見出し画像

ドナドナ・エル

すっかり寒くなり、エルは去年買ったベッドがお気に入りです。出してあげるとすぐに

「これ俺の!」

と寝転がっていました。最近のエルの様子をいくつか残しておきます。

夫がダイニングでスマホを見ていたときのこと。エルはそーっと近づいて夫の腕に顎を乗せて

「どれどれ?俺にも見せて?」

と一緒にスマホをのぞき込んでいました。私と娘は

「エルかわいい!」

と大騒ぎ。夫が

「エル、今買い物してるからちょっと待ってて」

と言うと

「ふんふん、買い物ねぇ」

と言うようにしばらく一緒にスマホを見ていましたが、すぐに

「遊ぼうよ!スマホ置いてこっち来てよ!」

と夫によじ登ってアピールを始めます。

「エル、遊びたいんか?」

夫が席を立つと遊んでくれることがわかるエルは大喜び。

「おもちゃおもちゃ、早く持ってきてぇ!」

とウロウロ。夫がおもちゃを持ってきて引っ張り合いがスタート。何度か繰り返して、最後はいつもエルに勝たせてあげるのだとか。

「エル強いなぁ」

と言って終わり。エルは満足して、ソファー前にゴロンと横になります。夫がスマホを見ているとき、コーヒーを飲んでいるときは遊んでもらえると思うのかよく傍にやってきます。

こんなこともありました。まるでこちらの言葉を聞いているような出来事です。夫と私とエルでリビングにいたときのこと。

「私自分の部屋に行くわ」

立ち上がった私に夫も

「じゃぁ、僕もそろそろ部屋に行こうかな」

と言って立ち上がりました。すると

「俺もハウスに入るわ」

と言うように、エルがさっと立ち上がってとことこケージに入っていきました。夫はリビングを離れる前にエルをケージに入れるつもりだったとのこと。私たちの雰囲気を感じ取ったのだと思います。人間の言葉は話せませんが、こちらの言うことはちゃんとわかっていて、言葉はなくても通じてるなと思うことがしょっちゅうです。

家ではリラックスモードのエルですが、外に出れば盲導犬としてがんばっています。夫がよく行く郵便局やお店では、ドアの前で止まって教えてくれます。ただ一つ、わざとドアを見つけないのではと思う場所があります。それは月に一度健康診断で通っている動物病院。かわいいお姉さんや犬好きの人にたくさん声をかけてもらえる動物病院を、最初は気に入っていました。夏ころエルが体調を崩したとき、吐き止めの注射をしてもらったことがありました。思い返してみれば、どうやらその後ぐらいからドアを見つけなくなったのです。動物病院が、かわいいお姉さんや優しい人がたくさんいる場所から、痛いことをされる場所に変わってしまったのかもしれません。夫が

「エル、レフト・ドア」

と支持をすると一生懸命探しているようです。

「俺がんばってます。探してますよ。ないなぁ、どこかなどこかな」

と言うように夫の支持通りにウロウロしているとのこと。それでもなかなか入口にたどり着けないことが続きました。最終的には夫がドアの開く音を聞いて、入口を見つけて入るようです。エルは仕方なく一緒に入っていきます。私はその場にいたことはないのですが、きっと普段はピーンと伸ばして元気に振っているエルの尻尾はダラーンと下がっているのではないかな。ドナドナのように連れられて動物病院に入っていくエルの後姿を想像しています。本当のところはわかりませんが、これまでの情報を合わせると動物病院はエルの行きたくない場所になっているのかな。

来月2・3日に初めて家族旅行で函館に行くことになっています。長時間の新幹線と飛行機、エルも初めての経験です。
エルとの思い出がまた一つ増えそうで楽しみです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?