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『サクラマスの話』

精神科医の斎藤茂太(歌人齊藤茂吉の長男)、通称モタさんの本で知った話↓

ものすごく体の大きなサクラマスと小さなヤマメは、生物学的には同じ魚なんだって。

サクラマスは、ひとかかえゆうに80センチもある大型魚。
それがなぜ20センチ前後の小さなヤマメと同じ魚と言えるのか。
体の形も違えば模様も違うのに。

弱肉強食の世界なんだけど、同じ時期に孵化した同じ魚で、強くて餌を食べられる個体だけが川や湖に残り、弱くて餌(のとれない個体はやむを得ず川を下って海に逃れるの。そこで別れちゃう。

ところが三年して産卵に川を上って来る個体ってのは、めっさ危険でしんどい海で揉まれて鍛えられて、豊富な餌を食べまくってくるから、ずっと川や湖で育っていたヤマメたちの数倍大きいサクラマスになっちゃってるってわけ。

人間も「成長」という面で、通じるものがあるっていうか、僕が実際、表現者として生存競争に負けて、逃れて、広い海にくだって、その中で、孤独の中、ひとり世間でもみくちゃになりながら、戦って、闘って、戻ってきて、今があるし。

このサクラマスの話を握りしめながら、闘ってきて、リアルに今がある。

現在、不登校や引きこもり、あるいはストレス障害に陥る子供とか、
たぶんすごくナイーブで感受性が豊かすぎるくらい奥深いものを持っている子たちだと思う。

僕がそうだったし、適応障害で、出社拒否ばかりして、社会不適合者で、生きにくい中、生きてきた。

でも、ひとたび、自分を信じて、戦い抜いたとき、雑味たっぷりで、いろんな経験してる、けして立派じゃないけど、人間くさい大人になっていることは間違いない。

だから、今、苦しかったら、とりあえずは別な海に下るのもありです。
そこから、威風堂々とでっかくなって帰ってくる道もあります。

このサクラマスのように。

水もしたたる真っ白い豆腐がひどく焦った様子で煙草屋の角を曲がっていくのが見えた。醤油か猫にでも追いかけられているのだろう。今日はいい日になりそうだ。 ありがとうございます。貴方のサポートでなけなしの脳が新たな世界を紡いでくれることでしょう。恩に着ます。より刺激的な日々を貴方に。