スクープ

『醸キシャッ! 独占スクープ! “醸し”が発生する瞬間をとらえた!』

近年、note界を席巻している「醸し部」の尻尾をつかまえた。

おもにコメント欄で細胞増殖するように醸していく彼らの、その瞬間を当局の記者がとらえた。

まずはリソースをあかしておこう。

https://note.mu/snowdool/n/n5c6ef6e1a279

「やりたい事が多すぎるw」

雪人形氏のこの一行の記事。
このコメント欄で事件は起きた。
コメント数は104件。醸し部なら別段驚くに値しない数値ではあるが、
この中に、“醸し”が発生した瞬間がおさまっているという。

さっそく我々はその衝撃的な瞬間を追って、コメント欄にわけいった。

見ると、最初はくだんの一行記事に対する普通のコメントが並んでいるのが見てとれる。

だが、我々は次の瞬間、まさしく醸しの発生ポイントをまざまざと見せつけられることになる。

ここ!
お気づきだろうか、矢継ぎ早に連呼される「ねむみ」の三文字。

眠気を催す正体不明のモンスター「ねむみ
雪人形氏が何気なく口にしたが最後、それは言霊のようにじわじわと存在感を増し、やがてコメント欄を“醸し”の坩堝へと叩きこんだ。
そう、この「ねむみ」という存在の「発言」が「発現」へと変化し、コメントは加速の一途をたどったのである。

では、そこからの流れをまとめたかたちでここに掲載し、駄文が醸される現場をリアルタイムで体験してみよう。

【醸しの発生源を追え!】

雪人形:ラリホーまでしか知らなかったですー
ドラクエはやった事無かったのでホントに知識としてしか知らないw

うたがわきしみ:あ、造語ですw ねむみ、がそもそも、造語だと思ったので、こっちも創らないといけなかったので

ラリゾーマを今でも知っている者は指を数えるほどしかいませんん。現存している魔術師で確実に使えるとすれば、氷齢一千年の永久凍都グリンヒェルドに住むという北の大賢者フィンブリュス・フォン・ドンダリエンしかいないかと。私の知る限りでは。

雪人形:(b′ν?)b☆
(このとき、雪人形氏はこいつ、やべえな、マジキチだな、めんどうだなと思っていたという)

うたがわきしみ:(^_-)-☆
(このとき、きしみは、単純にうふふ、という気持ちだったという)

雪人形:(こういうの出てこないなぁ…つい既存する物と辻褄が合うか考えちゃう)

うたがわきしみ:なるほどねw 「ラリゾーマ」だけあとで変えちゃえば、すべてオリジナルにできちゃうかな。
てか、オリジナル大前提なら、そもそも、まあ、つかわないかもだけどw まあ、遊び心だからw

うたがわきしみ:じゃあ、あくびの、音からとって、「フアーア」とかにしておこかw 一応、眠気を引き起こしそうなきがするw

雪人形:フアーアだと眠らせるのに数ターン使いそうw響きが優しそうだから?

うたがわきしみ:蓄積系の呪文にしよう 3回くらい蓄積すると、眠ることは避けられない。あと、なんか、柔軟剤っぽいw

雪人形:柔軟剤wwwクマのw匂いのきついw

うたがわきしみ:やわらかいねむりにいざなう魔法で、けっこう匂いも放つ、らしい

うたがわきしみ:「ねむみ」の上級種族「ねむみん」の必殺技は『ネームーミン』で、誘眠魔法とは一切関係なく、ただ、これを唱えられると、どんなに恥ずかしくても、仮に全力で逃げている最中でも、ねむみんがいる方を向いてしまうらしく、なんならちょっと上目使いで、頬なんかも染めて、もじもじしちゃったりして……全滅の可能性があります(間接的死因:羞恥心)。

雪人形:ねむみんw
意外と危険生物w

のうん:コメント伸びてた!!これが醸しなのですねぇ。私はコメント遅過ぎて醸せないのです(泣) しかしこのまま100いくのか気になりますなぁ(笑) コメントお付き合いありがとうございました!♪( ´▽`)ノシ
(このとき、のうん氏はもはや関わり合いになるのはやめようと、決意していたという)

雪人形:コメ欄で主が居なくてもワイワイしてる時ありますけどねw
やりたい事が多すぎるの一言で100コメ行きそうなのは面白いですねwww

<閑話休題>

(一方できしみ氏にはもはや周りが見えなくなっている様子がうかがえる。ここからは彼の独壇場で彼だけが矢継ぎ早にコメントを醸し始める)

うたがわきしみ:「ねむみ」の上級種族「ねむみん」の知られざる生態が巷の冒険者たちの間でちょっとした話題になっている。彼らの集団に囲まれ、九死に一生を得た冒険者たちの冒険記がベストセラーになっていることがどうやらその背景にあるようだ。

うたがわきしみ:ねむみんの種族的な特徴といえば、「フアーア」を代表とした誘眠魔法及び、その際に放たれる柔軟剤の如き芳香であることは、万人の知る所であり、今さら余人が口をはさむべきものでもないが。しかし、ねむみんの奥の手ともいうべき『ネームーミン』については、果たしてどれだけ者が知り得ているのか、はなはだ疑問が残る。

うたがわきしみ:くだんの冒険記によって、『ネームーミン』の実態があきらかにされたことは、モンスター生態学の権威たちを大きく動揺もさせたが、翻ってこの分野の研究がここから更に飛躍的に進むであろうことは想像に難くなく、誠に意義深い記録であったと感じ入る次第である。

