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【a-48】殺戮の狂詩曲 中山七里 著 読書メモ

オーディブル。
弁護士御子柴礼司シリーズの6作目。

今作は、思想犯の弁護をする話。
高齢者や障害者の介護施設に勤める介護職員がその居住者たちを次々に殺害するところから始まる。

被告は自分がやったことは社会正義だと言ってのける。
社会の負担となりなんのメリットも生まない、まして介護スタッフに横暴な振る舞いをする。まさに上級国民(例の池袋プリウスミサイル事件が引用されてたりする)
そんなやつらは、なるべく早くこの世から退場してもらうに越したことはないという説明。

しかし、被害者遺族の話を集めていくと、やはり多くは悼まれていた。一部例外はあれど。
それを突きつけると徐々に被告にも迷いが生まれていく。
その中で、その思想が植え付けられた背景を探っていき、なんと遺族の中にその教祖が存在したことが判明。
被告の死刑判決は免れなかったが、検察側にもダメージを与える結末となった。

このテーマは自分も半ば本気で考えたことがある。
生きていくのに多くが求められる時代になってしまった。というか、社会保障の受け皿を広げすぎて自然の摂理に反しているのかもと思う今日この頃。
結局は、今の状況を有難いと思い続けて、傲慢にならず、可能な範囲で社会に還元する意識を構成員全員が持つことが持続可能性を高めるんだろう。

とにかく、常に自分の境遇に対して怒りを抱えていると簡単に誰かの思想に操られるというのは、既にTwitterでも日常になってるし気を付けないといけない。

相変わらず、めちゃくちゃ面白かった。

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