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ef - a fairy tale of the two. 感想

シナリオS キャラA 音楽A 演出S
総評S

アニメ化もされ, 一部からは高く評価されているもののどことなく影の薄い作品。複数の主人公, ヒロイン目線で語られていく青春群像劇。その御伽話ひとつひとつが全て質の高いシナリオであるが特に最終章が別格で, 感情が完全に破壊され涙が止まらなくなる。複雑な設定などなくただただ文章力と演出のみで物語が構成されており, 美少女ゲームにおける青春学園モノの一つの到達点だと感じた。何というかケチの付け所がないし凄く丁寧に作ってあるなと感じた作品。

良かった点

①シナリオ
心理描写の細かさが他の作品と比較しても明らかに丁寧であると感じた。それに加えてキャラの思考回路が現実的(商業用に作られたようなキャラづけでない)なため, キャラに対して感情移入がとてもし易い。正直それだけで面白い。また, 全体を通して整合性のとれていないところがなく, 純粋な完成度も高い。そして何より今までバラバラだった話の全てを回収する最終章。全てが繋がる様も見事だったが, シンプルにそのストーリーやメッセージ性に非常に感動した。
②ムービー

後編が2008年発売とかの筈なのに今の作品よりよっぽどムービーの完成度が高い。まず, 普通に立ち絵から動く。しかも全編。そして何よりもオープニングムービー。新海誠が監督しているというだけあって凄くヌルヌル動くし曲と映像の親和性も高い。どことなく秒速5cmや言の葉の庭を感じるため新海誠を見たことがある人ならそれだけでも面白いと思う。シャフト制作のエンディングも流石の出来であった。最初から最後までありえないクオリティの映像技術で作られているので正直見てるだけでもかなり楽しめた。あと全部終わった後に見返してファーストop映像にも伏線があると知った時は感動した。
③濡れ場
エロゲあるあるが「その作品エロ要素要らなくないか?」だと思うのだが, この作品はとりあえず挟まれた濡れ場はなく, シナリオに必要な濡れ場しかないためそういう違和感がない。正直シナリオで売ってるエロゲは最低限この程度はして欲しい。

悪かった点

①ファンディスク
蛇足だと思う。本編があまりにも完成されすぎていたせいでどうやっても蛇足になってしまう感は否めないけど。
②濡れ場
なんかエロくない。自分に刺さらなかっただけかもしれないけど。

最後に

語られることの少ない作品だけど個人的には歴史の中に埋もれてはいけない作品だと思う。新海誠の評価が上がっている近年, ついでにもう一度日の目を見てくれると嬉しいなとそう感じる。

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