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ダブルをめぐる狂騒【スーパービンゴ】

noteをご覧の諸兄の間ではもう当たり前となったこのチューリップというルール、そもそもは17世紀オランダ、未曾有の好景気の真っ只中で起こった世界初の投機バブルに由来する事はご存じだろうか。

チューリップは(中略)おごりや邪悪や贅沢を表す象徴となった。(中略)愚行のシンボルとなり、そのつかの間の美しさは不用心なものを魅了する幻想とみなされた。

『新訳 バブルの歴史』より抜粋

大富豪から農民に至るまで人々は皆チューリップに取り憑かれ狂った。中でも深紫の縞模様の花弁を持つものは最高級とされ、バブル最盛期にはその球根1つで職人の年収30年分に匹敵したとされる。17世紀初頭にトルコより輸入され1634年に突如として高騰したチューリップ相場は、1637年に破滅的な終焉を迎える。

『無窮の皇帝』と呼ばれた当時最も価値の高かった縞模様のチューリップ。余談だが、現代ではこの模様はウィルスによるものであった事がわかっている。だからその形質は遺伝せず、その希少性は担保され、また同じ模様であることを期待して球根を手に入れた投資家たちは軒並み破産した。

バブルに必要な物は3つ。「集団」「確実な利益が継続的に生まれるという期待感」だ。言うまでもなく3人とは集団を構成する最小の単位であり、牌山をめくる度に継続して利益は上昇する。そして唐突に終わりが訪れると関わる全ての人間が精算を強いられる。このバブルの構造を模して『チューリップ』というルールは生み出された。言い忘れたが、残りの1つは勿論「愚かさ」である。(*参考文献 民明書房刊「よく分かる現代麻雀」)


では与太話はここまでとして、より愚かな本題に入ろう。


ダブルはどこまで得なのか

実戦図から考える

現実に直面した何切る

僕たちはどこまで🌷を追い求めるべきだろうか。そして如何にして開け、そして閉めるべきだろうか。実戦図を平面として起こした下図をまずご覧いただきたい。

入り目は定かではないが前巡に5pを打っている為おそらく9s

なんとも難解だ。「すみません」と断って腕組みしてSNS投稿用に写真を撮るくらいのゆとりを持って考えた。まあ普通に考えれば7sを切って立直だ。だがしかし、この手にはダブル(*)という手が残されている。四面張のシングル(*)で曲げるのか、L字のダブルで曲げるのか。まずはアンケート結果から見てみよう。

*シングルとダブル:それぞれ少牌確変🌷における「確変」と「16R」の事を指す。通常の和了は勿論バケだ。

まあまあ予想のついた結果ではある

凡そ3対1に票が分かれた。まあマジョリティとしては「そらー4面張やろ」という理屈にもなる。でもな。ダブルだぞ?僕がバブルに飲み込まれておかしくなって完全にうまぶっているのか、それともこれは真に迫っているのか。具体的な数字の算出方法は以下のnoteを参考にして欲しい。

シングルの底力

ではまず、7s切りから9pをツモったケースを見てみよう。

なんだか神々しい和了ではある

7.1(回)×2.7(枚)=19.2(枚)乗り

となる。「お、まあやるじゃん」くらいだ。ここで見どころなのがこの手を開けてツモると「リー開けツモ平和一通表表表赤華」となりトリプルで転落保証がつく所だ。よって上記のツモは
7.1(回)×2.7(枚)×2(トリプル転落保証)=38.4(枚)乗り
となる。また同様に、68pをツモったケースで7pを出すと6枚乗りのダブル昇格で上記数字になる(正確には7pめくり自体が上振れなので平均の38.4よりも僅かに大きくなる)。他のケースについても仔細に述べると、つまりこの手は

・6pをパッツモして裏載せて昇格でトリ即ダブル
で114枚

・9pパッツモでトリ即
・パッツモして裏でトリ即
で57枚

・9pをツモってトリプル
・68pをツモって昇格でダブル
・パッツモ
で38枚

・3pツモ
・68pで昇格ならず
で19枚

となる。しかしながら他のパターンがレアケースすぎるため合成期待値は40枚に満たないといった所だろうか。

ダブルはどこまで叩けるのか

では次に8p切りを和了ったケースについて考えてみよう。

これをツモると、恐らく最高に気持ち良い

7.1(回)×2.8(枚)×2(ダブル)=39.8(枚)乗り

揺ぎ無い確固たる数字として聳え立っている。そう、これは7sをツモると39.8枚乗るのだ。安目の全くない純粋なL字。これが祝儀期待値を遥か高みまでカチ上げている。そして勿論これがパッツモなら79枚乗りである。この合成も恐らく40枚半ば程度だ。7を切った方がトリプルもあって即もあって夢がある。しかし確定ダブルの安定的な偉さには僅かに及ばないのだ。

出和了りのしにくさ、というメリット

祝儀を獲得する上で最もしてはいけない事、それが出和了である。考えてみて欲しい。出た時点で得られるチップは半減する、なんてそんなアホらしい事があって良いだろうか。特に高目シングルのシャボについてこの問題点が顕著に出る。

よーく見ると20種乗る

この形、7pさえツモれば50枚オールは堅い所を「7は絶対に打たれない」という鉄則が故に出和了時は2枚しかない安目で和了らさせられることになる。ちなみに發出和了の祝儀期待枚数は8枚。実に高目ツモの92%ディスカウントとなる。シンプルに血管が切れる事がわかる。

リスキーエッジを知らない若者も増えたと聞く

今回のケースではアンケート時点で4面張について開け(オープン立直)を前提とした。これは先述の通りトリプルの可能性が残るから、は勿論だがそもそも「こんな良い待ち閉めたらどうせ出和了してしまうのに、実質ツモ専のL待ちダブルに対して祝儀枚数で到底かなわない」からこそだ。そもそも比較にならないのである。

今回のシチュエーションから分かる事

L字ダブルに対してシングル4面張はこれだけのオプションがあって尚且つ開ける事で初めて議論の俎上に乗る程度の手でしかない。畢竟スーパービンゴとはパッツモかダブルを叩き込んで事故らせるゲームなのだ。

答え

結局あの局面で僕が何を選択し何を得たかをお教えしよう。些かセンシティブな内容であるから覚悟のある方だけにご覧頂きたい。

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