性善説のビジネスモデル

先日読んだ実験思考で面白かったのは、光本さんは性善説を前提にサービスを作っていることです。これが最高に面白いし共感しました。

だって今の世の中のサービスのほとんどは性悪説でできています。

・無賃乗車をさせない為に自動改札機を導入する
・未払いを防ぐために決済が完了して商品が届く
・入場料を払ってから施設に入る

いわゆる前払いですね。ほとんどのサービスはお金を払ってからでないと利用できません。サービス利用後にお金を払ってもらえなければ事業が成り立たないからです。

一方、光本さんの手掛けている「CASH」「TRAVEL Now」は後払いの考え方です。「CASH」は買取サービスなのですが、商品にスマホをかざすと買取金額が表示されて、実行ボタンを押すとスグに入金されます。商品は後から郵送するというサービスです。
性悪説の場合、お金だけ受け取って商品送らない場合がでてくると考えます。でも実際はほとんどの人がちゃんと商品を送ってきているようです。ビジネスとしても回っているようなので凄いですよね。

僕が以前、管理するコストの記事で書いたのですが、「社員を管理すると膨大なコストがかかる」という考えと同じだと思いました。日報や行動報告など部下を管理する時間は本来無駄な時間です。これも社員は管理しないとサボるという性悪説に基づいたものだと考えられます。

お客さんを無条件で信じることで、管理するためのコストを減らせることも大きなメリットですね。

ただ、性善説の難しいところは、人の行動もセットでデザインする必要があることです。人間には悪の心も善の心もあるので、悪の心が動かないような工夫がいるのですね。

例えば、CASHの場合ならお金だけもらって商品を送らなければ、一時的にお金がただで手に入る訳です。でも不正の為サービス利用は出来なくなります。これは長期的に考えれば、サービスが使えなくなる損失の方が大きいかもしれません。また、正しく使ってもらえる人にインセンティブを与えるということもできるかもしれません。

これは全てのサービスにおいて重要な考えだと思います。でも頭で理解しても実際にやることは難しいと思います。だからこそチャンスかもしれませんね。



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