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公共交通の意外な真実:行政も知らない交通研究の知見

最近、都市計画行政の担当者向け勉強会で講師を務めた際、受講者からの意見に驚きました。特に、公共交通の維持に税金が投入されている国の多さ、道路整備の限界、そして公共交通への新たな視点への目覚めなど、多くのことに気づいてもらました。私自身はこんなことも知らないのかと逆にショックを受けてしまいました。

ちなみに、次のように、受講者からの意見をもらいました。

  • 「他の国では行政が公共交通の維持に税金を多く使っていることに驚いた」

  • 「道路を整備しても渋滞が無くならないということにショックを受けた 」

  • 「自分は自動車のヘビーユーザーなので街に駐車場を増やしてほしいと思っていたけど、公共交通を充実させるという考え方もあるなと思い直した 」

  • 「ローカル線の利用者増を掲げる前に自動車移動が必要ない環境づくりが先だど実感した 」

  • 「"自分の車利用と向き合う"グサリときました。どうしても車ありきで考えてしまう自分に気づけてよかった」

これらのことは、私たち交通研究者にとっては日常の範疇かもしれませんが、一般の人やさらには行政担当者にとっても新鮮な情報であることを強く実感しました。そこで、このnote記事を通じて、公共交通に関する興味深い事実と考え方を共有したいと思います。

公共交通の裏側に隠された事実

公共交通と聞くと多くの人が利便性や環境への配慮を思い浮かべますが、その運営や政策には意外と知られていない側面があります。

世界の公共交通は税金で支えられている

世界各国では、公共交通は政府の補助金に大きく依存しています。ドイツの乗合バス収支率は71%、フランスはわずか17%と、これらの国々では大幅に税金を使って公共交通を支えています。この事実は、公共交通のサービス維持と品質向上における政府の役割を浮き彫りにします。

出典:日本インフラの体力診断-地域公共交通

上記作成に関わったので興味のある方は読んでもらえると嬉しいです。

ダウンズ・トムソンのパラドックスと道路整備の限界

一方、日本を含む多くの国で道路拡幅による渋滞解消が試みられていますが、ダウンズ・トムソンのパラドックスは、そのようなアプローチがかえって渋滞を悪化させ、社会全体のコストを増加させる可能性があることを示しています。つまり、より多くの道路がより多くの車を呼び込む結果となり、結局渋滞は解消されません。

画期的な公共交通のチケットシステム

ソウルの「気候同行カード」やドイツの「ドイツチケット」のような、手頃な価格で広範囲の公共交通サービスを利用できる制度は、市民の移動手段を豊かにし、環境に優しい選択肢を提供します。これらの例は、公共交通へのアクセスを改善し、より持続可能な移動手段を奨励するための革新的なアプローチを示しています。

-ソウル、月6万2000ウォン(約6900円)でソウル市の交通機関乗り放題になる「気候同行カード」
https://news.yahoo.co.jp/articles/9401c7c59db8790f3466b43379f62d29b80ef3b0

-ドイツ、月49ユーロ(約7400円)で国内の鉄道や路線バスなどが乗り放題となる「ドイツチケット(Deutschland-Ticket)」
https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00582/00017/

まとめ

公共交通のしくみや政策には、一見すると分からないことがたくさんあります。政府が公共交通にお金を出していたり、新しい道を作っても渋滞が解消されないことがあったり、便利な乗車券の制度があったりします。これらのことをよく知ることで、私たちの公共交通をもっと良くするヒントが見つかるかもしれません。だから、これらの大切な情報をみんなで共有して、もっと住みやすい町を作るためのアイデアにしましょう。

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