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2023年ベスト映画10選

 新年から色んなことがありましたが、新しい年を迎えたので去年の映画の話をするぞ!

 昨年も何だかんだで色々とあって、特に秋頃はあんまり映画も観に行けませんでした。主戦場にしてたMOVIX八尾が台風で夏以降ずーーーーっと休業になってしまってるのでそれも大きい。仕事前後に観に行きにくくなっちゃった。営業再開が今年の秋予定らしいのでまだまだ先の話です。

 そんなこんなで映画館で観た映画は少なめの117本でした。観たいけど観られなかった映画も多々あるのですが、最近は結構すぐに配信に来たりもするから実はそんなに必死に映画館で何でも観る必要もなかったり……。でも結局配信まで手が回ってないから観られてなかったり……。
 まあやっぱり映画館はいいんですよ。映画を観る以外に何も出来ませんからね。そういう空間でろくに身動きも取れずに映画を観るのが楽しい。つまらない映画ほど映画館で拷問みたいに観たい、そんな時間がとても好きです。

 そういうことで2023年の映画ベスト10です。すでに配信で観られる映画もたくさんありますからね、気が向いたらぜひご覧ください。


①コカイン・ベア

 2023年はB級映画がとても充実した1年でした。B級映画ってどれだけ面白くてもそれがなかなか映画ファン以外には届かず認知もされないことも多いのです。『サイコ・ゴアマン』とかさあ!
 それが去年はネタ的にパンチ力が強く一般層への訴求力もある作品が少なくなく、『キラーカブトガニ』『プー あくまのくまさん』『マッド・ハイジ』などなど、実際に観たかはともかくとして名前や存在は多少なりとも知られた作品があったのではないかと……! どうですか!? ダメか!? でも結構シネコンでもやってましたよ!?

 そんな中、ワクワクした期待感を全世界から受けつつ日本で9月に公開されたのが『コカイン・ベア』です!!! コカインでハイになった熊が人間をガオーッ! こわい!! やったー!!

 そんなめちゃりんこシンプルに説明できる映画なのですが、これがアメリカで大人気に! ナンデ!? あまりの人気ぶりに監督のエリザベス・バンクスとコカイン・ベアがアカデミー賞でプレゼンターを務めたほどです。本当に何で??? でもだいぶ良い仕事してましたしバカウケでしたよ……。

 これは実は実話に基づいた映画でして、麻薬カルテルが中南米からアメリカに飛行機でコカインを運んでくるでしょう? 詳しくはトム・クルーズの『バリー・シール』とか観ていただければいいんですが、面白いので。それで、1985年にそういう投棄されたブツを熊が食べてしまって過剰摂取オーバードーズで死んだ事件があったんですよ。この映画はそこから着想を得てコカインでハイになって暴れ回る熊と熊から逃げる主人公母娘、失ったブツを探しにやってきたギャング、彼らを追う麻薬捜査官、と続々と森林に現れる複数勢力が入り乱れるサバイバルスリラーになっていくのですが……。だから実話部分は「熊がコカイン食べちゃった」だけなので99%くらいフィクションです。言うほど実話に基づいてるか!?

 でもこれ、ホントに私もワクワクしつつ「とんでもねーレベルのB級映画なんでしょう!?」と舐めまくって観たんですけど。イメージは『グリズリー・レイジ』だったんですけど。もう、メチャクチャに良くて……。クライマックスなんてボロボロ泣いてましたよ。コカ泣き。

 まず熊のビジュアル、めーーーっちゃ良いですからね! すんごいちゃちなCGが来ると思い込んでましたが、VFXは『ロード・オブ・ザ・リング』のピーター・ジャクソンが起ち上げたWETAデジタルが担当。数々のVFXがすげー映画、一番分かりやすいとこだと『アバター』とかもやってる会社ですよ! 本物! プロ中のプロ! それが恐ろしくも愛らしい熊を作って活き活きと動かしてくれてる時点でクマ映画としてはもうほぼ勝ちでしょう! ちょうど良いリアルさと可愛さのクマ映画史上最高の熊です!

 そもそも製作陣がスゴい。監督のエリザベス・バンクスは『スパイダーマン』『ハンガー・ゲーム』『LEGOムービー』などで女優としても活躍している方で、映画監督としてはこれが長編3作目とは言えこれまでに作ったの『ピッチ・パーフェクト2』と『チャーリーズ・エンジェル(2019)』ですよ!? 信頼度たっけ!!!!
 さらにプロデューサーはフィル・ロード&クリストファー・ミラーの当代最強格のプロデューサーコンビです……。『スパイダーバース』とか『ミッチェル家とマシンの反乱』、『くもりときどきミートボール』、『21ジャンプストリート』!!! 信頼度たっけ!!!!!
 何で急にこの人たち熊の映画撮り始めたの!?!?!?

