見出し画像

公民連携事始その3

2015年10月1日

  • 「脳内ダダ漏れで作文をしろ」という師匠からの厳しいご指摘があったので気を取り直して「人材育成」という観点から公民連携を語ってみる、試みる。


人材育成のことは二つ

一つはエース候補生を見つけ、優秀なコーチと会わせること

何のことだかわからないでしょうが、大阪府大東市で進めている公民連携事業には二人の大エースがいて、一人は株式会社コーミンの入江智子社長、もう一人は大東市職員で理学療法士の逢坂伸子さんだ(さん付け初めて笑)

逢坂さんとは市役所入庁同期でもう30年以上のお付き合いになる。
大東市は全国でも有名な「地域リハビリテーション」思想の発祥の地でこの考え方はその後の「ノーマライゼーション」につながり、今でも視察に訪れる方がいらっしゃる。この地域リハビリテーションを提唱されたのが故人の山本和儀氏で、この方も大東市の職員で、理学療法士を10万規模の市、それも病院付けではない職員として採用し「リハビリテーション課」を全国唯一設置していた。
逢坂さんはその山本さんの愛弟子でちなみに僕は当時企画課職員だったけども気に入られて最後の弟子に認めていただいた。
山本先生の著書はこちら↓

https://www.amazon.co.jp/gp/product/4823051106/ref=dbs_a_def_rwt_bibl_vppi_i1

「市民が主役」とは既に公民連携の萌芽が垣間見えるのだけど、実はこのことが逆に難しさにもつながったのだ。

逢坂さんとは異なる職場であったにも関わらず、山本先生が在職中はもちろん退職されたのちもたまに意見交換していた。先生が亡くなられてから一時期疎遠にはなったが、役所内部の若手プロジェクトチームで顔を会わせる機会もあり、ケミストリーも合ったのでしょう、年に一度はデートという名で要するに愚痴を聞いてあげていた。
その頃まだ私は企画課に在職し、予算要求時に事業採択をする部署を実質切り回していた存在だったので、彼女にしてみればなんとかやりたいことを認めてほしい一心だったのであろう。ただ当時の企画課職員は「地域リハビリ」を全く評価しておらず、山本先生在籍時から予算ヒアリングでは火花が散っていた。企画という政策を先導すると自負していた集団からすれば、出先の課が国に求められていたことに対する嫉妬もあったのだろうと推測できる。
私は「地域リハビリ」の現場に山本先生に連れて行かれ学会などにも潜り込ませていただいた経験上、賛同していたので、事業採択の時は板挟みになっていた。なんとか「地域リハビリ」色を消して、事業ではなく経費に潜り込ませるなどを逢坂にアドバイスを送り彼女のしたいことを少しずつ認めてきたつもりだ。
小さな積み重ねがやがて画期的な取り組みにつながっていく。
「大東元気でまっせ体操」の開発だ。
でまっせ体操の詳細は下に委ねるとして、単なる体操をするのではなく、体操を通じて住民主体のコミュニティの再生と財政負担の抑制、個人の健康維持、回復につながるという複数の都市経営課題を都市財政、地域、個人分野で解決するソリューションなのだ。



この大東元気でまっせ体操に続く事業として彼女は「生活サポーター制度」を立ち上げようとした。この時、でまっせ体操の地域の高齢者がそうだったようにボランティアで高齢者の身の回りのお手伝いをホームペルパーのような資格者によって実施させて介護給付費の増大を招くような事態を避けようとしたのだ。資格者はもっと介護度の進んだ方へ振り向けないと団塊の世代が全員後期高齢者入りする2025年度を迎えるにあたって担い手不足は明らかだった。
そのことに関しては良いとしても僕は「サポーター」がボランティアというのが納得できず、逢坂とかなり議論した。
彼女は「地域リハビリ」思想である住民主体=ボランティアで行う無償の愛にどっぷりと浸かっていて理論構築も僕なんかよりも深く僕は歯が立たなかった。
それでもなんか違うという違和感をずっと持っていて、互いに歩み寄ることにして、時間五百円、ワンコインを原則にしようと折り合った。
彼女はその後、この仕組みをさらに深掘りして「時間貯金」としてサポートした時間を貯金するかお金で受け取るかの選択制にし、多くの方は時間を貯めているよう。

地域健康プロフェッショナルスクールへ

僕はこの大東元気でまっせ体操と生活サポーター制度は大東市の魅力アップとともに稼ぐ事業になると朧げに感じていた。このスキームを全国の自治体や日本よりも遅れて高齢化が始まるアジアに売り込もうと逢坂を何度も説得するも、ここでも「福祉を金に換えるなんて」と拒否され続けた。
心の中では「お前も、銭儲かりまっせって宣伝してるやん」と蔑みながら笑

諦めきれない僕は、ちょうど2015年から師事していた清水義次さん、岡崎正信さん、木下斉さんに大東市の介護予防・総合事業のことを説明し、逢坂を会わせることにした。
お3人、特に木下さんが熱心に逢坂に公民連携事業、特にこれからは社会保障、エネルギー、教育分野での必要性を説いていただいた結果、第三セクターである大東公民連携事業まちづくり会社(現在株式会社コーミン)の入江社長によって彼女のノウハウを全国の心ある自治体職員に教える「地域健康プロフェッショナルスクール」としてビジネス化することになったのである。


逢坂伸子編はこの辺にして、次回は。。。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?