皇帝

短い思い浮かんだ話をぽつぽつ。

皇帝

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最近の記事

嘘吐き

くだらない嘘ばかりつく人だから今も私は。 「せかいいちおおきなおしろにすませてあげる」 と言っていた5歳のあなた。 15年後にふたりで借りた家は12畳のワンルームだった。 「石油王に私はなる!」 どこかで聞いたようなセリフを真似してよく言っていたけど、毎回外れる宝くじにいちいち大きなリアクションでまたなれなかったあ!って頭を抱えて笑っていた。宝くじで石油王にはなれないのに馬鹿だなあって。でもそこが好きだった。 「ずっと私が大事にする」 それだけは本当だった。 ね

    • 生きてさえ

      親、友達、職場、恋人色んな人間関係があって その人たちの前でずっと無理した自分であり続けた。 だけど全部上手くいかなくて、相手のことも自分のことも結局何もわからなくなってしまった。 良い人と呼ばれる人の真似をしてみても どんな人になろうとしたって誰にもなれはしなくて 自分が本当にしたい事も言いたい事も何もかもがもう全部 「本当に?」と問い詰められれば言葉に詰まるだろう。 人間関係を壊すのは怖いけれど上手くいっていないものにしがみついたって何も得なんてしない。 本

      • まるで遠くの星が人を照らすまで気が遠くなるほど時間がかかるみたいに、あなたの光に気付いた時もう全てが手遅れだった。 冷たくなったあなたに触れたら今までのあなたがどれだけ温かかったのかを思い知らされた。 遠い惑星のような存在だと思い込んでいた。ずっと前から。 一番近くにいるのにいつも遠いと思い込んでいた。 部屋に帰ったらあなたがくれたキーホルダーが目に入った。 見たこともないへんてこなキャラクターのそれを嬉しそうに差し出すあなたの顔が過って、ようやく涙が出た。 見渡せ