 キャストも普通はこういう映画は「誰も知らねえ~」になるんですが、そんなことはねえ! まず主人公の森に娘を探しに来る母親にケリー・ラッセル!代表作は『ミッション:インポッシブル3』! そしてその娘で学校をサボって熊に襲われる女の子はブルックリン・プリンス!『フロリダ・プロジェクト』の主役の女の子だ!! 森にコカインを探しに来るギャングはアイス・キューブの息子、オシェア・ジャクソン・Jr! その相棒のギャングのボスの息子はオールデン・エアエンライク! 若い時の『ハン・ソロ』! さらにそのギャングのボスが『グッドフェローズ』のレイ・リオッタで最大の大物、しかもこれが遺作になっちゃうんですよ……!! よかった! 変なB級映画じゃなくて!

 分かりますか、舐めてかかってるとこれだけで情報の強さに呑み込まれそうになる関係者の密度が……! これだけのメンツが集まるなら違う映画作った方がよかったんじゃ……。

 いや、でもクライマックスの演出とかめちゃくちゃ良くって人間と熊で母娘の絆がシンクロしていく感じとか我々も合法的にハイになれる空気感が唯一無二で本当に良いんですよ。
 君もしよう、コカ泣き! 抵抗があるのは最初だけ! どんどん気持ち良くなってくるから!

②ゴジラ-1.0

 で、ゴジラですよ。私はキッズをやってた頃から昭和のゴジラで育ってますのでゴジラ大好き!『ゴジラ対メガロ』でも『ゴジラ FINAL WARS』でも『GODZILLAイグアナ』でも何でも持ってこい! なんですが、実のところ「山崎貴映画」そのものはかなり苦手で……。
 いや~、相性がだいぶ悪い! 名作と名高い『アルキメデスの大戦』すら何か合わない! 今までで一番面白かった山崎貴映画が『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』! と言うどうしようもなさがありましてね? だからタイトルも変だし全然期待してなかったんですが……。

 これがもう、完全にちゃんと面白いの!! 数年前に絶賛した『シン・ゴジラ』よりもまともに面白いの!! と言うかですね、正直「歴代で一番面白い」まであるゴジラ映画ですよ!?!?!? えっ、山崎貴映画面白いじゃん!!!

 物語の舞台は戦後まもない日本。ようやく建物も建て直され、人々の新しい生活に希望と笑顔が戻り始めます。そんな時、海から謎の巨大生物ゴジラが上陸! 圧倒的な破壊力で復興した銀座を焼き払い、再び日本をマイナスに叩き込んでいくのでした。

 この映画、何がそんなにいいかってそりゃもうゴジラそのものも巧みな演出で圧倒的なインパクトと怖さを誇り、日本でもこんなにやれたんだ! というVFXの凄さを見せつけてくれる。それもありますが、私はこの映画はゴジラ史上もっとも「ゴジラに興味ない人」が面白く観れる映画だと思うのです。
 怪獣映画というのはある程度は「怪獣大好き! 街が蹂躙されるの大好き!」みたいな才能が観る側に求められます。それは人間の主役が存在しても怪獣映画というのは本当は主役が怪獣だからです。さっきの『コカイン・ベア』も真に主人公たるのはコカイン・ベア自身です。しかしこの映画の主人公は名実ともに神木隆之介くんなのです! だから「怪獣は見たくねえけど質の良い神木くんをたっぷり見てえな……」みたいな人にオススメ。そしてゴジラそのものも超イイ感じなので「怪獣しか見たくねえ! 人間には何の興味もねえ!」みたいなワガママさんにも安心です。今作のゴジラ、冷静に考えたら水面下でめっちゃ立ち泳ぎしてるとことか可愛くて良いですよ。

 この映画の神木隆之介くんは元特攻隊の青年。大戦末期に特攻に向かっていたんですが、途中でビビっちゃって「飛行機の調子が悪いで~す」って嘘着いて整備のために大戸島に降りるんですね。そしたらそこに呉爾羅ゴジラが現れて、整備班の人たちがほとんど殺されちゃう。しかもそこでも神木くんは唯一の戦闘員なのにビビって何も出来なかった。それで戦争が終わって家に帰ってみれば、もう街も家も空襲でボロボロで見る影もなく、家族も亡くなっている。
 神木くんはたまたま知り合った浜辺美波と彼女が連れていた捨て子の女の子と身を寄せ合って擬似家族となり、復興していく東京で新たな仕事も見つけ、少しずつ幸せを築いていきます。しかしたびたび戦争の記憶が蘇り、逃げ出した自分は幸せになってはいけないと思う。そこへゴジラへと変異した呉爾羅が東京に現れ、神木くんの幸せを奪い去っていく。
 ゴジラを殺して自分の戦争を終わらせる。
 神木くんはいまだ続く自身の戦争を全てゴジラへとぶつけていく。

 アメリカでも大ヒットして非常に高評価を得ているんですが、一つはこれが戦争で兵士が負った心の傷を描く作品であるというところですね。アメリカの方が今でも戦場帰りでPTSDになって帰ってきてる人も多いので、現代のこととして身近に捉えられるストーリーにもなります。
 2016年の『キングコング:髑髏島の巨神』ではサミュエル・L・ジャクソンが自分の中で消化不良で終わらされたベトナム戦争のモヤモヤを全てキングコングにぶつけて自分の戦争を終わらせようとする話でした。終戦したから、個人の戦争がキッパリ終われるわけではない。燻って焦げ付いた思いをどう決着させるのか。

