三木田照明

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馬楽の時間 170

 子供の頃から馬に乗っていた。鞍は無い。小学6年生の時の火事で焼けてしまった。確か本に書きましたね。焼け残った鐙金で南京袋の鞍を作った。  いつも裸馬だった。裸馬で駈歩までやる。  勿論馬術なんか知らない。馬術と言う単語さえ知らない。  バランスで乗るんだと言われなくても、バランスをとらなきゃ落ちてしまう。鐙がないから、どうしたって足で腹を巻いて縋り付く。  大学に行き初めて馬術を知った。足で腹を巻いちゃいけないらしい。と言われても、子供の頃からの我流はそう簡単に直せない。鞍

    • 馬楽の時間 169

       嬉しいお知らせ  馬事公苑のメインホールに私の本が展示されているそうです。しかも、あのミューゼラーと並んで。嬉しいです。皆さんどうぞ読んでください。  とかく馬術の本は難解。私は可能なかぎり易しく書きました。乗馬をしない人からも好評をいただきました。易しいからと言って油断しないで下さい。読んで実践していたただければ、必ず上手になります。  5月、出張指導します。呼んで頂きました。楽しみです。  どうぞ呼んでください。本を読むだけで上手になるのですから、直接習ったらどんなに上

      • 馬楽の時間 168

         ちょっとお休み。 「拳をさげろ」「体を起こせ」「脚を引け」  昔の練習風景です。注意ではなく怒声。そして「腹を蹴れ」。  無理なことばかり。拳を下げて身体を起こすのは無理。脚を後ろに引いて身体を起こすのは無理。常時腹を蹴ってリラックスは無理。  ミューゼラーには良い姿勢の条件が書いてあるが、まず、姿勢の矯正はダメと書いてある。これを読んで「先輩の言うことを鵜呑みにしちゃダメ」と決めました。大学2年生でした。何しろ手本がない。今のように、映像がない。せいぜい写真。だから大会に

        • 馬楽の時間 167

           相手が動いていますから、「固定」はありません。  拳も固定されていると馬の口にガツガツ当たります。上級者の馬術では、馬の口が動いているように見えません。が、銅像のように固まっているとはどうしても考えられません。絶対動いています。なのに拳を固定するものだとしたらどうでしょう。ハミに当たります。 「赤ちゃんの肌に吸い付くような」拳とは、馬の口の動きに合わせて動いているのです。固く握っていても、それが出来るなら、柔らかい拳と言うことです。オイオイ今さらですね。  どこかに書きまし

        馬楽の時間 170

          馬楽の時間 166

           口にガツガツ当たると馬は辛いですよね。「拳の力を抜けー」とよく注意されます。それを考えてみましょう。  赤ちゃんの肌に吸い付くような拳を得たいものです。  強く握ると固くなります。かと言って弱いと手綱が滑ってしまいます。  滑らない程度に握って、力を抜く。難しそうですね。  ちょっと視点を変えます。 「こぶし」だけじゃなく、腕全体を見てみましょう。馬の口と騎手の肘が一直線になるようにすると効率がいいですね。効率がいいと使う力が少なくて済みます。そこで、拳と肘までの前腕部を手

          馬楽の時間 166

          馬楽の時間 16

           じゃあ、やる気が起きるのはどんな人、時?  私の場合。よく見てくれる。よく聞いてくれる。レベルに合った指導をしてくれる。「こんなことも出来ないのか」とは絶対言わない。褒めてくれる。理論に一貫性がある。よく勉強している。一方的に否定しない。言われた通りやるといい結果が出る。偉そうにしない。作業を一緒にやってくれ る。馬場の整備が上手い。経験をひけらかさない。実力主義。柔軟な考え方。馬を大事にする。何でも興味を持ち一緒にやってくれる。  さて、推進のヒントがありますか?  馬が

          馬楽の時間 16

          馬楽の時間 164

          推進について  同じく、加える力を出来るだけ少なくしたいものです。  推進について再確認しましょう。推進は騎手の役割。ではそれに対して馬の役割は何でしょう?「前に出る」。正解。でも、いくら脚を使っても前へ出てくれないことありますね。他の人が乗るとすいすい前へ出たりして。もう泣きたくなりますね。私も学生くんたちに「先生、脚、使ってるんですか?」と質問されました。私が乗ると、学生くんたちが前へ出せない馬が、気持ちよさそうに自分から動くんです。空を飛ぶんです。何故?  もう少し整理

          馬楽の時間 164

          馬楽の時間 163

          停止のつづき  常歩から止まるのを想像して下さい。  何かのきっかけで馬が止まると、予測していないと、乗ってる人は前にのめりますね。停止は騎手が合図を送るので、前にのめることはありません。  と言うことは、馬を前に出す力が働いているはずです。慣性の法則。  停止の時はそのくらい僅かの力で十分だと考えます。  私の長年の経験と感覚です。異論はあるでしょうね。でも試してみてください。出来るだけ加える力を少なくするんです。  馬は「止まって肢をそろえればいいんでしょ」と言ってるはず

