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瀬戸市のマメナシ

桜の季節が来ました!あちこちにピンクが爆発、心躍る季節ですね。桜と同時期に咲く花は色々ありますが、マメナシもそのひとつ。とても希少な植物です。
白く可憐な花は、桜のようですが、大きさは2.5cmほどと小さめ。雄しべは先端が濃い赤紫の20本で、アクセントを添えています。ナシの花によく似ており葉が出始めているのもナシと同じで、白い花と若葉が清々しい美しさ。
実が直径1センチの小さいナシのようなので、マメナシ。渋みがあり食べられません。イヌナシとも言います。イヌは役に立たないという意味。バラ科の落葉高木。

落ちていたマメナシの実

7万年前の氷期の遺存植物で、不思議な分布で残っています。日本では東海地方のみ、外国は、朝鮮半島、中国、ベトナム北部。東海地方では約400本が確認されており、三重県、愛知県の一部に自生地があります。絶滅危惧種(環境省レッドリストでは絶滅危惧IB類、愛知県のレッドリストでは絶滅危惧IA類)これは何らかの保護がされなければ、近いうちに絶滅する可能性が高いというカテゴリです。

雨の中の観察会

愛知県瀬戸市には、水南小学校周辺に7本の自生が確認されており、そのうち1本は市指定天然記念物です。水南小学校校庭はかつて孫田川の谷筋であっため、湿地を好む植物が生育。以前はマメナシの群落が見られたそうですが、開発により激減しました。実際この数年でも道路拡張のため大木が1本、県有林の手入れで4本伐採されています。

校庭の自生木が満開

3月26日、マメナシの観察会が行われました。雨空のなか満開のマメナシと桜を楽しむことができ、ピンクと白のコントラストが見事でした。主催は瀬戸市・(公財)瀬戸市文化振興財団、協力はせとマメナシ観察会。せとマメナシ観察会は、2002年マメナシ等の観察・保全のために発足し、水南小学校の「マメナシ学習」を通じて自然・植物・環境について啓発をしています。授業の一環で児童による発芽体験が行われており、発芽率は1割前後という低さだそう。

各児童が植木鉢ひとつを担当。発芽しない鉢も少なくない

観察会では小学校校庭と離接する公園の自生木を中心に観察。数年前に伐られた県有林の2本は幸い株の部分が残っていたため生きており、その状況も見学しました。水南保育園と東松山公園、会の協力により卒業生が植えた記念樹など、植樹されたマメナシも花盛りでした。                     

瀬戸市天然記念物指定木(2023.3.24)

参考:愛知県瀬戸市歴史文化基本構想 (http://seto-guide.jp/)
  「せと歴 せと歴史と文化財を知る見学会 水南のマメナシ界隈」資料
     
                                                                                              上杉あずき@STEP

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