 で、アメリカでも大ヒット! に加えて実はこの映画、アカデミー賞取れそうです。まだノミネートも決まってない段階ではありますが、視覚効果賞で最終候補10作品に残ってるんですね。他の映画賞の戦績も悪くありませんし、ノミネートさえ出来れば本命、あるいは対抗くらいに収まると思うんですよ。たぶん『ザ・クリエイター/創造者』と五分五分くらいです、今。
 ここを取れれば視覚効果賞は日本初、どころかアジア初です。ゴジラでオスカーを取るのも最高にアガりそうですし、「日本映画がハリウッドで視覚効果でアカデミー賞を取る」は、これから日本映画を海外展開する上でもかなり良い影響になってくれるのではと……。いつか視覚効果賞のプレゼンターでゴジラに出て来て欲しいですねえ!

 あとモノクロ版の『マイナスカラー』も劇場公開されますので、ついでだからぜひ。初代からのオマージュしてるとことかもより楽しく観られるのではないかと!

③映画 窓ぎわのトットちゃん

 ド年末に現れてベスト10にガツガツ食い込んできたのが『窓ぎわのトットちゃん』です!
 メチャクチャ良かったし、ボロボロ泣いた。最初は「トットちゃんはスルーしてもいいかな~」と舐めてたんですが、あまりにも旧Twitterエックスでも評判が良くてこれは観に行かないといけないヤツか!? と。観て良かったですねえ。て言うか、2023年は舐めてかかって返り討ちにされた映画が多いですねえ。お恥ずかしい。

『窓ぎわのトットちゃん』はご存知、あの黒柳徹子さんがご自身の手で自らの幼少期を描いた自伝的作品です。名前は知ってても中身読んだことないです。だから、まさか黒柳徹子でこんなに泣かされることになるの!? とビックリ。黒柳徹子さんって私がキッズをやってた頃からあの感じで黒柳徹子だったので、まあ何と言うか「徹子の部屋」で「ルールル」で「変なおばちゃん」ってイメージでしかなかったんですが、こんなにも自由で優しい方なのかと目から鱗が激落ちでした。

 トットちゃんは小学1年生の女の子。あまりにも自由、あまりにも奔放、あまりにも好奇心旺盛! それゆえに学校の風紀を乱して授業を破壊する(授業中にチンドン屋を呼び込んだりする)とそれまで通っていた学校から匙を投げられまして、電車に乗ってトモエ学園に通うことになります。
 トモエ学園は子ども達の自由と自尊心を尊重する、使われなくなった電車を教室とした一風変わった学校です。これまで大人達に「困った子」と言われ続けてきたトットちゃんは校長先生から初めて「君は本当はいい子なんだよ」と言ってもらえ、自由な校風になじんで級友達と楽しい学校生活を送るのでした。

 何と言ってもこれはまずアニメーションそのものが魅力的ですね! 活き活きと動き回る世界を描くのは『ドラえもん』や『クレヨンしんちゃん』などでおなじみのシンエイ動画。監督を務めるのもやはり『ドラえもん』シリーズで多数監督をされてきた八鍬新之介やくわしんのすけさんです。2023年はアニメ映画がかなり豊作の年になっていまして、そのアニメイヤーでラストを飾るに相応しい老舗の本気のアニメを堪能できますよ。

 その素晴らしいアニメーションで生きるキャラクターもトットちゃんを始め魅力十分。校長の小林先生も随所で泣かせるようなことを言うんですけど、やっぱり泰明やすあきちゃんとのエピソードが光ります。泰明ちゃんはいわゆる小児マヒ(ポリオ)で片手・片足が動かせません。そのためあまり外で遊ばず、本を読むのが好きな男の子でした。トットちゃんはそんな泰明ちゃんが気になって、もうメチャクチャ構うんですね。
 自分の身体を気にしてプールに入りたがらない泰明ちゃんの目の前で服を全部脱ぎ捨てて「恥ずかしいことなんてない!」と引っ張っていったり、ポスターにもなってる木登りのシーンもスゴい。「どうしても泰明ちゃんに木登りをさせたい」とはしごをかけて、がんばって、がんばって、木の上まで彼を登らせるんですよ。それも、手助けはするけど自分自身の力で登らせるんです。今年最大級の緊迫感と興奮を感じる一大スペクタクル。ただ木に登るだけ、ただ木に登らせたいだけ、それがこんなにも魅力的に映える瞬間を生み出す。泰明ちゃんが帰ってから、「こんなに汚して…」と泥だらけの服を泣きながら抱き締めるお母さんがまたね……。

