馬楽の時間 168

 ちょっとお休み。
「拳をさげろ」「体を起こせ」「脚を引け」
 昔の練習風景です。注意ではなく怒声。そして「腹を蹴れ」。
 無理なことばかり。拳を下げて身体を起こすのは無理。脚を後ろに引いて身体を起こすのは無理。常時腹を蹴ってリラックスは無理。
 ミューゼラーには良い姿勢の条件が書いてあるが、まず、姿勢の矯正はダメと書いてある。これを読んで「先輩の言うことを鵜呑みにしちゃダメ」と決めました。大学2年生でした。何しろ手本がない。今のように、映像がない。せいぜい写真。だから大会に行ったら、上手そうな人の騎乗を見ました。真剣に見ました。上手な人は、他の人の練習の後に出てくることがありました。静かなところで乗りたいのかもしれません。私も作業が終わってからず~っと見ていました。そうすると副産物があるんです。上手な人が私に興味をもってくれるんです。会話できるチャンスが巡ってくるんです。
 一流と言われるクラブに勉強に行かせてもらいました。
 乗せてもらえるなんて考えません。見るんです。作業が主。とにかく働く。作業の合間に見ます。残念なのは、上手な人は何してるか分からないのです。レベルが違いすぎます。でも見ます。雰囲気を感じます。空気を吸います。
 そうやって勉強しました。ミューゼラーはどのページに何が書いてあるか全部分かりました。出来ないことも理論があればいつか出来ます。出来るようになりました。
 本を3冊書きました。お蔭で考えを整理出来ました。また新しい理論に挑戦しています。自分でも羨ましい馬術人生です。

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