【読書メモ】朝方勤務がダメな理由|三島和夫 著

以前書いたnote、「夜型人間かな?と思ったら受けておきたい睡眠診断」で参照していたナショジオの同著者Webコラムのよりすぐり本があるとのことだったので読んでみた。

※国立精神・神経医療研究センター作成の睡眠型セルフチェックも掲載されている。

夜型は遺伝子で決まっているー夜型人間に対する福音

夜型人間・朝型人間は遺伝子でおおむね決まっており、加齢によって多少の変動はするけども、持って生まれた睡眠タイプは簡単には変えることができない。

睡眠学の世界によれば、人間の睡眠とはそういうものらしい。

これを目にして、夜型の人は「努力で夜型は治らないんだ」とがっかりするかもしれないが、私はかえってこれは夜型に対する福音ではないか?と感じた。

なぜかというと、昔から「朝早く起きれる人が偉い」という風潮に疑問を抱いてきたからだ。

起きるのが得意な時間帯がバラけている方が、「野生の生き物」としては正常で、私達は社会化にともなってそれを無理に人口の多くて主張の強い「朝型・短時間睡眠者」にあわせているだけなのだと、あらためて実感できた。

朝型にも弱点はある

本書は、夜型の人の冤罪を晴らすのと、表題にもある朝型シフト勤務(サマータイム)の危険性の話だけではなく、朝型の人の弱点についても記述されている。

彼らは、夜と昼の2交代制の勤務という、睡眠時間のリズムに変化があることに弱いらしい。

どれだけ頑張っても遺伝子による睡眠型は変えられない。ならどうする?

逆に夜型の人は、どれだけ頑張って平日規則正しく睡眠生活を送っても、週末に夜更かしや寝だめをしようものならすぐにでも夜型の睡眠サイクルに戻ってしまうとのことだった。

それほどまでに、私達の睡眠にまつわる遺伝子は強固なのだという。

もちろん、例に挙がっていた「登校時間を遅らせる」といった社会の側の対応も必要だろう。

でも日本社会ってどうもそういうところで根性論というか、頭が古いというか、ニブチンで腰が重いところがあるので、まずは自分で取れる対策を取り入れていくしかないだろう。

「自分は夜型サイクルの持ち主である」という自覚を得るだけでも、行動指針としてはとても大きいように思う。

不眠や過眠、睡眠薬が手放せなくなるメカニズムも掲載

その他、うつやメンタル系の疾患で問題になりやすい不眠・過眠や、睡眠薬の量が徐々に増えたり、手放せなくなるのはなぜか?というコラムも掲載されていた。

睡眠薬を増やしても不眠が改善しないのは、脳波としては眠れているのに、意識の上では「眠れていない」と認識しており、実際の睡眠と「眠れた感」に齟齬が生じているからだという。

これはネットの十把一絡げの上っ面を撫でるような解説記事では知ることができなかった知識であり、大変勉強になった。

自分の睡眠がおかしいかも?夜型かも?と思っている方は、ぜひ一度読んでみてほしい。


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