 そうして過ごす日々の中で描かれる昭和初期の人々の暮らしぶりも同じ日本とはいえ現在とは随分違いますので面白いものです。この頃の冷蔵庫ってこうなってるんだ~とか、こうやってパンを焼いてたんだ~、みたいな。
 そして物語が進むにつれてトットちゃん達も少しずつ大きくなり、ちょっぴり大人になったりもしていくのですが……。
 物語の年代は1940年代。トットちゃんが大人になるにつれ時代は第二次世界大戦へと向かっていき、日常に戦争が入り込んでいきます。あくまで目線はトットちゃんのモノなので、彼女はまだはっきりとそういうことが理解できません。しかしだんだんと家庭は貧しくなり、お母さんはオシャレをしなくなり、満足に食べられなくなります。町では万歳三唱が響き、いつもの駅のいつもの駅員のおじさんもいつの間にかいなくなってしまう……。
日常に入り込む戦争の不条理さがイヤでも感じられてしまいます。

 そんな日々を心のままに生きたトットちゃんの姿。興行的にはそこまで売れなかったかもしれませんが、感情を揺さぶられる名作です。

④バービー

 スーパーピンクタイムだ!!!

 あのマテル社のロングセラー商品、バービー人形が実写化! これがまあ、日本では全然売れませんでしたがアメリカでは大ヒットで、実際メチャクチャ面白いんですよ!

 バービーランドで楽しく暮らすバービー達。ある日バービーの一人に異変が起き、バービーは原因究明のためにケンとともに人間界に向かいます。ところが、人間界はバービーが思ってもいなかった男性上位の社会でした! しかもバービー自体も「理想の女性像を押しつけるな」と若者に嫌われてしまっています。
 落ち込むバービーと対照的に、ケンは初めて目にした男性社会に衝撃を受け、バービーランドに革命をもたらそうと企むのでした。
 
 日本で売れなかった理由のひとつはやはりバービーへの馴染みの薄さ。それと観た人の評価も結構まちまちになるんですが、この映画はバカコメディでありながら結構前提知識を要求してくるタイプです。なので、どういう映画なのかを理解する上ではバカコメディを乗りこなしながらその真意を読み解いていく必要があるのです。まあそこまで大げさなことでもないんですが……。

 今作は、バカコメディの顔をしたウーマン・パワー映画のフリをしたそれぞれの人間の幸福な生き方を問いかける映画です。

 だから劇中では結構マンスプレイニング、男が上から女性にモノを教えたがる傲慢な仕草に対してキツめの風刺を入れたりだとか、男が支配する世界のくだらなさを説いたりとか、そういうのがあるんですけども。男の喧嘩はただの自分をカッコ良く見せたいダンス、とか。
 でもそもそも女性上位のバービーランドが正しいのか? という話にもなって。色々な社会の作り方がある中で、バービーは自分自身の生き方を探すことになります。

『バービー』は賞レースでもアカデミー賞の本命の一角です。ただ、今回は『オッペンハイマー』が満遍なく強いので主要部門に絡んでいくのは結構厳しそう。
『バービー』の本命としては美術・衣装デザイン・歌曲の3つで、ここは他の映画賞でも数多く受賞しているのでオスカーも全て取れそうなところです。
 その中でもまず間違いなく取るであろう美術賞ですが、今作の主要舞台であるバービーランドはこの映画のせいでピンクの塗料が世界的に足りなくなったと言われるほどのピンクカラー。実際のとこ、中身で語られる内容の魅力とかはほっぽっといても、この冒頭で観られるバービーランドの暮らしぶりだけで十分お釣りが来るほど楽しいのです。

 ドールハウスそのままの実物大バービーハウス! 水物は厳禁だから、飲み物でもシャワーでもプールでもハリボテがあるだけ! あらゆるモノがオモチャそのまんま! でけーオモチャに囲まれた世界でみんな楽しく生きてる!
 いや~、しずかちゃんが泣いて喜ぶような夢の世界ですよ。お人形さんの世界で生きるとはこういうことだ。色んな面白ギミックのオモチャ達にバービーはよく知らずとも興奮を隠せません。
 ひたすらウンコを垂れ流す犬のオモチャとかさ……。アメリカ人、オモチャにウンコさせるの好き過ぎでは?
 バービーはお人形遊びでは持ち主が持って動かすものだから、2階から降りる時は空を飛びまーす! とか観てて膝を打つ場面でしたしね。もうバービー世界の構築としてはメッチャ強いですよ。

 加えてこの映画、音楽がかなり高く評価されていますので……。歌曲賞は最大でバービーから3曲ノミネートしてくる可能性があります。今の受賞動向を見てても受賞する曲がキレイに割れてますから、それだけ何か1曲だけがズバ抜けてるのでなく評価が拮抗して高いということ。

 ぜひ、映画のストーリーとともにこの世界と音楽もお楽しみください! 映画館でリバイバル上映もするみたいですよ!

