まに

【風雲ガチンコ文章指南録!?】『真に受ける力』③~もやもやを掘り下げるの巻~

私は西山リカさんのやる気を挫かぬように最新の注意を払いながら、彼女が描いたイメージを掘り下げ、道筋を示すことに腐心した。

あまり誘導しすぎて、押し付けすぎても彼女が観た本質をつぶしてしまう恐れがある。だが、もやもした部分をもう少し掘り下げて言葉に落とし込んでいかねば、人には伝わらない。

彼女が手探りなら、私も手探りで、少しずつではあるけれど、彼女自身がつかまえた本質に寄り添うようにイメージを浮き彫りにしていくことにした。

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2007/10/9, Tue 00:49

お疲れ様です。きしみです。
遅くなってすみません。
メール確認いたしました。

西山さんには、豊かな情感と表現力があります。
頭の中、あるいは心の中に映し出された映像を
言葉にする力があります。

何を求められているのも分かってるようなので
きっと大丈夫です。
浮かんだイメージをもう少し簡潔にしぼって、
そのぶん、そのイメージに対して
随時、自分が感じたことを
書いていけばOKだと思います。

> 「あなたはどう思ったか?」という自分の気持ちをどう文章
にいれたら良いのか分かりません。

問題はそこですよね。

現状の文面では、西山さんが曲を聴いて、
思い浮かべた映像は伝わりますが、
あなたが感じたことについては
情景描写から推察するしかありません。

つまり、なんとなくの雰囲気しか
伝わっていないと思われます。

> 「誰もいないし、行き先も分からないのは初めての経験だ。
」心の中がもやもやした不思議な感覚になった。

という箇所では、登場人物に独白させてますよね。
これは一番、西山さんが感じた気持ちに
近い部分だと思われます。

たとえばその辺を、登場人物の言葉ではなく、
自分が思ったことにすれば
いいのではないでしょうか。

ただし――
「心の中がもやもやした不思議な感覚」
というのでは、具体性に乏しいので、
もう少し突っ込んだ説明してあげればいんですよ。

ちょっと要約しますけど(汗

雲のかかった月が薄明かりに照らし出しているのは、
鬱蒼と生い茂った深緑の木立の間を流れる小川と、
一艘の小船ですよね。
まるで時が止まってしまったかのような静かな夜なのに、
船はゆっくりと確実に前進している。
何を運んでいるのかも、どこへ向かっているのかも
分からないんだけれども、とにかく舟はただただ流され、
動き続けている――

とまぁ、こんなイメージが湧いたとき、
そこの箇所で、西山さんは、
具体的にどんな感情にとらわれたのでしょうか?

ここに、ちょっと私のでまかせの例を
のせておきますね。

『そのイメージが湧いた瞬間、私はただただ、
猛烈に孤独を感じた。
悲しくて涙が出そうな孤独ではなく、
すでに流しつくせるだけの涙は流しつくし、
まるで感情のすべてが枯れ果ててしまったような、
無機質な孤独を感じた。
とか?

まるで時が止まってしまったかのような
静まりきった月夜の晩、それでも揺るぎなく、
時が刻まれてゆく無常の世界……、
私の心はいつしか、不条理で、
つかみどころのない不安と虚無に満たされていた
とか?

そんな感じで、端的にまとめたイメージとともに
自分がそれによって揺り動かされた心情を
吐露していけばいいんだと思います。

読んだ人が知りたいのは、どんなことを
イメージしたのか、ということよりも
それによって、西山さんがどういう心理反応を
したのか、ということのようですからね。

ただのイメージテキストや小説なら、
むしろそんな解説や説明は野暮になり、
「そこは読者に想像させてなんぼだろうが!」
と、突っ込まれてしまうところなんですが、
どうやらそういう試験ではないようなので^^;

なお、文章が硬い、という指摘に対しては
直す必要があるのかどうか分かりませんが、
語尾をですます調に変えるだけで
印象は変わると思いますよ。

ちなみに、

> 「誰もいないし、行き先も分からないのは初めての経験だ。

かぎかっこの中には、通常、
「。」は入れないことになってます。
※(昔の文には入れてる方もいますし、意図的にそうする方もおられますが一般的には入れない方が好印象かと)

なので、
「誰もいないし、行き先も分からないのは初めての経験だ」
でOKですよ。

今回は、こんなところでしょうか。
お役に立てればよろしいんですけど。
背伸びはせずに、感じたことが正確に伝わるように
心と、知っている言葉を駆使して
表現してみてください。

応援してますので、頑張ってください。

水もしたたる真っ白い豆腐がひどく焦った様子で煙草屋の角を曲がっていくのが見えた。醤油か猫にでも追いかけられているのだろう。今日はいい日になりそうだ。 ありがとうございます。貴方のサポートでなけなしの脳が新たな世界を紡いでくれることでしょう。恩に着ます。より刺激的な日々を貴方に。