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【開封後冷凍OK】余ったレトルト&瓶の離乳食を冷凍保存する方法

お出かけ時や調理の時間がないとき、レトルトや瓶の離乳食はとっても便利です。

ただ、悩ましいのがその量。
赤ちゃんの個性はそれぞれで、市販のレトルト離乳食をみんなが完食できるわけではありません。

この記事では、なにかと余りがちなレトルト離乳食の冷凍保存の可否やその方法について冷凍のエキスパートである冷凍王子・西川剛史さんに聞いてみました。

西川さんprofile

市販のレトルト離乳食は冷凍にぴったり

「市販のレトルト離乳食(ベビーフード)は、実は冷凍にぴったりなんですよ」と話す西川さん。

レトルト加工されている離乳食は、製造工程で高熱で加熱殺菌することで常温での長期保存を可能にしたもの。そのため、開封時はとても衛生的。そのまま冷凍すれば、衛生管理がばっちりな冷凍ストックになるそうです。

「ただ、必ず守ってほしいのが、食べかけを冷凍保存しないというルールです。

冷凍保存をする際は、開封後すぐに冷凍保存用とすぐ食べるものに分け、冷凍保存容器に入れたものは冷凍庫に入れてしまいましょう。

一度口の中に入れたスプーンやフォーク、お箸などを食品の中に入れてしまうと、付着した唾液によって食品に細菌が入ってしまいます。不衛生になった食品の中では、冷凍庫に入れて凍るまでの時間や、解凍後から食べる前までの時間に細菌が増殖してします。

細菌の混入の度合いによっては、解凍して食べた際に食中毒になる可能性もありますので、食べかけのレトルト離乳食を冷凍することは絶対にやめましょう」

開封後のベビーフードは常温保存・冷蔵保存NG

レトルトは冷蔵バツ

一度開封したベビーフードについて、唾液のついたスプーンなどで触れていないなら冷蔵庫や常温で保存してもよいと思っている方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、西川さんはこの点について「絶対にやめてほしい」と強調します。

「一度開封したベビーフードは空気中の細菌や微生物が混入し、既に衛生的ではありません。常温で保存できるまで衛生的なのは、密閉後に加熱することでパッケージ内の細菌や微生物を死滅させているため。一度開封するとどうしても空気中の細菌や微生物が入り込んでしまいます。

冷蔵や常温では細菌や微生物が増殖してしまうため、基本的に開封後1時間以上保存するのはやめましょう。保存する場合はかならず冷凍をしてください

大人向けであれば、数日間冷蔵保存できるメニューはたくさんあります。しかし、内臓が未発達で抵抗力の弱い赤ちゃんでは、重篤な食中毒につながってしまう場合があるんです」

ベビーフード開封後はどうやって冷凍する?

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実際にベビーフードを開封した後は、どのような手順で冷凍すればよいのでしょうか?

「まずは前提として、レトルトでも瓶でも方法は同じです。常温保存の瓶に入った離乳食もレトルトと同様高温加熱殺菌がされているので、開封される前まではとても衛生的な状態です。

レトルトや瓶のベビーフードを開封したら以下の要領で冷凍保存しましょう」

開封後のベビーフードを冷凍保存する手順
①きれいに洗ったスプーンや箸で「その場で食べるもの」「冷凍するもの」に分け、それぞれ容器に入れる

②「冷凍するもの」は蓋をして冷凍庫に入れる

③「冷凍するもの」を冷凍庫に入れてから「その場で食べるもの」を食べる


ポイントは、開封から「冷凍庫に入れる」「その場で食べる」を1時間以内にすませることだそうです。

「ベビーフードは一度開封してしまうと、空気中の細菌が付着してしまい、従来のように常温で長期保存できなくなります。要は調理した食品と同じような状態になります。

衛生管理の観点から、離乳食は調理後1時間以内に食べたほうがよいため、開封後は早く冷凍保存したり食べたりしましょう」

解凍したベビーフードはそのまま食べさせてよいの?

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レトルトや瓶詰めのベビーフードはパッケージに「加熱なしでも食べられます」と書かれているものが多いですよね。では、冷凍したベビーフードも冷蔵庫や常温の場所に出して解凍し、そのまま食べさせてもよいのでしょうか。

「答えはNOです。ベビーフードを常温や冷蔵庫、電子レンジの解凍モードで解凍してそのまま食べさせるのは絶対にやめてください。

解凍する場合は、電子レンジの加熱モードや鍋で必ずしっかり加熱すること。衛生管理上は食品内の品温が70℃以の状態上で1分以上の加熱が好ましいとされています。

衛生的なベビーフードなのだから、加熱しなくてもよいのでは? と思われるかもしれません。しかし、開封後に冷凍したベビーフードは既に空気中の細菌が混入し凍るまでの間と解凍中に細菌が食品内で増えている可能性があるのです。

離乳食を食べる赤ちゃんは内臓が未発達で非常に食中毒を起こしやすい状態です。少しでも衛生的なものを食べさせるため、必ず加熱をして殺菌しましょう」

瓶やレトルトに入った離乳食はすべて冷凍できる?