⑤長ぐつをはいたネコと9つの命

 今年3月に日本で公開された2022年の注目アニメ映画は、あの『シュレック』シリーズのスピンオフである『長ぐつをはいたネコ』シリーズ第2作目。これもまたスゴく面白くてスゴいんですよ! ここまで挙げた映画は図らずもかなり幅広い方が楽しめる作品ばかりになりましたが、その中でも特に「誰もが楽しめる」と言ってしまえる名作映画です! シリーズ初見でも全然問題ないのでOK。

 命知らずの賞金首にして伝説のヒーロー、“長ぐつをはいたネコ” ことプスは無茶な冒険を繰り返した結果、医者から「9つある猫の命があと1つしかない」と告げられます。さらにプスは謎の男ウルフとの勝負に惨敗し、生まれて初めて死の恐怖を感じて逃げ出してしまう。プスは引退して飼い猫として生きることを選ぶが、どんな願いも叶える願い星の存在を知り、命を元に戻すべく再び冒険の旅に出る。

 1つしかない命をどう使うのか。寓話めいた世界できらめく己の生き方の物語。自分の価値を決めるのは自分自身だ。

 まあメインキャラクターが猫を始めとしたアニマルですので可愛いのは当然として、『トイ・ストーリー4』と同じくセカンドライフ的なところを描くストーリーがまず魅力的。そしてアニメーションがもう非常に素晴らしいんですね。
 今作はCGアニメの上から絵画のようなタッチのグラフィックをかぶせたのが基本ビジュアルとなります。CGアニメにコミック調の手描きアニメをかぶせてアニメとコミックを融合させたビジュアルを作るのは『スパイダーバース』でソニーが確立して大きく評価されましたけども、そこからインスピレーションを得てアニメと絵本を融合させたのが今作です。だからCGでグリグリ動きつつ絵本の持つ優しさとか温かさのようなモノを常にまとっててニコニコしちゃうアニメ。ドリームワークス版スパイダーバース風アニメなのです。

 そしてアクションでも面白いのが、激しいアニメーションになるとあえてコマ数を落としてるんですね。通常、アニメは1秒間に24枚の絵で構成されます。これが1秒間の枚数が多ければ多いほどなめらかに動く、いわゆるヌルヌルアニメになるんですけども、枚数が減れば減るほどぎこちないアニメになります。本来は枚数を増やしたいアクションシーンで逆に減らすことでより絵本感が増したアクションにもなり、明確に普段との違いも生まれて効果的に作用する。そういうアニメの作り方をしてるんですね。

 全方位で優秀で驚きを感じながら楽しめる、優れた作品が多かった去年のアニメ映画の中でも珠玉の作品です。

⑥マイ・エレメント

 そしてこれも非常に良かった昨年の海外アニメ、信頼と安心のピクサー最新作『マイ・エレメント』です。
「元素を擬人化する」という何だかピンと来ない設定のアニメなのですが、そこはピクサー。現実とアニメが良い塩梅でリンクして、強く心を揺さぶられる作品になっています。

 火・水・風・土の四大元素が暮らすエレメント・シティ。雑貨屋の娘エンバーは、いつか父親から店を受け継ぐことを夢見て元気に働く火のエレメント。しかし偶然店にやってきた水のエレメントの公務員ウェイドが古い店の設備が基準に違反していることに気付いてしまい、店は閉鎖の危機に直面します。エンバーは彼女に同情したウェイドとともに、店を守るために街で多発している水漏れの調査を始めるのでした。

 エレメント達はそれぞれに特徴を持ち、同じ街に住みながらも必ずしも他種族と仲良くしているわけではありません。中でも火と水はお互いを打ち消し合ってしまう存在で、過去の出来事からエンバーの父親も水のエレメントは毛嫌いしています。
 しかし、それも互いを知らないから。エンバーとウェイドは一緒に過ごす内に自分と異なる相手の性質に惹かれ合い、決して触れ合えない関係でありながら互いを求めて愛し合うようになります。種族の愛情、家族の愛情、そして恋をして愛する人へ向ける愛情を。違いを越えて多様な愛の姿を描いていくロマンティック・コメディです。ピクサーで恋愛をメインにした作品も珍しいですが、これがまあスゴく良い。良いですね。

 エレメント・シティはアメリカのメタファーです。多様な人種がともに暮らし、理想的にはお互いを尊重し合って生きる街。そこに移り住んで来た両親の娘である移民二世のエンバーは、監督のピーター・ソーン自身の人生がモデルとなっています。
 ソーンは1970年代に韓国からやってきた移民の両親の元で生まれ、ニューヨークで育った移民二世の韓国系アメリカ人です。自分自身が少年時代に過ごして感じたこと、白人女性と結婚する際の親の反対が主なモチーフです。火のエレメントが韓国系のメタファーになるので、非常に熱しやすい性格と他種族が食べられないような熱い激辛食べ物が大好き! という描かれ方はユニークですよね。
 そして70年代のニューヨークがベースなので、エレメント・シティには今時よりも古めの差別感覚がよりナチュラルに感じられるんですね。エンバーの父親はよく言語表現を間違えますが、彼は移民だから英語が母語ではないんです。しかし娘のエンバーは見た目は火でも生まれはエレメント・シティの英語ネイティブ。彼女はウェイドの家族と普通に英語で話しますが、そうすると「あなた英語お上手なのねえ!」と驚かれるんですね。こっちはお前と同じアメリカ人だから当たり前だろ、バカ! という話。
 今はさすがにこういう感覚は薄いと思うんですけど。日本でも外国人がスムーズに日本語を話すと「お上手ですね~」って言っちゃいますけど、勉強してお上手な人とただの日本人はいますからね。前者は後天的努力の成果だからいいですけど、後者に言うとバカなので見極めた方が良いです。

