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シレナ1912×78rpmの邂逅 Vol.14~アーノルド・フォルデジー サラサーテ『ツィゴイネルワイゼン』(チェロ編曲ver. 1921)

ハンガリー・ブダペスト出身のチェリスト、アーノルド・フォルデジー(Arnold Földesy, 1882-1940)。

フォルデジーは1920年代にはベルリン・フィルハーモニカーの主席チェロ奏者を務めていた。
よって、現在では彼より遥かに有名、そして20歳あまり若かったチェリスト、グレゴール・ピアディゴルスキーとこのオーケストラの首席の座を分かち合っていたことになる。

フォルデジー、ピアディゴルスキーともにユダヤ系であったので、ナチス政権以降はベルリン・フィルを離れざるを得なかった。

フォルデジーの録音は機械式吹込み(アコースティック録音)から電気録音まで、当時の人気を反映してか決して少なくない。

今回は1921年4月1日に吹き込まれたサラサーテの『ツィゴイネルワイゼン』のチェロ編曲ver.。
アレンジはフォルデジー自らが行っている。

SPレコード録音期、このヴァイオリンのための超絶技巧人気曲をチェロで演奏した人は他にもいる。例えばE.フォイアマンとか・・・。

果たしてこの曲をチェロで演奏することにどれだけの意味があるのか、私などは懐疑的になってしまうのだが・・・。特に自らのテクニックを誇るためにこの曲を選曲、演奏したのだっとすれば。
ただ敢えて言えば、この曲の中間部にあたるジプシーの悲哀を、チェロのたっぷりとした音量とヴィブラートやポルタメントを使って情念的に演奏されると気持ちに刺さるものはある。

そう思えるのはやはりフォルデジーが生まれ持ったハンガリー人の血の成せる技なのか。

1912年製シレナ蓄音機も、気持ちよくフォルデジーの音色を再現していく。


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