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作品紹介:チョコレートのグリーティングカード

02:Would you like a Chocolate?

azroom DOLCE / Paper Milk Chocolate
100% Paper, No fat(封筒1)
photo…安永ケンタウロス
  • カード…OKACカード?222kgにレタープレス(空押し)

  • 封筒1…ざら紙に特色2色刷り(レトロ印刷JAM) 手成形

  • 封筒2…トーレシングペーパーに水玉模様をレタープレス(透明インク)上質紙とマスキングテープで封かん



娘たちが3歳・1歳くらいの頃だったと思う。

突然思い立って、グリーティングカードを作るようになった。


最初は、A4用紙を大判ハガキサイズにカットして、紙やフエルトをコラージュしたり、とってもファンシーで「主婦の手作り感」いっぱいのものを作っていた。それを突然、知り合い10人くらいに送ったりして。

今思うと相当めいわく!笑

皆んなよく誰も「止めて」って言わなかったな〜。今じゃできないですね。


そんなある時。
活版印刷を知り、心を奪われた。
もともと紙好きなのもあって、イベントに出向いたりして、作家さん達と交流を持ったり、業者さんとお話をしたり。

子育てに追われて、なんにも出来なくなってしまった毎日に、少しだけ光が射したような感覚だった。当時は、もう一生楽しいことなんか私に起こらない、くらいに思い詰めてブルーになっていたから。(ワンオペ育児あるある)

そんな中、ひょんな事で“レタープレス”という家庭用活版印刷機の存在を知る。きっかけは忘れてしまった。

デザイン仕事もほぼ請けられなくなって収入も全然なかったけど、どうしてもどうしてもそのレタープレスは私に必要だった。雨の中を、銀座の伊藤屋別館から持ち帰ってきた時のこと、今でもよく覚えている。大きくて重い箱を、濡れないように両手で抱きかかえて最寄り駅からの道を歩いた。


とにかく、「何かを作りたい」という強い気持に、あの頃は駆られていた。

作ったからどうなる、とか
どうなりたい とか

そんなことは何も考えていなかった。

ただただ、魚が浜で口をパクパクしてるように、自分の中に湧き上がった何かを表現したい、外に出したいという思いでいっぱいだった。

作ることでお金がなくなるのは怖かったけど、それよりも大切にしたいことが、確かに私の手の中にあって。それを両手で温めることに一生懸命だった。

レタープレスで初めて形にしたのが、このカード。
イラストレーターで作ったデータを製版屋さんに投げて、樹脂版にしてもらった。


チョコレートの柄は、「azroomDOLCE(アズルウムドルチェ)」と名付けた自分の初めてのブランドの、ロゴタイプとロゴマークを交互に配置。二つ折りカードをアルミ箔で包み、本物のチョコレートっぽくデザインしたもの。
(大きさも市販品を買ってきて同じにした)
余った紙の端切れで、ミニチョコカードも作った。

さくらんぼの乗ったカップケーキはazroomDOLCEのロゴマーク。

封筒はざらざらした紙にこだわりたくて、レトロ印刷を初めて試した。A4用紙に展開図をプリント、切って貼っての成型も楽しんだ。

『ポストに届くエンターテイメント』というコンセプトで始めたグリーティングカード制作の、記念すべき第1弾。

今も、この作品を見ると、あの時の気持にアクセスすることができる、私の表現の原点とも言える作品です。

バージョン違いの封筒2は、トレーシングペーパー。こちらもA4から展開図をカッターで切り出して折って貼って成形。最後にレタープレスで水玉模様を「透明インク」で印刷。


のちに、その製版屋さん(真映社様)からお声がけいただき、手紙社さん主催のパンフェスの出展ブースにこのカードとクッキーのカードを置かせて頂けたことはすごくすごく大切な思い出です。
初めて、自分の作ったものをひと様が買って下さったのは、言葉にできないくらい嬉しい体験でした。


カードづくりから始まった「表現する」、ということは

布でバックを作ったり
本格的な紙のプロダクトを作ったり
心のうちを文章にしたりと

あれから10年あまり経った今も、形を変えながら私の人生で大切なテーマとして生きています。



これを読んで下さったあなたにも、
もしかしたら
「表現したい」
「作ってみたい」
何かがあるでしょうか。

もし
迷っているなら

それ、絶対やったほうがいいです。



誰のためでもなく、自分のために。

自分に贈る、大切なプレゼントとして。

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