 そうした中で描かれる移民としての立場の弱さ。移民として持てる夢の限界。移民二世としての葛藤。
 苦労して外国から移り住んで、慣れない国と言語で店を経営して、仲間のコミュニティを作って、家族を養って、これから娘には自分のやってきたことを受け継いで欲しいな~という願いは当然の想いでもあるでしょう。しかし親が見落としてしまうのが、子どもはアメリカ人だと言うこと。親の想いは分かるが、それを全て押しつけても仕方がない。間違いなく子どもにはアメリカが故郷で、アメリカが母国で、それゆえに親よりもたくさんの未来が選べるはずなのです。そしてそれが国を移ってきた本来の親の理想でもあったはずなのです。

 そんなこんなで甘くときめき、時に燃え上がるラブストーリー。そして家族や自身のルーツへの感謝の物語です。

 ちなみに僕が好きなのは土のエレメントのカップルが、互いの頭上に生えたリンゴの実を摘み合ってイチャイチャするラブシーンです。何それエッチ過ぎる。

⑦プー あくまのくまさん

 2023年のB級映画枠でもバツグンの話題性を持って広まったホラー映画『プー あくまのくまさん』!
 あのA・A・ミルンの名作児童文学『くまのプーさん』がパブリック・ドメインになりまして、まあ要するに古い作品だから著作権保護期間が切れて自由にしていいぞって許可が下りたんですね。『桃太郎』とか基本的に何しても大丈夫でしょう? そういうこと。
 なのでホラー映画にしてみたのがこちらの映画です。最近だと『蒸気船ウィリー』で似たようなことになってますけど、この製作陣は今後も『バンビ』『ピーター・パン』をホラー映画化させる心づもり。ティガーが出る続編も待機してるぞ!

 これねえ、まあ存在は気に入らないと言うか納得しかねる気持ちはあるんですが……。まあ『シンデレラ』とか『白雪姫』もね、いっぱい色んなタイプの映画作られてますし、『グリム・アベンジャーズ』なんかもあるので子ども向け原作を過激にリメイクするのは別に悪いことでもなく応援してもいいんですけど……。
 ただプーさんってディズニーのイメージが強すぎるから何か、まあ例えばポケモンのキャラデザそっくりなゲームで大ヒットすることがあったとしてですよ、「ブランドへのタダ乗り=何らかのズル」みたいな印象にはなっちゃうじゃないですか。例えばの話ですけど……。でもやっぱり「ディズニーのキャラクターで過激なことを!?」って興味を引くとともにちょっとドン引きするマインドでもあるというか。いわばガキの悪ノリで作ってヒットした映画なのでこんなことでこの世界は大丈夫なんですか? みたいな気持ちも沸いてしまう。ちょっとしたオマージュならともかくそれをメインコンテンツにするなよ、みたいなのがさ。

 いちおう言っておくとプーさんはディズニーのキャラクターではないですが、みんなが思い描くプーさんはほぼディズニーのプーさんになるので。ほぼイコールなイメージで触れる人が多いと思います。

 でもこれ、映画としてちゃんとしてたんですわ。
 この監督、普通にプーさん好きかもしれんし少なくとも作品をリスペクトした上できちんと向き合ってるような感じがします。そうなるとまあ、面白かったねえ……は認めざるをえないんですよね。だからこれも「舐めてかかったら想像よりはるかに良かった映画」案件です。

 100エーカーの森でプー達と出会い、親友として仲良く遊ぶ日々を過ごしていた少年クリストファー・ロビン。しかし彼は成長して大人になり、医者になる夢を叶えるために故郷を離れて遠くの大学に行ってしまいます。異種交配種の怪物として忌み嫌われていたプー達は、クリストファー・ロビンのおかげで人間の温もりと美味しい食事を知りました。しかしクリストファー・ロビンのおかげで愛する人に裏切られる哀しみも知ったのです。プー達には人の世の理など分からぬ。突如自分たちを捨ててしまったクリストファー・ロビン。ずっと食事もクリストファー・ロビンが運んでくれていたので、プー達だけではもはや食べ物を得ることも出来ません。
 そうするとどうなるか?『雪山の絆』ですよ。身近なタンパク質を取るしかねえ。哀れ、イーヨーは仲間達に食べられてしまい、大切な友達を食べてしまったことでプー達の心は壊れてしまいました。こんなに悲しいなら、愛などいらぬ。プー達は文明を捨て、野生に返り、憎きクリストファー・ロビンへの復讐を誓うのです。