          馬楽の時間 163

          馬楽の時間 162

           調教の章を終わります。これからは思いつくまま書きます。  停止について。  停止も長いこと随分悩みました。上手く出来ませんでした。  まず四肢がそろわない。ハミ受けが出来て適度な推進があれば、四肢がそろった停止が出来ると習ったが、が、出来ない。  ピットボーイで何百回もやってみましたが、が、出来ませんでした。  疑問。当然ですよね。まぐれで出来る時もあったが、確率は低い。  競走馬あがりの馬は、肢をそろえない。写真を撮る時四肢が見えるようにずらすからでしょう。  まず、そ

          馬楽の時間 162

          馬楽の時間 161

          妄想劇場  今研究中のことを特別にお話します。口外無用ですよ。  重心について。これも本に書いたような気がします。 「推進を強くすると、後躯が体下に沈み込み、結果前躯が浮く」と習いました。もうこの理論は古いですか?  何度も何度もやってみましたが上手くいきません。推進を強くすると前へ出ます。前へ出ることを望んでいないので、ハミ受けが強くなります。要するに引かなきゃならない。引くと馬の重心は前がかりになります。  意図するところではありません。  ここからは仮説です。  順番が

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          馬楽の時間 160

          調教を休んで、妄想劇場へ誘います。  musicを音楽とした人は天才ですね。音を楽しむ。音学、音を学ぶとしなかった。学ぶとしていたら、固くて楽しめなかったかも知れません。 「馬楽」もいいでしょう。私のパソコンでは、「ばがく」と打つと馬学ではなく馬楽と出ます。凄いでしょう。(単語登録したから)  ばがくが当たり前のように馬楽と認識されるようになったら、乗馬はもっと楽しくなるでしょうね。あと何年後かな?何十年後かな?  その時「『馬楽』と言う言葉は誰が作ったんだろう?天才だね」と

          馬楽の時間 160

          馬楽の時間 159

          調教  調教の目的は何でしょう?何度も言ってきましたが、乗りやすい馬にすることと思います。反応がいいのも乗りやすさの1つです。  勿論体力も必要です。柔軟性も欲しいですね。  いいフォームでいい運動をする中で得られます。これは騎手に求められることと似ていますね。  騎手の良い姿勢の条件は?  ① リラックス ② バランス ③フォロウイング  馬もリラックスした運動が大事です。見た目にはのびのびした感じです。強制された動きではなく、自分から動いているようなのがいいです。顎を引い

          馬楽の時間 159

          馬楽の時間 158

          祝日でお休み   私のレッスンを受けてみませんか。  ご希望があればこちらからお伺いいたします。旅費、宿泊費などの実費は頂きます。  講師料は出来高払いでもいいです。勿論高い方がいいです。面白いと思ったら高くして下さい。  所属の乗馬クラブの許可が必要ですね。この許可はなかなか頂けません。  それも良く分かります。私はきっとそれまで教えていたことと違うことを言うでしょう。それはクラブとしては困りますね。顔がつぶれる。  良く分かると言うのは嘘です。良く分かりません。  私は大

          馬楽の時間 158

          馬楽の時間 157

           156の「事故訓練」は「自己訓練」の間違いです。ごめんなさい。 調教 「気を付け」について。反応を良くするために。  気を付けは手綱を取って、姿勢を正すだけでは不十分です。  英語では、アテンション(attention)です。飛行機に乗ると「アテンション プリーズ」とアナウンスがあります。「お知らせがあります、こちらに注意して下さい」。馬との関係も同じです。アテンションプリーズです。 「これから運動を始めるよ、準備はいいかな?」と馬に注意を促します。  それに対して、馬から

          馬楽の時間 157

          馬楽の時間 156

          調教  反応を良くしたいですね。  打てば響くような反応。扶助を何度も出さなきゃならないとか、強くしなきゃならないとかじゃ楽しくないですね。前回も触れましたが、軽い扶助でふわっと反応して欲しいものです。  その為には、騎手の反応がいいことが絶対条件です。当たり前ですね。  説教臭いと嫌わないで下さい。自分の反応を良くするには、乗馬以外のことも意識するといいと思います。例えばスポーツ。他が全くダメで乗馬だけ素晴らしく上手とはならないでしょう。どうするかと言うと、他のスポーツにも

          馬楽の時間 156

          馬楽の時間 155

          調教  扶助は軽ければ軽いほど完成度が高いと言えますね。  ここで実験。これも何処かに書きました。  友達に横に並んで立ってもらい歩きます。打ち合わせなしです。  スピードを上げると、友達も上げます。下げると、友達も下げます。止まると、止まります。打ち合わせなしです。友達とは繋がっていません。  是非やってみて下さい。  扶助もこうしたいものです。出来ます。馬には乗るんですから。ぴったり密着しています。だから騎手の僅かな変化を馬は感じてくれます。  今日初めて馬に乗りましたと

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