MOTHERマザー 観た

とんでもないものを観てしまった。

久しぶりに映画が観たい気持ちだったので、
帰宅してからNetflixを適当にスクロールして
たまたまマイリストに入れたまま放置してたMOTHERを発見。

マイリストに入れる基準は色々だが、あらすじも何も見ずに入れたんだな。と見始めて5分で痛感する。

自分の中のmotherと言えば松雪泰子(ドラマ)だったし、映画やドラマに出てくる母親を題材にした作品だから八日目の蝉の永作博美みたいな、子供を守るために生きる母親の話が多い印象だった。


だから驚愕したのだ。自分の子供だからどう育てても、どう使っても構わない。と考える母親と、そんな母親でも好きだと思っている息子の関係性に。

残念ながらわたしは両親共に健康な家庭でぬくぬくと育ったことも関係あるのかもしれないが、母親にも息子にも全く感情移入できなかった。


金遣いも荒く、働きもせずにパチンコや男遊びに耽る母親の秋子。MOTHERというタイトルが全くあってないんじゃないか、と思うくらいにはわたしが想像する母親像と秋子はかけ離れていた。


息子である周平の事も、「あたしの子供だよ」と縛り付ける一方で、平気で何日も小学生の息子を置いて家を空けたり、子供を利用したり、子供に嘘を吐かせて親族や周平の父親からお金を借りようとする様子が描かれてる。

「修学旅行に行くのにお金が必要で…」と嘘を吐かせてお金を借りに行かせた際に、周平は父親から「お父さんのところにくるか?」と聞かれる。
それに対し周平が「お母さんがいい」と答えるシーンで、なぜお母さんがいいと答えたのか、最初はわからなかった。


周平には母親と家族以外の社会がない。学校にも行かずにフラフラしている母親と一緒にいる。どんなに酷い扱いをされても母親には自分が必要かで、自分にも母親が必要なのである。もう既に幼少の時から刷り込まれていたのだと理解した。


亜矢と出会ってから、フリースクールに行ったり本を読むことを覚えた周平は、新しいことに挑戦したいと思う一方で、それをよく思わない秋子から酷い罵声を浴びせられる。それでも尚、周平は母親から離れられないのである。


秋子の要求は、どんどんエスカレートしていき、周平を使って金目の物を盗ませるような犯罪行為もさせていた。そのお金で自分は働きもせずにパチンコに行く。何も変わってない。


秋子の周平に対する要求はとうとう殺人にまて及んだ。
「あんたがやらなかったら、冬華、死んじゃうよ」というセリフで
本当にこの女はどこまでもクズだ、と観ているこっちが泣きたくなった。


殺人の罪を犯した周平は刑務所に入ることになるが、なぜ母親に指示されたと言わなかった?と聞かれてもう外に出たくないんです。と答える。

しかし亜矢にダメだ、と言われた時に

「僕は生まれてからずっとダメです。でも母親が好きです。これもダメですか?」

この一言で胸が詰まった。なんだこの救いようのない家族は。どこで分岐できたら彼助かったのだろうか。

クズと一言で表すにはクズに失礼に聞こえるのではないかと思うほどの母親の役は長澤まさみ。長澤まさみ、こんな役も出来たんだ…
日本アカデミー賞主演女優賞だったんだな〜

阿部サダヲは「彼女がその名を知らない鳥たち」を思い出すクズっぷりだったし。

夏帆はほんとに正しいことをしているのに、可哀想な役が似合うんだよな…

実際の事件が元になっているのを鑑賞後に知った。
滋賀の母親殺害遺棄事件について綴られている本のタイトルは「母という呪縛、娘という牢獄」だった。

周平は母親を殺すどころか好きであると発言しているが、結局彼も母親の息子という牢獄の中に居たのではないだろうか。


逮捕された周平が、もう外に出たくないと言ったが、母親を好きという矛盾にちょっとだけモヤモヤしたのでラストシーン解説自信ニキがいたらこっそり教えてください。

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