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「メイラード反応」はスパイスカレーに必要か?

スパイスカレーを作るときに「炒める」と言う作業が何回か登場する。まずはオイルでホールスパイスをテンパリングする。ニンニク生姜、そして玉ねぎを炒める。特に玉ねぎに関してはメイラード反応により色がつくまでしっかり炒める。ときには少し焦げる寸前位まで炒めることによって更にコクも甘味も出て美味しくなる。
次にトマトもオイルの力を使って、鍋の中の温度を高く保って炒めることにより、旨みや甘みが引き出せ酸味を抑えることができる。
僕の場合はその後に加えるパウダースパイスも少し炒めることにしている。パウダースパイスは焦げやすいので火加減には注意が必要だが、さらにスパイスの香りを引き出す事ができていると思う。

このようにして、いつもスパイスカレーを作っていて、家族はもちろん、たまには友人たちを招いて作るところから披露したりしていて、自分なりには概ね好評を博していると思っている。

ただ少し最近気になっている、何かと話題の「メイラード反応は本当に必要なのだろうか?」という問題があり、今回はそれを検証してみることにした。

市販のルーを使っていわゆるジャパニーズカレーを作るときは炒めると言う工程は一般的にはあまり重要視されていない。ほぼ煮込み料理でおいしいカレーができるので、炒めると言う作業がなくてもスパイスカレーも美味しくなるのではないかと考える。
もっとも、市販のルーにはメイラード反応のときの旨みなどが既に含まれていると考えるべきであって、必ずしもメイラード反応がゼロのカレーを作っているわけでは無いことは確かなのだが。

さて検証である。スパイスカレーの基本の材料はいつもと同じにして鍋に蓋をして、炒めると言う工程をゼロにして煮込みだけでチキンカレーを作ってみた。蓋がカタカタいったら弱火でしばし煮込んでみた。出来上がりは予想していた通り、もちろん美味しそうな見た目のスパイスカレーに仕上がった。若干色の濃さが無い感じはするがこれはこれで美味しそうなカレーだ。追いスパイスは普段もあまりしないので無しで食べてみることにした。

さてこれを私だけではなく家族にも食べてもらった。感想はどうだろう?もちろん家族なので忌憚のない意見が聞けることは間違いない。
僕もまず一口食べてみる。
あれ?香りがない。同じ材料を入れているはずなのに、コクもない。家族からはカレー色した何かわからぬ煮込み料理を食べているようだと言われた。
不思議なものである。炒めるという少し面倒くさい工程(もちろん作る時はそれを楽しんでいるのだが)を省くとこんなにも違うものか!?
あらかじめネットでも色々と調べていると、こういう作り方をしても美味しいカレーができるといった記述をしている人も目にしていたのである程度は期待していたのだけど、その期待は今回のカレーに関しては裏切られることになった。

なにせ初めての実験なので、工夫を重ねればもっと美味しくなるのかもしれない。でも少なくとも何か分量に間違いがあったわけでもないし、炒めるという工程はとても大事なんだなという結論に達した。
スパイスカレー以外にも料理はジャンル問わずよく作るが、やはりメイラード反応によって美味しくなることは経験で感じている。肉や魚もそうだし、野菜だってそうだ。スパイスカレーもやはり王道の作り方が一番美味しくできると確信した。

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