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ここからテレビが挽回できる?

テレビ放送はすでに過去のコンテンツとして扱われており、昔は何十パーセントもあるといわれた視聴率も、最近はコア視聴率が高くても8%くらいとなっています。

コア視聴率とは13〜49歳男女の個人視聴率のことで、昔は世帯でしか測っていなかったのですが今は個人を確認しているため精度が上がっています。

8%を人数に換算すると400~500万人という説がありますが、ちょうどYouTubeで登録者数が同程度のチャンネルが近いと思います。
チャンネル登録=番組を毎回見る固定ファンに近いと考えました。

2023年4月のコア視聴率ベスト50の資料があったので掲載します。

ベスト50のうち上位の部分を抜粋


上から10番目くらいまでは、人気バラエティ、アニメ映画、音楽などの特番など確かにみんな見ていそうな番組が続きますが、それ以降はドラマ・映画やニュースを除き、ファンの方には申し訳ありませんが私にとってはどうでもいい番組ばかりです。

ただしこの「どうでもいい」というのは自分なりの定義があり、この番組を見逃した時にTVerや動画配信サービスでわざわざ見たいか?という視点で考えたときにどうでもいい番組ばかりだという意味です。


お茶の間に最適化された娯楽


これらのベスト50の番組を眺めていて、やはりお茶の間にふさわしいにぎやかなバラエティが多いと感じました。

ダウンタウンや人気の芸人など家族で見ても楽しいベテランタレントが主役で、彼らを中心に多くの芸人やタレントが入れ替わり立ち代わり面白い何かを披露する番組が多いようです。

食卓やリビングで見られるテレビ番組は、家族の会話を邪魔する濃い内容ではなく、あえて瞬間的な笑いにとどめて万人に受け入れやすい構成にしているんだと思います。


しかし視聴者の興味が限りなく分散している現在では、その最大公約数が非常に大きくならざるを得ず、内容が薄くて当たり障りのないつまらないものになっていくのは避けられません。

さらにそういった番組の出演者は、よく言えば団体芸、悪く言えばただの賑やかしに徹し、視聴者の注意を番組に向けさせ続けるためにひたすら労働しています。

でも本当に見たいのは、芸人やタレントの芸やアスリートのパフォーマンス、新しいもの・希少なもの・話題のもの、そして完成度の高い作品であって、そんなどうでもいい労働は見たくありません。

もうひとつ言うなら、家庭から「お茶の間」と呼べるような空間がもうほとんど消えかかっているのに惰性で昔ながらのバラエティ番組を相変わらず量産しているという、マーケティングの失敗のようにも感じます。

一体なぜそんなことになってしまったのでしょうか?


昭和の流行のひとつに過ぎない


そもそもの話、お茶の間という存在はいつ頃からあったのでしょうか。

江戸時代は時代劇で見られるように家族は別々に食事をとっていましたが、明治以降その形が変わり、今から100年ほど前の昭和の初め、ちゃぶ台と呼ばれる丸くて低い食卓が普及し始めその後戦中から戦後の1960年代まで続き、1970年代以降に現在のダイニングという形になりました。

なので、サザエさんなどで見られる丸い食卓を家族全員で平和に囲みテレビを見るという昭和の典型的な家庭像は、実は1950~70年代という短い期間の風景でしかなく、アニメなどの影響で記憶に焼き付いていますが実際は20年程度の一時的な流行だったのです。

そして1980年代にはコンビニの普及による「孤食」、深夜放送やビデオ利用の増加によるメディア視聴行動の変化などもうお茶の間が成立しづらくなり、1990年代以降は携帯電話の普及などでその傾向がさらに強まりました。

つまり、お茶の間という文化は戦後の数十年に生まれた人々が経験した家族生活の一形態に過ぎず、お茶の間向けのTVバラエティは当時の成功体験を引きずっているだけの古い娯楽と考えるのが妥当です。


テレビが残れる場所


思い返すと遅くとも20年前、2000年代に「日本人の生活習慣の変化に合わせ、娯楽メディアは個人向けネット配信に舵を切る」と決めて方向転換をすればよかったのにと思いますが、そんなに上手くは行きませんでした。

2005年にホリエモンのライブドアによるフジテレビ乗っ取り騒ぎがあり、その後遺症でネット企業のテレビ業界への進出または協業などが長らく実現せず、その間にテレビ局が時代の変化についていけずにガラパゴス化した可能性が高いと思います。

誰が悪いとは言いませんが、あの事件はテレビメディアにとって本当に不幸な出来事でした。

TVerもテレビ屋さんからしたら画期的な動画サービスなのでしょうが、一般視聴者からしたら10年遅く、国内限定ではともかくもう海外の巨大動画配信サービスに勝てる見込みはありません。


私の結論としては、テレビが数百~数十万人しか見ない番組ばかりならすべてネットに移行してしまえばいいだけの話で、なぜできないのか謎です。
もはやみんな個人でネットを使っているのでそれですべて解決しますよね。

そうすれば自然と、老人しか見ないお茶の間向けの番組ではなく、多数派のネット視聴者向けコンテンツや視聴方法が採用され、今よりずっと面白くて見やすくなるはずです。

そして、今のテレビに唯一残される活躍の場は、多くの国民が同時に注目して楽しめるイベントや災害・事件などの報道だけになり、放送局は2つくらいあれば十分になるのではないでしょうか。




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