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観たもの、聴いたもの、読んだもの(2023.06)

01.書籍

01.プロジェクトヘイルメアリー

火星でのんびり農業ライフをする『オデッセイ』の作者の新作。
地球のピンチに1人の科学教師が立ち向かうというスケールの大きい話。
久しぶりの上下巻構成だったので、読むのに時間がかかった。
特に上巻の終盤は、状況が脳内で想像しづらくて苦労した。
下巻まで行けばスラスラ進むのだが、SF初心者には翻訳文のハードルが高いと思う。
主人公の相棒が大変かわいい存在なのだが、ネタバレになるので語れないのが残念。
登場人物も意外と少ないので読みやすい。
自分のお気に入りは、気弱な主人公を引っぱたいてミッションに巻き込むストラット女史。
最初から最後まで人類のために行動する芯のブレなさが良い。
映画化は決定しているので、誰が演じるか楽しみ。

02.新しい世界を生きるための14のSF

SF大好き伴名 練先生が選書した14の短編集。
どの作品も毛色が違って皆良い。
お気に入りは以下の作品。

  1. 回樹 : 恋人の死体を盗む話。ジャンル的には百合SFなのだが、SF要素は薄め。どちらかと言えばファンタジー。倦怠期の百合カップルのやりとりが妙に生々しい。作者の細かい心理描写が好きなので、単行本も購入した。

  2. もしも僕らが生まれていたら : 世界の危機に向きあう科学少年たちの話。隕石落下を防ぐために知識を総動員する姿が良い。また、ラストは意外な結末が用意されているが、建物の名前で分かるようになっている。しかし、タイトルの伏線回収は見事。

  3. ショッピング・エクスプロージョン :  勢いのみで駆け抜けるギャグSF。ノリは『ニンジャースレイヤー』。激安の殿堂『ドン・キホーテ』に喧嘩を売ってるとしか思えない世界観でゲラゲラ笑えた。こういう作品は数が少ないので貴重。

  4. 無脊椎動物の想像力と創造性について : 遺伝子改良された蜘蛛によって変わっていく世界を描いた作品。蜘蛛の巣に覆われた京都の描写が圧巻。パニックホラーのように見えるが、現実的な肉付けをされているので陳腐さはない。昔読んだ栗本薫『黴』を思い出した。

03.回樹

『新しい世界を生きるための14のSF』に収録されていた表題作が良かったので購入。買って正解の一冊。
『回樹』と同じ世界観の『回祭』も非常に良かった。
(5回くらい読み直してる)
表紙が『アクタージュ』の宇佐崎しろ先生なのも良すぎる。
是非とも、このコンビで映像化して欲しい。
以下は作品評。

  1. 骨刻 : 骨にメッセージを刻む技術が実用化された世界の話。現実的にあり得そうな技術が応用された世界が面白い。宗教的な分野と結びついて、しんみりとしたラストに収まるのは予想外。

  2. BTTF葬送 : 名作映画を葬る世界の話。タイトル通りBTTFで〆る作品なのだが『ネバーエンディングストーリー』が出てくる辺りは、作者は同年代なのだろう。

  3. 奈辺 : 黒人差別のある時代のアメリカの話。肌が緑色の宇宙人や、黒人と白人の入れ替わりなど、ライトノベル的展開なのだが、テーマがしっかりしていた。読み終える頃には登場人物が好きになっていた。

  4. 回祭 : 『回樹』と同じ世界の話。こちらも激重百合SF。今度はワガママお嬢様と使用人の関係を描いている。SFといっても突飛なことは起きないのだが、心理描写でグイグイ読ませてくる。ラストの喪失感にハマって数回再読している。

04.屋根裏に誰かいるんですよ

絶版状態だったが、SNSで話題になり再販された。
23年経ってようやく日の目を見た)
精神科医による都市伝説の分析。
「屋根裏から男が侵入してきて部屋の中を漁る」という老女の訴えから話は始まる。
ノンフィクションなので派手な味付けはないが、淡々と事実を語られるのは怖い。
以下は印象に残った話。

二人は自宅で鍼灸業を営み、それなりに繁盛していた。しかしある年の夏、妻に妄想型精神分裂病が発病した。宇宙からの通信を受けはじめ、もうすぐ宇宙から素晴らしい人がやってくるといったインスピレーションを感じるようになった。
約2年後、夫は〝宇宙語〟と自称する言葉をしゃべり始め、半年後には妻も同調し、二人は〝宇宙語〟で交話することもあった。また、二人は、被害妄想に基づき近所に抗議に行ったり、通行人を怒鳴り追いかける際にも〝宇宙語〟を発し、近所の人々を驚かすこともあった。

屋根裏に誰かいるんですよ

二人組精神病と呼ばれるケースで、妻の精神分裂病が夫に移り、宇宙後を話し始めたという事例。
その後、妻が暴力沙汰で逮捕されると、夫は正常に戻った。
1番ゾッとしたのは、宇宙語を最初に話し始めたのが夫ということ。

02.マンガ

01.Garden

YouTubeのマガゾンで紹介されていて購入した作品。
閲覧注意で袋とじを開けないと読めない『エミちゃん』が有名。
期待して読んだのだが、グロさが前面に出ていて話の面白さは感じなかった。
作者本人も巻末で述べているが、爆発するように描いた内容。
感情をぶつけて書き殴っているので、整合性などは求めない方が良いのかもしれない。
個人的には錬金術師が月の研究をする『月の書』という短編が良かった。
こちらは何度か読み直している。

Garden

02.出会って4光年で合体

成人向け漫画(R18)
SNSで絶賛されていたため、購入。
非常に難解な作品で、軽く一読しただけでは良し悪しの判断は付かない。
良くも悪くも普通の漫画は読み飽きた人向けの作品。
アフタヌーンとかガロ系の作品が好きなひとは買うべき。
文章量も多く、読み終えるには1時間半はかかると思う。

出会って4光年で合体

ヒロインの家に向かうまでの道がやたらと芸術的で印象に残った。
ちなみに上記の人物は主人公。
なぜか作者はブサメンを主人公にしたがる。

03.映画

特になし。
今月は視聴せず。最近は見たい映画が少ない。

04.ドラマ

01.どうする家康

家康の妻である瀬名が急に平和な共栄圏についての思想を語りだして困惑した。
現代の思想を大河のキャラに喋らせる展開は正直苦手。
スイーツ大河と揶揄されても否定はできない。
何というか脚本力が弱い気がする。

05.音楽

特になし。古い曲ばかり聴いている。
人は17歳の時に聴いた音楽を一生聴き続ける」という言葉がしっくり来る年になってしまった。

人は17歳の時に聴いた音楽を一生聴き続ける

もう7月なので、そろそろスマフォのプレイリストを夏仕様にしようと思う。
『波乗りジョニー』と『少年時代』は欠かせない。
特に何かあるわけではないが、夏はテンションが上がる季節。

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