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2023年映画ベスト10

 今年はあんまり映画を観れなかった……のだが、めちゃくちゃ面白いものが多くてすごくいい年だった。見そびれた映画も来年は配信等でフォローしていきたいけど、まずは今年観た映画を振り返ろうと思います。


⑩ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り

チョー面白い!ロードオブザリングなら3部作になるくらいの大冒険をやりつつ、軽妙な掛け合いとアホをやりながらガーディアンズオブギャラクシーみてえなブチ上げ方をやるのがめちゃくちゃ良い!
主人公たちが冒険者でもましてや勇者でもなく、ケチで落ちこぼれな盗賊というのがバチバチにキマっており、ベタを通り越した作劇・ドラマはむしろ安心感すらある。めちゃくちゃ美味い町中華みたいな味付け。ファンタジー映画ならこれ一本で当分戦える。

 ロードオブザリングを観たせいで実写のファンタジー映画を重たく感じるようになった先入観を見事に払拭してくれた作品。アウトローと言いつつ王道な進行で誰にでもお勧めできる。はやくバルダーズ・ゲート3やりてえ……。


⑨ヴァチカンのエクソシスト

ボタンを連打して信仰ゲージを溜めろ!ウオオオーッ!
派手なアクションはないがホラーと呼ぶにはエクソシストと悪魔がガチンコで戦い過ぎる新感覚悪魔祓いバトル!
邪悪で姑息な悪魔を祓うために必要なのは弛まぬ信仰心、聖書の一節をすらすらと諳んじれる語学力と暗記力、そして悪魔を焼き滅ぼす十字架とメダル!しかも悪魔の真名看破もある!めちゃくちゃカッコいい!
途中「モウダメダー!」となりそうな箇所が五個くらいあったが、全部なんとか切り抜けられたのでマジで良かった。ラッセル・クロウの貫禄がありすぎてホラーの犠牲者パターンをことごとく跳ね返しておりかなり安心できつつ、悪魔がマジモンの悪魔で超常能力をバンバン行使してくるので気が休まらない絶妙な塩梅。
グラサンかけてサン・ピエトロ大聖堂にスクーター出勤するおじさんエクソシストは見ておいたほうがいいです。すごい良かった。

 年の瀬に観た映画の一本ですが、めちゃくちゃ塩梅の良いホラー映画ですごく良かったです。人が死にそうで死なず、かといって緊張感がないわけではない緊迫するシーンもありストレスコントロールがちょうど良い稀有な作品。


⑧犬神家の一族

おもしれ〜〜〜〜めちゃくちゃ面白いな!?連続殺人+一族の愛憎劇+探偵でドンデン返しをやりつつ次々人が死ぬ!
人が死ぬたびに発見者がクワッと目を見開いてめちゃくちゃ良いリアクションをするし、印象的なカットや巧みな編集でスルスルと魅入ってしまう。ゴムマスクのスケキヨや湖の逆立ち死体も「原作見たら全然笑えなかった」の類だった。全然笑えねえ!
金田一耕助の解明編も懇切丁寧で何もそんなにじっくりやらなくてもいんじゃないかと思うところもあるが、名探偵によって全ての謎が明かされる流れはもはや神聖な儀礼のような趣もあり、古典的名作のエンターテインメントパワーがものすごい。チョー名作。