うたがわきしみ:ねむみんに囲まれそうになった彼らは、それを全力で振り切ろうとした矢先、『ネームーミン』の一斉砲火を浴び死に目を見たというが、当冒険記の白眉ともいえるそのクライマックスシーンを少しだけ紹介しよう。

うたがわきしみ:
――誰かが「逃げろ!」と叫んだ。
群れをなして我々に襲い掛かってきた魔物は青く光るクラゲのような生物で、ふわふわと舞うようにして近づいてくる姿はあのファリシア海溝で目にした人魚の如く幻想的で美しく、一見するととても恐ろしい魔物には見えなかった。
「早くしろラグレス! 囲まれるぞ!」
――再びの叫び声。
魔法生物知識に長けた女戦士アマンダの声だった。
我に返ったばかりの私がしんがりとなり、全力で逃げ出そうとしたその瞬間――『ネームーミン!』――鼓膜の奥で無数の泡がはじけたような感触があった。

「急いでラグレス! 何をして……る……の?」
慌てて私を迎えにきたアマンダがふいに恥ずかしげにうっすらと頬を染め、そのままゆっくりとあらぬ方――群れをなして広がりつつあるねむみん達の方へと顔を向けていく。まるで若い娘が恋する青年を前して舞い上がり、告白できずにひたすらイヤイヤをするような、もといもじもじとしたしぐさで、熱を帯びた視線を彼らに投げかけている。

うたがわきしみ:
彼女だけじゃない。周囲を見て愕然とした。魔法使いのミシェルも髭面の熊男ヴォンガルドも、そしてこの私も……我々パーティ全員が為すすべもなく、やや内股気味にもじもじとしなを作り、ときどき身もだえするように体を震わせながら、うっとりとした目つきでねむみんたちの集団を見やっているのだ。

薄れゆく意識の中、ねむみんたちの青白く輝く触手が眼前に伸びてくるのが見えた。魂が抜けていくような心持ちだった。全員が全滅を覚悟した。

うたがわきしみ:とか。

うたがわきしみ :無駄だなあ(笑)
(一応、きしみ氏自身、駄文を無駄に打ちこんだ意識はあるようなそぶりがうかがええる)

雪人形:電話してる間に大作来てたw
(雪人形氏は、こいつは相手にしてられねえな、と思い、一時的に離脱していた。英断であり、賢い判断だったと言わざるを得ない)

うたがわきしみ:慌ててやったから、文章おかしいかもだけど、まあ、ご愛嬌でw
(謙遜でいっているのかどうなのかは定かではない)

うたがわきしみ:

『蒼眠眠の触手』

ねむみ族系の魔物を倒した際に入手できる触手を指す。全体、半透明に透けたゼラチン質で構成されており、芳香剤の如き独特の甘い香りを放つ。これを偶然入手したとある漁師が晩の食材にと持ち帰ったところ、翌日台所で立ったまま眠っている姿で発見されたという。専門家の話ではその眠りは半永久的に続くとされ、彼は今もなお、なかば植物人間状態で研究所施設内のベッドに身じろぎもせず横たわっている。

うたがわきしみ:
今日はこんなところかしら
(なにやら、自分の醸しに満足したそぶりをみせるきしみ氏)

雪人形:ありがとうございました!w
(これはお礼でもいっておかねえと、きしみの野郎、ずっと続くぞ!と思った雪人形氏――実は風邪で体調がわるい――が、この言葉で引導を渡そうと思った節がある)

うたがわきしみ:醸せましたかね(笑)
(承認欲求が満たされれば、きしみの醸し熱はさがったかもしれない……が、そうはならなかったので、しばらく独り言が続いた)

うたがわきしみ:あ、眠蛇で、ねむみ、って呼ばせるほうがわかりやすいかな

うたがわきしみ:蛇は巳としてもいいけども

うたがわきしみ :それがいいかな、あまりビジュアル蛇っぽくしたくないし

雪人形:くらげっぽい謎生物で固定してしまいましたw
(この戦いを終わらせるために、雪人形氏は最後の手段に出ていた。裏で、ねむみんの絵を、病身をおしてひらすら描いていたという。醸し部部長であるきしみをとにかく満足させようと必死だったと後述している)

うたがわきしみ:それでOK\(^o^)/

うたがわきしみ:あ、ねむみんなら、「眠眠(ねむみん)」って表記でOKだな
(といって、あとでコメント欄内の「ねむみ」を「眠眠」かきかえ、ようやくきしみは満足したらしい。もちろんそれは別記事で、雪人形氏がねむみんのビジュアルを用意し、きしみを満足させることに成功したからであるが…)

以上が、醸しの発生源リポートの大枠である。

詳しくはまた別の機会に論じたいと思うが、うたがわきしみは、一人でも醸してしまう要注意人物であること、また、不用意におもしろい言葉(エサ)を与えてしまうことが、醸しの発生源となることは、概ね理解してもらえたのではないだろうか。

最後に雪人形氏が醸しの嵐から逃れるために命からがら描いたという「ねむみん」の画像を提出し、今回のレポートを終了したい。

ちなみに、「ねむみん」は醸し部の次世代を担うマスコットになる可能性もあるといわれている。

現場からは以上である。



水もしたたる真っ白い豆腐がひどく焦った様子で煙草屋の角を曲がっていくのが見えた。醤油か猫にでも追いかけられているのだろう。今日はいい日になりそうだ。 ありがとうございます。貴方のサポートでなけなしの脳が新たな世界を紡いでくれることでしょう。恩に着ます。より刺激的な日々を貴方に。