上杉あずき@STEP

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最近の記事

瀬戸市を流れる愛知用水をたどってみたら,ジブリっぽい風景や静かな水路に出会えた

古そうな金属の水門と苔むした階段は、ジブリの映画の1シーンのようだった。周囲の伐採で、これまで隠れていたものがあらわになっていたのだ。その上部を愛知用水が流れているのを知っていた。これがきっかけとなり、愛知用水を散策した。 愛知用水は愛知県の尾張地方を通り、知多半島まで100km超にわたって水を運ぶ施設だ(幹線水路)。瀬戸市を流れているとはいうものの、断片的にあちこちで目にするのみで、よくわからなかった。調べてたどってみると意外なルートを流れており、いくつものジブリのような風

    • 干支供養

      中外陶園(愛知県瀬戸市薬師町)で干支供養が行われた。 中外陶園は干支や季節飾り、招き猫などの陶器人形を製造している。「1年間大切に飾った干支をゴミにしてしまうのはしのびない」というお客の声を受け、メーカーとして供養を始めた。今回で35年目、新型コロナの影響で3年間は社内で行ったため、4年振りの一般開催となる。以前はおでんや甘酒のふるまいなどもあったそうだ。会場には干支をどっさりと積み上げた小山があった。総数約4500体、材質は陶磁器のみ。すべての歳の干支が、大小・各色取り交ぜ

      • 左義長(ドンド)

        1月7日、瀬戸市幡山町(愛知県)で左義長が行われた。新型コロナのせいで、4年振りの開催となる。これまでニュースなどで全国の左義長の話題を目にすることはあったが、実際に見るのは初めてだ。 『瀬戸市史(民俗編)』によると、かつては市の各地区で行われていたそうで「この行事を市域ではドンド、ドンドコ・ドンド焼きといい、幡山・今村地区ではサギチョウ・サギッチョ(左義長)ともいった」とある。(以下も引用は全て『瀬戸市史(民俗編)』による) 「小正月の前日にあたる正月一四日か一五日の夕方に

        • 水野の天然記念物

          12月3日、せと 歴史と文化財を知る見学会「水野の天然記念物」に参加した。愛知県瀬戸市の水野地区は市中央から北方、水野川沿いの訪ねどころの多い地域だ。今回は4本の名木とその周辺の歴史を巡る半日のコース。郷土史研究家の松本博司氏、自然に詳しい上杉毅氏、埋蔵文化財センターの岡本直久氏に解説していただいた。主催は瀬戸市文化課と(公財)瀬戸市文化振興財団。 「水北町のイチョウ」は『瀬戸の名木』の1番、幹周395cm、樹齢約200年。折しも紅葉シーズン、周辺の山は広葉樹がところどころ

        瀬戸市を流れる愛知用水をたどってみたら,ジブリっぽい風景や静かな水路に出会えた

          瀬戸図書館友の会

          瀬戸図書館友の会(以下、「友の会」と呼ぶ)、それは瀬戸市立図書館(愛知県)を支えてくれているボランティアグループ。しかし、その活動内容は意外と知られていないように思う。ということで、会長の加藤絹子さんにお話しを伺った。 ちょうど図書館2階市民ギャラリーで友の会作品展が開催されていた(2023.8/24~9/20)。写真、絵、陶芸、押し花etcと多彩な作品。特に私が目を奪われたのは、製本。文庫本に北欧風の布の表紙がつけられている。友の会ではこんなに色々な活動が行われているのだ

          瀬戸図書館友の会

          ランタンフェス inセト

          愛知県瀬戸市で10月14日夜、ランタンフェスinセトが開催された。ランタンと言えば、タイのコムローイ祭りが連想される。火を点けた灯篭が無数に夜空に上がっていく幻想的なものだ。瀬戸市のランタンフェスではどんな光景が見られるのだろうか。どんな人たちが参加するのか。ランタンの構造はどうなっているのだろう。 主催は一般社団法人瀬戸青年会議所。前年も瀬戸西高校の校庭で200基のランタンを上げたという。参加者は500人(中日新聞2022.10.28)、来場者は700人(中日新聞2023.

          ランタンフェス inセト

          さようなら 古瀬戸小学校

          瀬戸市立古瀬戸小学校(古瀬戸町)は2020年3月末に廃校になった。筆者は卒業生ではないが、子供二人が通ったので、PTAや授業参観などで何度も来校した。また連区の運動会や盆踊り、選挙投票などでもお世話になってきた。地域に馴染み深い拠点が、このほど取り壊されることになった。 閉校時はコロナ禍で記念の式典ができなかったこともあり、校舎の解体を前に、卒業生らによるお別れイベントが行われた。OBや地域住民らが多数来校し、長く親しんだ学校との別れを惜しんだ。 8月13日午前10時から体

          さようなら 古瀬戸小学校

          夏越大祓 深川神社

          6月終わり頃になると、あちこちの神社に茅の輪がしつらえられる。くぐらせていただくことはあったが、神事に参加したことはなかった。今回、産土神の瀬戸市深川神社で初めて参詣した。 夏越大祓(なごしおおはらい)~茅の輪くぐり神事~ 「知らず知らずのうちにふりかかった半年間の罪(つみ)穢(けがれ)を祓い清め、残る半年を清々しく迎えていただきます。また、茅の輪をくぐり、暑い夏を健康に過ごせるように願います」と深川神社ホームページにある。1年の半分が終わったことを思い返し、新たな半年を