 ということで、そうとは知らずに婚約者を連れて帰省したクリロビがホクホク顔で100エーカーの森に友達に会いに来たことから巻き起こる惨劇を描きます。分かりますか? この映画の焦点はクリロビとプーの友情と愛情。純真な心が映し出す真実の姿です。

 原典とは異なり、明確に「異種交配種の怪物」とされるプー達。つまり、原作での可愛らしいぬいぐるみのような姿はクリロビの心が映した幻想なんですよ。世間では怪物扱い。されど、優しいクリロビは彼らが本当は愛情深くて優しい生き物だと見抜き、クリロビにはプー達はああいう風に見えていたんですね。それが、図らずも自身の裏切りが彼らの獣性を呼び覚まし、血に飢えた獣に変えてしまった。大人になったクリロビにはもはや彼らをぬいぐるみのようには見られぬ。時は移り、人の心も変わってしまう。だが、だがそれでも彼らの間には今も強い絆があり、カタチは変われども友情も愛情も確かに存在するのです。
 捕まったクリロビは天井から両手を縛られて吊るされ、裸の上半身をプーに鞭打たれます。それは墓に掲げられていたイーヨーの尻尾です。クリロビが友情を裏切った報いを、プーが噛み砕いた友情の象徴で打つ。イーヨーを喰らった悲しみをクリロビのせいにするように、子どものダダのようにクリロビを打つ。変わってしまったプーに恐怖するクリロビ。だがしかし、プーの脳裏には少年クリストファー・ロビンとの楽しい思い出がカラフルに蘇っていきます。プーとて、胸の内には友情が残っている。友情を信じたい気持ちが残っている。プーはただ悲しいのです。悲しみをどうすればいいのかを知らないのです。それゆえにプーはクリロビを鞭打ちながら、ねっとりとした大粒のハチミツの涙を流すのです。

 ここがねえ、この映画は本当に良くってえ! 私も号泣ですよ。ハニ泣き。2人の友情の深さが、互いの幼さが、もう戻れないところまで運んでしまった。愛と憎の悲しき面白さをたっぷりと見せてくれます。
 ちなみにピグレットは何か下品に笑いながら人間の頭を潰したりしてます。

 急に出てきた知らんおばさんがいきなりピグレットと対決してストーリーを盛り上げようとしたり、急に出てきた知らんヤンキーおじさん軍団がいきなりプーと対決してストーリーを盛り上げようとしたり、何かと盛り上げ役で知らない人が出て来る不思議はあるんですが。まあ思ったより全然よく出来てるし、ちゃんとプーを理解して作った形跡がありますよ、ということで。ちゃんとしてます。
 ちなみに撮影したのは100エーカーの森のモデルになったイギリスのアッシュダウンの森です。ちゃんとしてる~。

⑧トランスフォーマー/ビースト覚醒

 WAR! WAR! 争いはSTOP! ついに実写版トランスフォーマーでビーストウォーズが開幕だ! いったい今このシリーズどうなってんの!? そんな『トランスフォーマー』最新作。

 まあ何か、『バンブルビー』からシリーズをリブートしてたらしく、すでにマイケル・ベイ版とは違うタイムラインの話になってるみたいです。だから最近ずっと過去の話ばっかりやってたのか……。
 そういうの全然知らなかったんですがそれもそのはず、私実写版『トランスフォーマー』が大の苦手人間です! 何か…………コンボイ司令官の顔がキモいなって…………。そもそも『トランスフォーマー』自体、ファミコンの『コンボイの謎』でしか触れてないので興味関心が薄め。そこにさらに合わない実写シリーズが来ちゃったからもう勝ち目ないですよ。いちおう最近はダイノボットとか『バンブルビー』も面白くはあったし持ち直してたんですが、もうシリーズの時系列とかも全然分かんないしトランスフォーマーの区別がコンボイとバンブルビー以外つかない。終わりです。

 だから義務感みたいなテンションで観に行ったら、面白かったんだ今回の『ビースト覚醒』は……!!
 はい、これも舐めてた映画案件です。

 動物に変身するトランスフォーマー・マクシマルを追って、スカージが率いるテラーコンが地球に現れる! 戦え、オートボット! 何だかよく分からない謎アイテムを守らないと地球はユニクロンに喰い尽くされてしまうぞ!

 はい。まあ専門的固有名詞が多過ぎるので良く分かってはいません。オートボット(正義のロボット軍団)のリーダーがオプティマスプライムで、マクシマル(正義の動物ロボット軍団)のリーダーがオプティマスプライマルなのはもうバグだと思います。今誰の話してる!? ってなっちゃう。でもまあ、何かを悪いヤツから守らないと地球ヤバいんですよ。そういう話です。

 これ、とにかくテンポが良くて……! 今までのトランスフォーマーと違ってダレずに観られるんですよ! 私はマイケル・ベイの三部作は何回観ても途中で寝るんですよ! これはそうならないんですよ! すげえぜ!!
 しかも勢力は入り乱れているが話自体はその何かのアイテムを守る話なので簡単! キャラクターもちゃんと誰がどういうヤツか理解させてくれる余裕があるし、何かもう普通に親切に作るだけでこんなにトランスフォーマーって面白くなるんだ! という嬉しい驚きに満ち満ちた作品でした。