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衛生的に製造されたベビーフードは冷凍にぴったりなのであれば、なんでも冷凍してしまっても大丈夫なのでしょうか。西川さんによると「実は、気を付けてほしい商品もあります」とのこと。

「衛生上はどの商品を冷凍しても問題ないのですが、冷凍すると食感が失われる可能性があるものもあるんです。

たとえば、茶わん蒸しプリンゼリー、ジュレなどの商品は冷凍すると水分が分離してしまう可能性があります。ゼリーは原材料によっては冷凍・解凍しても分離しないものもあるのですが、メーカーが「冷凍OK」と表示していない場合は冷凍しないほうが無難でしょう」

ベビーフードを冷凍する際のおすすめ容器は?

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冷凍する際の容器選びには気を付ける点はないのでしょうか。

「市販のベビーフードが余ってしまうのは、まだ食べる量が少ない低月齢の頃が多いかと思います。その頃の離乳食は水分が多めなので、冷凍にはとても適しており、きちんと密閉できればどの容器でも問題なく冷凍できます。

なかでもおすすめなのが、製氷機タイプのもの。もしお子さんがあまり食べないのであれば、少量ずつブロックに分けられますし、冷凍する場所も取りません。凍ったあとは冷凍容器から取り出し、ブロック状になった食品をフリーザーバッグに入れて保存しておけば管理も簡単です。

逆に、大きな容器での保存は、冷凍庫のなかのスペースを無駄にとってしまいますし、容器内の空間が大きく空いていると食品が乾燥しやすくなります」

西川さんのおすすめ冷凍保存容器
リッチェル わけわけフリージング ブロックトレーR(15ml)

スケーター 離乳食 冷凍小分けトレー(15ml)

エジソンママ 冷凍小分けパック(7.5ml)

コメント
上記の3商品は冷凍した後に食品を取り出しやすい工夫がされていて、蓋つきのものです。上記のサイズのほかに1ブロックの大きさが違うバリエーションもあるので、お子さんの食べる量に合わせて選んでみるとよいでしょう。

冷凍したレトルトや瓶の離乳食の保存期間は?

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レトルトや瓶の離乳食を冷凍した場合、どれくらい保存できるのでしょうか。
西川さんは「水分の多いものなら1か月程度、水分の少ないものは2週間程度が目安」といいます。

「今説明した期間は実は「おいしく食べるための目安」の期間です。実は、冷凍した食品はそれ以上保存できます。

しかし、長く冷凍保存すると食品の水分が空気中に蒸発して乾燥し、水分が失われて食品が酸化しやすくなり、見た目や味が悪くなってしまいがちです

水分が多い食品は、水分が食品をコーティングしてくれますし、少し水分が蒸発してもさほど味が変わることはありません。それでも少しずつ食品は変化していきますので、1か月以内には消費したほうがよいでしょう。

水分が少ない食品は、食品が乾燥したり酸化したりしやすいので、1~2週間を目安に消費してください。

また、長期間保存していると、冷凍庫の開け閉めなどで食品が溶け、微生物が増殖し不衛生な食品になっている場合もあります。赤ちゃんの食中毒を予防する観点では1か月までに消費をしたほうが安全です

レトルトや瓶詰めの食品は水分が多いので基本的に1か月程度は大丈夫だと思いますが、スプーン1杯程度など、あまりに少量ずつ小分けすると、水分が失われやすいので早めの消費を心掛けてくださいね」

消費期限の目安は「食品に霜がついているか否か」だそう。

「冷凍庫内の食品に霜がついていたら「あ!乾燥しているんだ!」と思って早めに消費するようにしましょう」

レトルトや瓶のベビーフードをうまく冷凍保存して離乳食を乗り切ろう

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レトルトや瓶で販売されているベビーフードは、離乳食を進めるうえでの心強い味方です。

衛生的に製造されたこれらの商品は、小分けにして冷凍することにも適していますので、素材を一から調理することが負担だったり、赤ちゃんがあまり離乳食を食べず、調理が億劫になったりした場合はうまく活用していきましょう。

レトルトや瓶詰めのベビーフードは、厳しい衛生や添加物の基準を守って製造されており、加熱殺菌を行っているため、添加物や保存料については、「まったく与えたくない」という場合を除いてさほど心配する必要はありません。

ベビーフードは調理がマンネリした際のアクセントや、1品増やしたい際にとても便利に使えます。小分けにして冷凍ストックしておけば、毎日の離乳食をより彩り豊かにできるかもしれません。




ベビーフードの取扱いが豊富で、最初からブロック冷凍された離乳食材料の取扱いも多い宅配業者を活用するのもおすすめです。

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