 ものすごくエンタメに振り切りつつ、きっちり探偵をやってるのがめちゃすごい。映画がエンタメの王だった頃の貫録を感じられる。


⑦ゴジラ-1.0

あのシン・ゴジラの後で観ても真っ当に面白いのでめちゃくちゃすごい。
完全に想定外なことにシンゴジとはまた別のベクトルでバッキバキのオタクをやっており、シン・アルキメデスの大戦とも言うべき軍艦の活躍パートがありまずここでゴジ泣きする。バトルシップ観てる時と同じ涙腺を使う。マジヤバ。
そして神木隆之介くんの曇らせパートを丹念にやりつつ、終戦直後という時代背景を最大限に活かして「俺の戦争はまだ終わってねえんだよ」を繰り返してくるのでここでもゴジ泣きする。キングコング髑髏島と同じ涙腺を使う。マジヤバ。
そしてゴジラさんは過去最高に人類に対して殺意5000%で東京に上陸するし「シンゴジに負けてらんねえ!」と新ギミックの放射熱線がハイパーヤバすぎてゴジ泣きする。でも銀座シーンでめちゃくちゃ気持ちよくなってたでしょ監督。
ドラマ、破壊、艦船それぞれで見せ場があり邦画にありがちなまどろっこしさも絶妙な塩梅に仕上がっていてすごい満足感だけど、一番ほっとしたのはユアストーリーしなかったことです。中盤までユアストる選択肢手放さなくてマジでビビってました。本当に良かった……。

 シンゴジと比べるとどちらが好きか?と言われるとあっちの方が好きだけど、それはそれとしてゴジマイも好き。ただやっぱり一番お気に入りなのは和製バトルシップの部分なので自分のゴジラ映画の中ではスタンダードを外れているかも。


⑥君たちはどう生きるか

オールジブリというか宮崎駿ユニバースというか、「君たちはどう生きるか」のタイトルの前に「俺はこう生きた」とも言いたげな凄まじい映画だった。初日に観に行って本当に良かった。
……良かったけど米津の主題歌に相当信頼を置いてないとあんな終わり方普通できないだろ!余韻丸投げじゃねーか!どうなってんだ宮崎駿!!

 NHKの宮崎駿のドキュメンタリーヤバかったスね。とはいえ、あれもこの映画の一側面でしかないと思うので観て感じたことはしっかり胸に抱えていきたい。


⑤長ぐつをはいたネコと9つの命

完全に面白いアニメーションで一瞬たりとも飽きさせない上に、スピンオフの続編と思えないほど物語が一本で完結するヤバさ。「長靴をはいた猫」と「猫に九生あり」を組み合わせたヒーローアクションであり、死期に追われる強者の怯えであり、冒険の末に行き着く先の話でもある。アクションパートの圧倒的躍動感、命を刈り取る者であるウルフの恐ろしさ、数々の童話のオマージュ(そしてさりげないディズニーディス)、王道を通り越して黄金のテーマ性を含めて完璧なエンターテイメントとして仕上がっており、それを情熱的なメキシコ音楽で包んだことで凄まじい盛り上がりを見せるクライマックスアクション。マジで良いです。

 今年黒船だった映画その一。最高のアニメーションでありながら。残された人生のケリのつけ方をやっているヤバさは本当にすごい。過去作とかシュレックとか置いといてこれ一本だけでもマジで観るべき。


④県警対組織暴力

アバンから菅原文太が鮮烈な恐喝をかましてきてめちゃくちゃ引き込まれる。ほぼほぼ仁義なき戦いといえばそれはそうなのだが、警察が主役となったことで抗争、利権争いの構図に深みが増したのがデカい。相変わらずエネルギッシュなカネ、暴力、セックスに溢れており、その混沌の中でも菅原文太の渋さで引き締まる画が最高にカッコいい。腐敗した警察を象徴する事の顛末もどこか淡々としており、ノワールものとして一級品の面白さがある。こんにちわ赤ちゃんの使い方が日本一上手い映画。

 仁義なき戦いの流れで軽い気持ちで観たら、マジでヤバいくらい面白かった映画。邦画最高クラスのパーフェクト脚本で、出だしの菅原文太がラーメンを啜っているパートだけで凄まじいエネルギーを感じる。


