前の 2週間について毎日体温を測り、咳など呼吸器症状の有無を記入して、入院当日に病院へ持ってきて提出するもの。もちろん、新型コロナに限らず体調に変化があった場合は、すぐに病院へ知らせて欲しいとのことでした。
自己血採血を終えて病院を出ようとしたタイミングで担当コーディネーターから電話が入ったため、今日の手続きを無事に終えたことを報告しました。
適合通知から109日目
昼過ぎに、担当コーディネーターから PCR検査の前日確認の電話が入りました。明日のことについて簡単な確認事項と、体調に変わりないことを伝えました。健康調査シートに従って毎日体調チェックをしていますが、体温も36度前後で健康な状態を維持しています。
適合通知から110日目(PCR検査)
もう少し寝ていても間に合うものの朝 5時前に目が覚めてしまったため、朝一で PCR検査用の容器に唾液を採取すると、採取病院まで出かける準備を始めました。
準備をしながら通勤ラッシュには飛び込まない方が良いだろうと思い直し、通勤ラッシュの終わりぐらいに合わせて家を出ました。バスと電車を乗り継いで採取病院に到着したのは午前10時前。
既に結構な数の検体が入っていた提出ボックスに自分の検体を提出すると、他に用事は無いため、採取病院の最寄り駅に戻りました。交通費は骨髄バンクに請求できるとはいえ、これだけのために地元から政令指定都市まで出てくる通院時間は、必要なことだと分かっていてもやはり負担は感じます。
自分が自分のために新型コロナ感染の有無を知りたくて検体を運んでもらうだけなら、バイク便でも良いのかもしれません。しかし、手違いで採取病院に提出できていないと骨髄採取手術、患者さんに影響が及ぶ訳で、結局は、ドナー自身で行くしかない手続きだったと思います。
再び電車を乗り継いで地元駅まで戻ると、入院で必要な日用品を揃えるためにドラッグストアに寄りました。シャンプーなどのお泊りセットはちょうど良いサイズの商品があってコンパクトにまとまりましたが、病院内の喫茶店へ行けない分としてペットボトル入りのアイスコーヒーやフレッシュなどを買うと、結構かさばる量になりました。荷物はなるべく小さくしたかったのですが、当日はちょっと大変そうです。
この日の晩、担当コーディネーターから電話が入りました。 PCR検査の結果は陰性で問題無く、予定通りの日程で入院が決まったとのこと。
いよいよ、骨髄採取をする日が迫ってきました。
適合通知から112日目(入院)~同115日目(退院) ⇨ _⑤_ へ
適合通知から116日目(退院翌日)~同255日目(厚労相感謝状) ⇨ _完_ へ
入院にあたって準備した物リスト
基本的には、病院から渡された入院案内に沿っています。
私は使わなくて済むように髪を短くして入院しましたが、ヘアドライヤーなども事前に言っておけば問題なく持ち込めるようです。
その他として。病院食は味が薄いというイメージだったため、当初はふりかけを買うつもりでいましたが、入院当日の朝に病院のコンビニでプリンを選んでいる間に買うのを忘れてしまいました。実際にふりかけが欲しくなったのは味が淡白だった 1食だけで、他の 6食はどれも美味しく、ふりかけは無くても困りませんでした。
もう一つ。術後の状態がどうなるか分からなかったため、ドラッグストアの介護コーナーで見つけたドライシャンプーを念のためにと買っておいたのですが、これは使わずに済みました。
入院経験を持つ家族の話などを聞くとふりかけが要らなかったのは献立の巡り合わせが良かっただけの可能性もありますが、ドライシャンプーの購入はさすがに大袈裟だったかもしれません。
④のあとがき
以上、健康診断と自己血採血についてでした。
この時期は、政令指定都市にある採取病院まで出かけて健康診断や自己血採血などをこなしつつ、入院に向けて荷造りをしたり足りない物を買いに行ったりと、何かとやることが多かった印象です。
2週間分の健康調査シートを受け取った時は、正直、「期間が長いなぁ」と思いました。しかし、私が感染症に罹って手術が延期になるような事態は引き起こしたく無かったため、毎日の検温・体調チェックで不調が無いことを確認していくのは、自分にとっても安心材料となっていました。
次回は、入院から退院までのお話をする予定です。(了)
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