 いや歴代のファンにはホント申し訳ないんですけど、これまでの作品の大半はマジで作り方が合わないしビジュアルも好きくないです、私は。
 ところがぎっちょんですよ、何とこの映画が面白かったおかげで……マイケル・ベイ三部作を全て面白く観ることが出来ました!!! 話は分かんねーしキャラも区別つかねーけど!!
 でもスゴいことですよ、もしかしてこれはここが面白いのか!? みたいな気付きも結構ありましたし。マイケル・ベイは車の撮影自体は前からカッコ良いし……。長年のしこりみたいなのをビー覚のおかげで解消できたという個人的なアハ体験をさせてくれる映画だったのです。ありがとう、ビーストウォーズ……。

 やはりゴリラ、ゴリラは全てを解決する。次回作でちゃんとハズブロコラボできるといいですね。

⑨エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス

 アカデミー賞7部門受賞!! 『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』!! タイトルが長い!

 平凡な主婦のエヴリンはある時、別宇宙の夫から宇宙の命運を託される。マルチバース(多元宇宙)から自身の可能性を引き出し、全宇宙の敵となってしまった愛娘と戦うのだ!!

 まあエブエブ、散々アカデミー賞の話で書いたので。話題にもなりましたし、今年前半は盛り上がりましたねえ。カンフーアクションの作りもカッコ良いですし、バカをやることで自分の可能性を広げるって基本設定はやはり白眉かと。人前で尻にトロフィー刺せばさあ! 人生のナニかが変わるんだよなあ!

 監督のダニエルズは私も大好きで、下品さもありますけども丁寧に心の機微を描けるので楽しく観てたら不意にホロリとするんですよ。

 平凡を選ぶ強さ。人生の無限の可能性。そしてどんなことになっても変わらない親子の繫がり。いつでも誰でも、未来は無限に枝分かれしている。自分の可能性を引き寄せるのは自分自身だ。でたらめをやってごらん。そう岡本太郎も言っていた。

⑩ダンジョンズ&ドラゴンズ アウトローたちの誇り

 最後は『ダンジョンズ&ドラゴンズ アウトローたちの誇り』。はい、予告編だけだと「しょーもないギャグばっかのチープでつまんないファンタジー映画」だと思ってました! ところが旧Twitterエックスでもメチャンコ評判が良く、実際観てみると最初のジャーナサンのくだりでもう滅法面白い……!
 これも舐めてた映画案件です。ベスト10の半分以上舐めてかかってますねえ。でもこれ本気で予告編が悪くないですか?

 裏切った元仲間の企みを阻止して娘を守るため、仲間やアイテムを集めていざ決戦だ!

 ごちゃごちゃ説明しだすとキリがないので簡単に言えばこういう話です。まあこの『ダンジョンズ&ドラゴンズ』っていうのが非常に歴史のあるRPGで、あらゆるRPGの元祖なんですね。だから有名どころのファンタジーとかクエストとか、まあだいたい全部のRPGないしRPG的なことが『ダンジョンズ&ドラゴンズ』を祖としていると思っていただければ。わりと誇張なくほぼ全てのRPG的なモノってこれが原点なので。
 なので、きちんと映画化されるとそれだけで王道の分かりやすいファンタジーに! 加えてかなり優秀なギャグシーンもふんだんに入れられてるから、もうずーっと楽しい!

 たぶん、これも何気に人を選ばず楽しめるタイプの映画です。仲間を集めて、ダンジョンに潜って、仕掛けを突破して、試練を乗り越えて……。ワクワクする冒険がここにある!
 それでいて主人公チームは勇者とかでなく善良な小悪党集団なガーディアンズ・オブ・ギャラクシー的チームですので……楽しくないわけもなく!

 ちょうど今大人気のゲーム『バルダーズ・ゲート3』も『D&D』の世界観の作品ですので、映画も見ておくと「これは映画で見た呪文!?」とかで盛り上がれますよ。死体に5回喋らせる呪文、とりあえず買ったけど何に使うんですか……?




 2023年のベスト映画10選でした。結構みんな大好き実写映画も充実してましたからね、『聖闘士星矢 The Beginning』とかNetflixのドラマですけど『ONE PIECE』や『幽遊白書』も良い作品で嬉しかったです。あと普通に言えば『市子』とか『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』とかベスト10にしたいような作品も山ほどありまして、『クリード』『GotG』『ジョン・ウィック』と洋モノ大作映画が色々クライマックスを迎えましたね。振り返れば色々とありました……。

 一方で長年大ヒット街道を走ってきたアメコミヒーロー映画の明確な失速を感じた年でもありました。好きだけど、正直私もシリーズとしてはもう全然面白くないなとは思ってます。映画単体では面白いんですけど。DC映画がリブートに成功できるといいですねえ。

 すでに色々ある年明けでしたが、今年も良い映画をたくさん観られる年であって欲しいですね。

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