③ジョン・ウィック:コンセクエンス

最高の背広を着た最高の男が最高のガンアクションをする最高の映画。
壮大なロケーション、圧巻の美術セット、非現実的世界へ誘うライティング、アクションシーンを完璧に捉えた巧みなカメラワーク、その全てはキアヌ・リーブス、真田広之、そしてドニー・イェンという最高のアクションスター俳優の魅力を最大限に引き出すためのお膳立てであり、169分という長丁場を全く感じさせない究極のアクションエンターテイメントとして仕上がっている。
大阪、ベルリン、パリで繰り広げられるアクションシーンはそれぞれ全く別の魅せ方を備えていて全てが見どころしかない。「ジョン・ウィック世界のコンチネンタル大阪はもちろんこんな感じに決まってるじゃないですか?」と言わんばかりの圧倒的サイバー大阪感はめちゃくちゃ最高であり、その中心に真田広之を配置することで全ての格が向上している。そしてドニー・イェン。最高のベストアクトであり、ジョン・ウィックに不足していた最強の殺し屋の同格存在として完璧な配役だった。キャストの顔を立てて台詞は最小に、表情で語る人間ドラマもめちゃくちゃ決まっており、ジョン・ウィックを知らない男として配置されたノーバディはこの映画のMVP。

 オールタイムベスト級のガンアクションとキャスト陣にただただ圧倒された3時間は人生の何にも代えがたい。


②窓ぎわのトットちゃん

トットちゃんに限らず登場人物全員が色気を放つ細やかなアニメーションが圧倒的で、子どもたちの無邪気かつ予測不能な動きを完璧に描いている様がめちゃくちゃすごい。すごすぎて見ているこっちが危なっかしくてドキドキする。
トモエ学園がどんな学校なのか?という説明は一切ないが、そんなことを一切気にすることもなく、校長先生の人格や人柄も相まって学校生活は豊かで素晴らしい。とちわけトットちゃんとヤスアキくんとの唯一無二の関係がめちゃくちゃ……めちゃくちゃ……良いんスよ……良いんスけど……それを死と戦争の影が絶望的に覆うしんどみで情緒をボコボコにされて本当にしんどいんですけど……ちょっと、あんまり過ぎませんか?

 今年黒船だった映画その二。絶句。観たほうがいいですよ、トットちゃんは。本当に観てください。一秒でも早くその”凄まじさ”を体験したほうがいいです。


①グリッドマン ユニバース

ヤバい。極上特撮アニメ12話を一本に凝縮した超絶濃厚映画でありアクションシーンの情報量が異常なことになっている。それも後半に行くにつれ指数関数的に盛り上がり最終的に「そんなとこまで行く!?」とめちゃくちゃビビッた。信じられんくらいファンサ精神に満ち溢れている。
何よりまず空気感があのSグリとダイナゼノンそのままなことが最高であり、TV版では掬い取れなかった部分までフォローしつつ、クロスオーバーならではの見たかった画をしっかり回収しているのが真摯的。割と早い段階で集合するのでワチャワチャ感もすごいが、アクの強い面々をかなりいい感じに全員拾い上げてたのでは。あれだけの人数を捌くのはマジで大変だったと思う。学園祭の演し物の脚本作成が主題となっているのだが、それを通してフィクションの力を信じることが描かれているのも素晴らしく、Sグリ・ダイナゼノンの物語の延長として一本芯が通っているのがめちゃくちゃ強い。完璧に理想的な続編でありクロスオーバー映画。
やっぱり一番の焦点はSグリ本編の後、再び記憶をなくした裕太と六花の恋模様になるのだが、ここがね……めちゃくちゃ良いんですよ……マジでね……。いや、すげーよ10代ジャリの青臭さすぎる青春模様。これこれ、これだよ限りある生命の力ってモンはよォ〜〜〜!!よもゆめ先輩ら見てみ?あいつらイチャつくだけで展開が変わるんだぜ?青春特撮アニメ、マジで最高〜〜〜〜〜!!!

 ぶっちゃけ①~③は同着と言っても過言ではないんだけど、やはりSSSS.GRIDMANから始まった物語がここで完璧にフィナーレを迎えたのがまずもって最高だし、電光超人グリッドマンを全話完走してしまったパワーが乗っかってしまってるので仕方ない。


(終わりです)

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