          夏越大祓 深川神社

          幻の龍淵を見に行く 瀬戸市赤津

          龍淵または龍ヶ淵は、「たつがふち、りょうがふち、りゅうがふち」などと読まれる。かつては瀬戸市の観光スポットであった。近年は所在がわからなかったのだが、伊藤嘉章さんが探し出した。伊藤さんの案内により、現地を訪ねた。 尾張名所図会 尾張国の名所、旧蹟、名物などを紹介した江戸時代のガイドブック『尾張名所図会』。現存するものも多数記載されており、今読んでも楽しい書物だ。瀬戸市であれば、定光寺、岩屋堂、雲興寺、深川神社などは絵と説明文で詳しく紹介されている。その中のひとつの龍淵は、

          幻の龍淵を見に行く 瀬戸市赤津

          ヒトツチ せと末広町商店街にオープン

          え?なに屋さんなんだろう? 一歩入ったとき、いろんなジャンルのものが目に入って混乱した。白を基調としたすっきりとした店内には瀬戸らしい陶磁器もあれば、繊細なアクセサリーもあるし、子どもの工作向けらしいものや、食品もある。「店のものはどれも瀬戸のものばかりなんですよ」と代表の南慎太郎さん。えー?私、瀬戸にけっこう長くいるんですけど。見たこともない商品がたくさんあるよ! それもそのはず。瀬戸で作ってはいるんだけど、地元では流通せず、東京とか海外とかギャラリー向けのものも多いとの

          ヒトツチ せと末広町商店街にオープン

          トランシルヴァニア料理  ナトゥール・ビュフェー

          トランシルヴァニアとはどこだろう。東欧・ルーマニアの北西部、ドラキュラ伯爵の伝説で有名である。歴史上ハンガリー、ルーマニア、オーストリアと複雑に統治が変化したが、ハンガリーであった期間が圧倒的に長く、文化・言語もハンガリーの住民が多い。トランシルヴァニアとはラテン語で「森の向こう(の国)」、山脈に囲まれた緑豊かな地方である。 店名「ナトゥール・ビュフェー」はハンガリー語で「自然の食堂」という意味。「高級レストランではなくて、気軽に食べに行ける地元の食堂」がビュフェーなのだと

          トランシルヴァニア料理  ナトゥール・ビュフェー

          新春の中馬街道を歩く

          中馬街道 中馬街道(信州飯田街道)は、江戸時代中期以降に名古屋と信州・東濃を結んだ街道である。中馬とは馬運の中継地のことを言い、馬の背に積んだ物資の輸送が盛んに行われていた。信州や美濃からは農産物や林産物、名古屋や海部からは、塩、茶、海産物など、また瀬戸・美濃の陶磁器も運ばれた。農民の農閑期の副業でもあったという。愛知県瀬戸市の品野地区では古くからの街道の景観が残されており、令和元年に文化庁から「歴史の道100選」に選定されている。 新春の中馬街道を歩く会 3月19日、

          新春の中馬街道を歩く

          瀬戸市のマメナシ

          桜の季節が来ました!あちこちにピンクが爆発、心躍る季節ですね。桜と同時期に咲く花は色々ありますが、マメナシもそのひとつ。とても希少な植物です。 白く可憐な花は、桜のようですが、大きさは2.5cmほどと小さめ。雄しべは先端が濃い赤紫の20本で、アクセントを添えています。ナシの花によく似ており葉が出始めているのもナシと同じで、白い花と若葉が清々しい美しさ。 実が直径1センチの小さいナシのようなので、マメナシ。渋みがあり食べられません。イヌナシとも言います。イヌは役に立たないという

          瀬戸市のマメナシ

          プラスチック製容器包装の回収 瀬戸市

          2022年10月から愛知県瀬戸市でもプラスチック製容器包装の分別収集が始まった。 資源ごみは、「びん・缶・ペットボトル」と「紙類・古布」が1週おきに収集されており、プラ製容器包装は紙類の週に加わる。すでに他自治体では行っているところも多いので「いよいよか!」というところだ。スタートしたばかりでわからないことやとまどうこともある。瀬戸市役所環境課(ごみ減量担当)の堀田博嗣さんにお話を伺った。 なぜ回収が始まったのか 瀬戸市の燃えるごみは、尾張東部衛生組合晴丘センター(尾

          プラスチック製容器包装の回収 瀬戸市

          秋の中馬街道を歩く

          中馬街道(信州飯田街道)は、江戸時代中期以降に名古屋と信州・東濃を結んだ街道である。 中馬とは馬運の中継地のことを言い、馬の背に積んだ物資の輸送が盛んに行われていた。信州や美濃からは農産物や林産物、名古屋や海部からは、塩、茶、海産物など、瀬戸・美濃の陶磁器も運ばれた。農民の農閑期の副業でもあったという。 愛知県瀬戸市の品野地区では古くからの街道の景観が残されており、令和元年に文化庁から「歴史の道100選」に選定されている。 令和4年11月、「郷土の歴史と文化を広める会」による

          秋の中馬街道を歩く

          窯垣の宝さがし―愛知県瀬戸市・北新谷地区

          窯垣《かまがき》、それは瀬戸の歴史を伝える美しい幾何学模様である。古い建物の土台や塀に、丸や四角の組み合わせがモダンなパターンを描いている。 窯垣といえば仲洞町の「窯垣の小径」が有名。しかし今回は、尾張瀬戸駅周辺の古い地区を散策するイベントに参加した。普段歩いたことのない地域は窯垣の宝庫であった。 窯道具の再利用 瀬戸は千年の歴史を持つ焼き物の街である。山の傾斜に登り窯を造って陶磁器を焼成した。窯の房の床面にぎっしりと製品を並べても上方の空間が余るが、棚を作れば何倍もの

          窯垣の宝さがし―愛知県瀬戸市・北新谷地区