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今日も今日とてデニムを愛してる

「VICERER(バイスラー)」
40年以上前に流行ったこのデニムブランドを知っている人がどれくらいいるのだろう。
「ジーンズ発祥の地」岡山県井原市に存在した、三啓被服という会社がおこしたブランドであり、最盛期は年間500万本(!!)ものジーンズを生産していたという。

だけど、もう、このブランドは存在しない。

数回の社名変更ののちに、繊維業衰退の時勢に漏れず、ジーンズ製造を含めた繊維事業は廃業。
それは、苦渋の選択だったと聞いている。
そして、残ったのがホテル事業であり、ANCHOR HOTEL FUKUYAMA(アンカーホテル福山)を経営している株式会社サン・クレアである。

わたしたちは、ANCHOR HOTEL FUKUYAMAを立ち上げるまで、なるべく過去を掘り起こさずにやってきた。
それは、まるで傷を隠すような感覚だったのかもしれないし、前に進むための無意識の努力だったのかもしれない。

(実は、それ以前から経営している他のホテルの制服をデニムにしようと提案した時に、バッサリと却下され、「あ、これは触れない方がいいんだな…」と空気を読んだこともある。)

誰にだって、蓋を堅く閉ざした過去のひとつやふたつはある。
だけど、何かのきっかけで、蓋が開かれた時、
堰を切ったように思いが溢れて、それが未来へまっすぐ伸びるような感覚になることがある。
それが、わたしたちにとってはデニムだったし、この土地のものづくりだった。
そして、蓋を開いてくれたのは、ANCHOR HOTEL FUKUYAMAだった。

いま、ANCHOR HOTEL FUKUYAMAが
『地元の素晴らしい技、物、人を国内外のお客様にアンカリングする』
として、デニムを含めたものづくりを発信していること。
因果なものだなぁ、と思う。

作り手にはなれないけれど、知ってもらうお手伝いはできる。
立場が変わっても、愛するものに携われる。
これまでの生き方を愛おしむことができる。
どんな過去も、未来につながるんだ。
なんて、勝手に遠い目をしてしまう。

わたし自身、広報と言う仕事柄、ホテルの紹介をすることが多いのだけれど、
ANCHOR HOTEL FUKUYAMAのデニムファブリックを誰かに褒めてもらえるたびに、
実はこんなことを思いながら心を満たされている。

▶︎ANCHOR HOTEL FUKUYAMAの公式HP、SNSはこちらから



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