馬楽の時間 162

 調教の章を終わります。これからは思いつくまま書きます。

 停止について。
 停止も長いこと随分悩みました。上手く出来ませんでした。
 まず四肢がそろわない。ハミ受けが出来て適度な推進があれば、四肢がそろった停止が出来ると習ったが、が、出来ない。
 ピットボーイで何百回もやってみましたが、が、出来ませんでした。
 疑問。当然ですよね。まぐれで出来る時もあったが、確率は低い。
 競走馬あがりの馬は、肢をそろえない。写真を撮る時四肢が見えるようにずらすからでしょう。
 まず、そこから。つまり立つときは必ず四肢をそろえる。洗い場に繋ぐとき、曳馬で止まって立つとき。鞭で触って直す。常に直す。
 騎乗しての停止も、鏡の前で止まり必ず直す。乗っても乗らなくても必ずそろえる。何年もかかりました。ピットは見事にそろえてくれるようになりました。
 四肢をそろえて立つのは、調教と言うより、躾だと思います。
 ピットは長手綱で止まっても四肢をそろえてくれました。映像もあります。と言うことは、ハミ受けがどうの、推進がどうのと言うのも怪しいですね。怪しいついでに、後肢が踏み込んでとまらなきゃと言われたのも疑問。
 ワールドクラスの人馬の演技を何度も見ました。今は映像があるので勉強になります。半世紀前は写真しかなかった。ともかく、言われるほど後肢が踏み込んでいるように見えません。現在はそれを望んでいないのかも知れません。昔も望んでいなかったのかも知れません。
 それで、停止の時の推進にも疑問。つづく。

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