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沖縄県固有の財産や知財保護について

40代弁理士の石川です。今日は、沖縄県に関係する知財の保護であったり、固有の食べ物であったり、文化であったり、自然であったり、といった財産(知財に限らない)を個人的に整理してみたいと思います。これらは言わずと知れた沖縄の有形・無形の財産であり、本州、四国、九州、北海道とは著しく異なるものです。整理したからといって、何らか知財の取得を推奨するとか、そういうことではありません。

ゆっくり茶番劇ではありませんが、むしろ商標登録の悪用はやめてほしいというのが、知財に携わる者としての願いです。

私は、沖縄県出身ではありませんが、琉球大学出身です。このため、これまでも多少は沖縄に関わってきたつもりです。在学中もそうでしたが、卒業してからも沖縄のことが気になってしょうがありません。

今日は、一沖縄ファンとして、沖縄の知財を整理してみたいと思います。ただ、量が膨大であるので、今回は、飲食料品についてのみ、書きます。

コロナも収束に向かっていますので、そろそろ沖縄への旅行はいかがでしょうか。

1.泡盛、ビールなど

泡盛、すなわち、しょうちゅう(焼酎)に対する「琉球」の名称は、商標法第4条第1項第17号に規定する、ぶどう酒又は蒸留酒の産地のうち特許庁長官が指定するものにあたります。したがって、沖縄県以外を産地とする焼酎等に、「琉球」などを有する名称を付すような商標登録出願は、商標法第4条第1項第17号によって拒絶されます。

また、我が国で特許庁長官の指定を受けることで、TRIPS協定23条によって、WTO加盟国においても同様に、「琉球」などの地理的表示が保護される(商標登録されない)ことになります。

さらに、TRIPS協定23条の義務をさらに確実に履行するため、焼酎に対する「琉球」の名称は、酒類の地理的表示(GI)にも指定されています。このため、沖縄産ではない焼酎に「琉球」などの表示を付するといった不正使用に対しては、国税庁(行政)が取り締まることになります。なお、お酒は、農水省の管轄ではありません。

さらにさらに、「琉球泡盛」は、沖縄県酒造組合/沖縄県那覇市の登録商標(地域団体商標)となっています。

泡盛は、作り方も、味も、本州の焼酎とは全く異なるものですから、大変に貴重な財産となっています。また、製造している蔵元も、ほとんどが沖縄県に固有の中小の蔵元となっていますから、製造に携わる方々も、貴重な伝統文化の伝承者であると思います。

あとは、お酒で忘れてはならないのが、おじい自慢のオリオンビールです。こちらも、沖縄県に固有のビールとなっています。さっぱりとした軽い飲み口となっています。商標「Orion」は、オリオンビール株式会社の登録商標となっています。

なお、お酒ではありませんが、さんぴん茶(沖縄のジャスミンティー)も沖縄の気候風土にマッチしたすばらしいお茶です。

2.食べ物

沖縄県が米軍基地と共存してきた歴史から、アメリカの食材と、沖縄の固有の豚肉を食べるという文化が入り混じって、独自の食文化が花開きました。

(1)タコライス

私が、琉球大学在学中に食べまくったのが、タコライスです。タコスの具材であるタコミートをご飯の上に乗せた和洋折衷の不思議な食べ物です。琉球大学近くの宜野湾市長田の交差点にあるキングタコス長田店には、それこそ週2回くらい通っていました。タコライス野菜とチキンバラバラが私のお気に入りでした。

ちなみに、「KING TACOS」は、有限会社メランジェ/沖縄県国頭郡金武町の登録商標です。

(2)沖縄そば

沖縄そばも、本州から来た私にとっては不思議な食べ物でした。ラーメンとうどんを足して2で割ったような、これも和と中華を折衷したような不思議なそばです。ソーキそばは、一度食べたら病みつきになる味で、今でも定期的に沖縄料理屋でごちそうになっています。

私が学生だった頃、琉球大学の学食にも沖縄そばがありました。今でもあるのかな?

ちなみに、「沖縄そば」は、沖縄生麺協同組合/沖縄県那覇市の登録商標(地域団体商標)です。


2022年6月1日再訪問 読谷食堂@東京/水道橋駅前のソーキそば

(3)ポークランチョンミート

ポークランチョンミートも、私の学生時代に本州ではお目にかかれない不思議な食材でした。焼くとカリッとしたハムのような触感で、塩味がちょうど良い、ご飯に合うおかずです。米軍とともに沖縄にやってきた食材であると思われます。

お気に入りの「SPAM」は、今でも購入して定期的に食べています。最近では、本州のスーパーでも「SPAM」を簡単に手に入れることができます。

SPAMを使ったおにぎりは、グアムのお店でも売っていました。海外在住の日系の方にも人気なんでしょうね。

ちなみに、「SPAM」は、ホーメル・フーズ・コーポレーション/USAの登録商標です。

(4)A&Wとルートビア

沖縄のファーストフードといえば、A&Wでしょう。そして、おかわり自由のルートビアを何杯も飲んで、夕飯の代わりにしたりしたのは、今でも良い思い出です。カーリーフライもおいしいですね。

「A&W」は、ヨーロピアン・リフレッシュメンツ/アイルランド国の登録商標です。A&Wは、アメリカだとずっと思っていました。

ところで、ルートビアのおかわり自由って、まだやっているのでしょうか?

(5)ブルーシールアイスクリーム

沖縄のアイスといえば、ブルーシールアイスクリームです。ドライブがてら牧港にアイスを食べに行くと、結構な確率で友人に遭遇してしまう人気スポットでした。

「ブルーシール」は、フォーモストブルーシール株式会社/沖縄県浦添市の登録商標です。元々はアメリカの会社のようですが、今では完全に沖縄の一部になっていますね。

(6)ゴーヤチャンプルーなど

ゴーヤチャンプルー、てびち、ラフテー、ゆしどーふ、ジューシー、ちゃんぽんも、お気に入りの食べ物でした。「長崎ちゃんぽん」しか知らなかったので、ちゃんぽんがご飯ものであるのは衝撃でした。これらの食べ物も、すべて、有形・無形の沖縄に固有の財産です。あとは、サーターアンダギーも忘れてはいけませんね。

シークワーサー、グアバ、パイナップル、マンゴー、サトウキビなんかもすべて、沖縄の特産品であり、財産です。

ちなみに、「沖縄シークヮーサー」は、沖縄県地域ブランド事業協同組合と沖縄県農業協同組合で共同出願された登録商標(地域団体商標)です。

「沖縄黒糖」は、沖縄県黒砂糖協同組合/沖縄県那覇市の登録商標(地域団体商標)です。

3.まとめ

お酒、食べ物だけで膨大な量の知財がありました。でも、とてもとても網羅しきれていないと思います。また、伝統芸能や伝統文化だったり、自然だったり、天然記念物だったりもあるので、次回以降にまた整理して書ければと思います。

なお、当方、実はもう15年以上、沖縄には行っていません。沖縄もずいぶん変わったと聞いています。

もし、間違っている部分がありましたら、ご指摘をいただけますとうれしいです。

弁理士の石川真一のフェイスブック
facebook.com/benrishiishikawa

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