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【詩】命の心

結局全部「心」だった

人間が何かを為す淵源には
どうしても心がある
それがどんな心だったのかが
全てを決めていた

すなわち
この世の全ては
いつかの誰かの命の想いが
形になったものなのだ

食べ物も建物も
音楽や文学
絵画や彫刻
舞台演芸などの諸芸術も

無論
文化方面だけでなく
政治、経済、流通
この世の治生産業一切合切が
どこかの誰かの想いであり
それが連なって形を為したものなのだ

もっと言えば
動植物などの自然や地球
なかんずく人間そのものも
その実
生命自体がそのように咲いて欲しいと望んだ
命の心の表現なのだと言えまいか

であるならば
どんな事情であれ
意味もなく生まれてきた者など
一人もいない

たとえ
親に直接願われなかった存在だとしても
もっと深い宇宙使命のレベルでは
神聖な意味があり
命の表現として
尊く産み落とされたに違いない

だが時に
生きることは苦しい
なぜこのように苦しんでまで
生きねばならないのか

目の前の現実に
自分という命の尊厳まで脅かされ
押し潰され
悲鳴を上げ続ける日々が
そこに横たわっている

こうまでして生きねばならないのかと
天に向かって泣き吠えたい日々が
厳然と存在する

闇があるから
暁は存在する

沈む日々こそが
日はまたのぼると
力強く証明してくれる

自分だけの命の花を
咲かせられるチャンスは
闇の中にこそある

そして
その歴史的な咲き方を望んだのは
天などではなく
君自身の命そのものだ

その咲き方が
君の使命そのものなんだ

だから天はただこう言う
「自分に負けるな」と

真実は
我々が自分の命を生き切った瞬間
おのずと分かることだろう

どうあれ今
我々はもう生まれてしまっている
ゆえに命を生きねばならない

せっかく
産み落とされてしまったならば
生きているうちに
己が人生というキャンバスに
この世を為す一部となって
何かを描き表さねばなるまい

であればこそ
その心に何を浮かべて生きるかが
人生で一番大事になってくる

我々が闇の中で為した想いが
そのままこの世の未来そのものとなり
命の形になっていくのだから

<了>

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水もしたたる真っ白い豆腐がひどく焦った様子で煙草屋の角を曲がっていくのが見えた。醤油か猫にでも追いかけられているのだろう。今日はいい日になりそうだ。 ありがとうございます。貴方のサポートでなけなしの脳が新たな世界を紡いでくれることでしょう。恩に着ます。より刺激的な日々を貴方に。