※本文は上記の記事の後日談です。

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かえでとの生活も、無事一年が経った。

まともな生活もできないわたしに、かえではずっと様々な経験をさせてくれた。

本当にありがたい。

そしてつい先日、

飛べないはずのかえでが翔んだ。

5センチ。

これがどのくらいの快挙なのかご説明させていただきたい。

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まず、我が家に来てすぐかえでが翼でできたことは、ほとんどなかった。

「スサー」と呼ばれる動作がある。
寝起きなどに脚と翼を伸ばすのだ。

これができない鳥をみたのは、かえでが初めてだった。
人間でいうなら腕が上がらないと思っていただけるとよい。

それが少しずつ活発になり、半年ほどかかって僅かに翼が動くようになった。
ちゃんと「スサー」とできるようになった。

水浴びも日に日に勢いをまして、翼の可動域が広がっているのも実感した。

それから外界に興味を示すようになった。
「かごの外」にも何かがあることに気づいたらしい。

これはミニョンのおかげでもある。
彼がわたしと遊んでいる姿を見て、学んでくれたようだった。

そこから少しずつ、かえでが外界を見ているときにかごから出すようになった。

はじめはわたしの手の上で10分ほど様子を見た。
緊張して排泄してしまうことも減ってきた。
何かに怯えて明後日の方向に転がることも減った。

しかし、かえでにとって一番安心できる場所は、やはり「かごの中」だった。

正直、その時はそのことが翔べるようになる要因になるとは思っていなかった。

かえでは何か不安になると「帰りたい」と自分のかごを見る。
これはかごから頻繁に出すようになった頃から行っていた仕草だ。

2ヶ月ほど前から「帰りたい」と言われたら、手をかごの入り口に近づけ、自らの脚で帰るよう促していた。 
かえでは跳躍はできるので、それで十分だった。

それが、どうしたことか。
ほんの数日前、突然羽ばたきはじめた。

間違いなく、帰るために羽ばたいてる。
「いける」
そう思って入り口の5センチほど前に手を差し出した。

かえでは、その美しい両の翼を広げ、翔んだ。

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以上がことの詳細である。
興奮のまま筆を取っていることは、文章から伝わってしまっているだろうか。

それほど、わたしはかえでの意思の変化が嬉しいのだ。

これからも、もっとたくさんのことを経験してもらいたい。

おしまい