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ナナメに見てたまちづくり会社をつくることになった話。

「この建物、なにか活用してもらえないかな」
そんな相談が来ることが、ここ1,2年で圧倒的に増えてきた。

相変わらずほぼ100%移住者なチームな私たちリビセンだけれど、少しずつこの土地で私たちという存在が形作られていることを感じて嬉しい出来事のひとつ。

不動産事業者でもないけれど「デザインをお願いしたい!」というひとが声をかけてくれるので、そういうひとに「実はこんな物件あるよ」とおせっかいにも物件を紹介する、ということをここ数年やってきましたが、
私がそうやってこそこそおせっかいを焼いている一方で、最近はが「すわエリアリノベーション社」というまちづくり会社をつくりました。

田舎だとよくある「大きすぎてひとりじゃ手に負えないけど、いい建物だよね…」という物件。
そういう大きな建物をすわエリアリノベーション社で買ってリノベして、身の丈にあった事業をやりたいと思っているひとたちが、サイズやコスト共に手に負える規模感にして貸し出す、という、ざっくりいうとそんなことを目的とした会社のようです。


正直、まちづくり会社、っていう言葉に対してめっちゃくちゃナナメに見ていたところがありました。

🤔まちづくりて!まちは、住んでいるひとたちの営みでつくられているのに、まちづくり会社という言葉の響きはまるで「私たちがつくってんだ、街を!」とでも言っているようだな!

と、まちづくり会社、という旗に対して、横暴さや傲慢さを感じていたのだと思う。
(まちづくり界隈長いのに、ごめんみんな...!!)
そこに参画していないひとはまちをつくっていないとでも?と卑屈な気持ちになったり、そんなふうに見えない誰かを傷つけてるのではないか、と不安に思ったり。
でも、今回夫が「すわエリアリノベーション社」をつくった経緯を横で見ていて、あー、そっか。こういうことか、といろいろ腑におちた。

「すわエリアリノベーション社」は、
すわ(で)エリアリノベーション(して暮らしたり営んだりしたいひとをサポートするねっていう会)」なのであって、
「すわ(を、がんがん)エリアリノベーション(して、この街は私たちが作ったんだ!って言いたい会)社」でも、
「すわ(を)エリアリノベーション(して、どんどん活性化しましょと思ってる会)社」でもないんだな、と。


ただ、通常の不動産流通だと価値を見出してもらえない家をどうにか潰さずに誰か活用してくれないかな、と思って困っている大家さんや、
もったいないとは思うけど、活用してくれるひとに出会えないから仕方なく解体して更地にして売るしかない不動産屋さんや、
すわエリアで暮らしたりお店やったりしたいけど、どうやったら物件にであえるかわからない未来の事業者にとって、灯台のような存在になるためには「まちづくり」や「エリアリノベーション」という言葉を背負ってたつ必要があるんだな、とそう思ったのでした。
「実はそういうこと(不動産仲介)もやっている古材屋」では、灯台になれないから。

手に負えなくなってしまったもので困っているひとを、欲しい人につなぐ。
それが「古材や古道具」から「空き家」に変わっただけだし、なんならこれまでも空き家の仲介もやっているし、
そういう意味ではやっていることは何一つ変わらないのだけれど、灯台としてそこにたつ覚悟、その結果が夫にとっては「すわエリアリノベーション社」だったのだと思います。

それでもこんな私たちの思いは届かず、意に沿わない形で今回の取り組みが届いてしまうかもしれない。それでも、私たちがまちづくり会社を名乗る意義がある。そんな夫の覚悟はいつも穏やかしなやかで、ついつい見過してしまいそうになるけれど、いつもそこに確かな覚悟を感じる。


そんな覚悟に共感し、こうしてまたうっかり夫のプロジェクトを私ごとにしてしまう、プロの巻き込まれ上手な私なのでした。
さて、そんなすわリノがつくる四軒長屋のプロジェクトについても、また近々じっくり書こうかな。
すわリノはできましたが、軌道にのるまではしばらくは、私の趣味のおせっかい不動産は続きます。
物件を紹介したり、しなかったりしますが、すわでお店をやりたいひと、ぜひこっそりご連絡ください。
名前も残らない、記憶にも残らない、誰かの人生の中にたくさん起こる小さな奇跡みたいな偶然のひとつになれたら、これ幸い。

お宮参りのあとにみんなでランチを食べた食堂。花束を買ってあるいた帰り道。導かれるように座っておしゃべりしたパン屋さんのテラス席。
歩いていると大切な時間や愛しい思い出が思い出される。そんな道や場所がたくさんあるまちになったらいいな。  

子供が、初めて自分で全部選んだ花束。

ところで、今回会社をつくるに至った経緯をLocal Small Magazineに取材してもらったんですが、これがとっても反響がありました。いい記事なのでこちらも合わせてぜひ。


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