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週末にドライブした話

娘が仕事を始めて、初めての土日休み。
土曜日は、ドライブを兼ねて、珈琲豆を買いに出かけた。

珈琲専門誌にもよく登場する焙煎屋さんで、数年前に1度行ったことがある。いつも使っている「高速手回し」ミルもその時に買ったものだ。

方向はなんとなく記憶していたものの、たどり着けるか自信がないので娘にスマホでナビしてもらった。

肌寒くて湿度が高く、霞たなびく山の中を行く。
晴天のドライブ日和ではないが、これはこれで、ワクワクする。

霞のなかに、桜がちらほら咲いている。
山肌はまだ茶色が多くて、里芋の皮みたいだけど
そこに若い緑色と桜、残雪の白。
その上を霞が帯になって流れる。
物語の中にいるようだ。

山の中の国道は、沢と付かず離れず、蛇行している。
時々現れるカーブで沢に転げ落ちないかと、尻ごみするようにスピードを緩める。


焙煎屋さんのある町は、山道が終わり大きな川を渡って、そのままいきなりぐいーんと坂を上ったところにある。
川沿いに広がる街を下に眺めながら、緩いカーブを上って行く。
「ここは海抜何メートルかねぇ。…川抜ってある?(笑)」娘といつものどうってことない会話をする間も、霞のかかった街並みは、下に下にと遠くなる。

坂を上りきりしばらく行くとそのお店がある。
小さな、焙煎豆だけのお店だ。
大きな焙煎機と豆のショーケースの間に、若いご夫婦が挟まっている。

今回は何を買おうかな。
厳選された豆がずらーっと並んでいる。
焙煎度によって、豆の色はこんなにも違うんだなと、見とれる。

浅炒りは薄茶色。パステル調。
中煎りは、珈琲豆の色(うまく言えないけど)。
深煎りになると、油分が出て、つやっつやのこげ茶色だ。

ブラジルとマンデリンを選んだ。
このお店は100gから売ってくれるので、ちょっと高価だけど買う気になる。マンデリンはフレンチプレスで淹れるととても美味しい。
コクがあり、粒子を感じるけどなめらか。甘味もある。
一番好きな豆だ。

お店の人いわく「プレスは、珈琲豆丸ごとの味が出るので、いい豆は美味しいですよ。」
つまり、いい豆は、アクも丸ごと旨いってことなのかな。
マンデリンえらい!

ほくほくと帰る。
帰ったらお菓子を焼くから、珈琲タイムにしよう。
娘の言葉に帰り道も浮き浮きする。


しかし、帰り着くと、二人とも疲れ切ってしまった。
ちょっと寝てから、と意気投合して、それからたっぷりと眠ってしまった。

起きるともう夕方。晩御飯の準備しなきゃ。
私は前日からの頭痛がぶり返して、珈琲はやめにした。
娘ももうお菓子作りの時間でもなく、日曜に延期した。

なんとも、尻すぼみな一日…
まあ、でも、いいドライブだった。
まだあの景色が頭に残ってる。
他愛ない会話も、大笑いしたことも。
今日はこれで良しとしよう。



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