米軍は最前線には有事以外は部隊を配置しない

北海道には1975年に空自千歳基地に隣接する米空軍のキャンプ千歳から撤退して以来、
在日米軍部隊を配備していない。このため一部からはアメリカは北海道に対しては
日米安保条約の集団的自衛権の発動は行わないとも言われていた。しかしこれは間違いである。
なぜなら北海道はいつでも戦地になり得る最前線だからである。

北海道の最北端の自衛隊基地は陸自第2師団の第3普通科連隊(現第3即応機動連隊)などが駐屯する
名寄駐屯地である。当時の第2師団の充足率は100%だったと言われている。
名寄の普通科連隊と後方のに第7師団の戦車部隊と戦闘団を結成し、音威子府村で
大規模着上陸侵攻を行ってきたソ連軍を迎え撃つのが当時の陸自の作戦方針であった。
これは音威子府村が敵軍を迎え撃ちやすい地形だった事がある。74式戦車は
天塩川を渡河出来るように設計されていた。作戦の詳細については概要リンクの
朝日新聞Globeの松村五郎・元東北方面総監(元陸将)の話を見ていただければわかるので
そちらを参照していただく共にここでは割愛するがソ連軍の着上陸侵攻は
いつ起きてもおかしくなかったのがここでも示されている。もちろんソ連(ロシア)が
日本に侵攻するとなれば西欧の侵攻も行われており、2方面作戦を避けたがる
伝統的な戦略に加えて当時は中ソ対立があり、沿海州を回収したい当時の中国指導部の
方針から極東ソ連軍は中国からの防衛もあったとはいえこの頃はソ連の国力に関する情報は
あまり西側に入ってくる事はなくソ連軍の対日侵攻と旧西ドイツ侵攻が同時に
行われる事は想定されていた。さらにウラジオストクのソ連海軍太平洋艦隊には
Yak-38艦上攻撃機を艦載できるキエフ級空母(ソ連やロシアでは航空巡洋艦)「ミンスク」が
配備されていた。フォークランド紛争で英空母「インヴィジブル」とシーハリアー艦上攻撃機の
活躍が生々しかった時期もあり、
北海道はベルリン、東西ドイツ国境、朝鮮半島の38度線と並ぶ「東西の火薬庫」であった。

このような最前線であったために米軍は前線は有事でもない限りは
部隊を配備しない。朝鮮半島で38度線には部隊を置いておらず60km離れた韓国・ソウルのさらに南部の
平沢市にあるキャンプ・ハンフリーズに第2歩兵師団が配置されている。
米軍が最前線に部隊を配置するのは有事になってからであり、これは国是とも言える。
実際ベトナム戦争でも激しい戦闘が行われたケサンに米海兵隊が配備されたのは
本格的な軍事介入が始まった1965年以降だ。なお民社党(当時)の秦豊議員(故人)が
1981年の参議院での臨時会の質問ではソ連海軍太平洋艦隊の艦艇数は
防衛白書や米海軍が示した720〜800隻と言われているが対日侵攻の戦力になり得るのは
120隻程度ではないかと述べているがそれでも着上陸侵攻に必要な戦力であるのは間違いはない。

これは個人的な想定になるがもし極東有事に派遣されるのは沖縄の第31海兵遠征部隊で
陸自北部方面隊の第2師団と第7師団と合流、音威子府で食い止めてる間にハワイ州から
第24歩兵師団(現在は解隊)が北海道に派遣されて戦闘に参加するという作戦だったと考えられる。
だからこそ沖縄に駐留する米海兵隊のグアム移転や嘉手納基地の避難訓練も
沖縄県が台湾有事や尖閣有事の最前線になり得る事を証明している。

最後に蛇足になるが第二次世界大戦でのソ連労農赤軍による北海道の留萌ー釧路以北の侵攻計画は
米政府やソ連軍部内がポツダム宣言違反ではないかという反対意見や
占守島での戦闘でソ連軍が大損害を出したので断念したが1946年に発生した
昭和南海地震では四国の英連邦占領軍も支援に乗り出すくらいの損害を
出したのでソ連軍が災害派遣の名目で派遣され、混乱に乗じて留萌ー釧路を占領した可能性は
無きにしも非ずであったと考えている(公文書にはないので杞憂ではあったが
ヨシフ・スターリンがそれを思いついた可能性も否定は出来ない)
そうなれば留萌ー釧路を境に日本は分断されていただろう。そうなると音威子府から滝川や
帯広が最前線になったかもしれない。ただ旭川から札幌までは湿地帯でT-72などの戦車や
BMP-3のような歩兵戦闘車が走行するのは困難。また帯広から千歳へは山岳地帯が立ちはだかる。
(何しろ石勝線が全通したのは1981年である)
結局は「北日本」のソ連軍基地から石狩川河口付近や苫小牧や室蘭からの大規模着上陸侵攻が
作戦になっていただろう。

今年の更新はこれで終わりです。皆様よいお年を

■ソース
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8C%97%E9%83%A8%E6%96%B9%E9%9D%A2%E9%9A%8A?wprov=sfla1


https://globe.asahi.com/article/14473581


https://www.asahi.com/sp/articles/ASR5R63JGR5JIIPE00D.html


https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BD%E3%83%93%E3%82%A8%E3%83%88%E9%80%A3%E9%82%A6%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E5%8C%97%E6%B5%B7%E9%81%93%E4%BE%B5%E6%94%BB%E8%A8%88%E7%94%BB


https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E6%98%AD%E5%92%8C%E5%8D%97%E6%B5%B7%E5%9C%B0%E9%9C%87


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http://www.clearing.mod.go.jp/hakusho_data/1979/w1979_01023.html

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%82%AF_%28%E7%A9%BA%E6%AF%8D%29?wprov=sfla1


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https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/095/syuh/s095004.htm


https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B1%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%81%AE%E6%88%A6%E3%81%84


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https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%97%E5%8D%83%E6%AD%B3


https://sp.m.jiji.com/article/show/2885813


https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/726991?display=1


https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AC%AC8%E8%BB%8D_%28%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E8%BB%8D%29?wprov=sfla1

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