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52歳のうち29~43歳 ステージママ編②

お兄ちゃんは、オーディションに落ちたら悔しくて泣く子だった。
忘れもしない3歳の時、よちよち歩きのベビちゃんと一緒の撮影。
手をつなぎニコニコするお兄ちゃん、
でもベビちゃんが歩いていってしまう。
背景が白いホリゾントのスタジオだったが、白の外まで歩いては、
ママがベビちゃんを抱っこして戻すの繰り返し。
さすがのお兄ちゃんも笑顔が消えた。
「もうこの子やだ」
「もうやりたくない」
と言葉に出さなかったものの私には、そう言ってるように見えた。

その時、カメラマンさんがお兄ちゃんをだっこしホリゾントから出して隣の部屋に。
「プロなんだから、お仕事だからしっかりやろう!」と厳しく言われた。
意味もきっとわからないけど怒られてるのは、わかったのだろう。
初めて撮影で泣いた。

あ~今日は撮れないかな、マネージャーに電話しなきゃ、
セカンドさんいないし、困ったな~と覚悟を決めた私。

ところが、涙を拭いてホリゾントに入っていったお兄ちゃん。
とても驚いた。
笑顔でベビちゃんと手をつないだ。

無事に撮影が終わり、カメラマンさんがしゃがんで
「ちゃんと仕事ができて偉かったね、また会おうね」と声をかけた。
その後、そのカメラマンさんとは会っていないけど、
3歳にしてプロ意識を学ぶ。

きっと今聞いても覚えていない。
ちなみに次男が同じことをされたら、絶対に撮影できずに終わったことでしょう。

お兄ちゃんが仕事で泣いたのは、演技以外この時だけ。

どうしても受かりたかったおもちゃのCMのオーディションの結果を聞いて
泣いたことも今ではいい思い出だ。

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