雨宿りの魔法
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その少年は魔法使いだった。
自分で制御することのできないその魔法を、少年は嫌っていた。
魔法が使えるなら、昔話のように美しく幸せな魔法がよかった。
少年の瞳が涙で滲むと、空が泣き出した。
ぽつぽつと降り注ぐ雨。それが少年の魔法。
雨が降るたび、周りの人間が少年のせいにする。
次第にそれは少年を遠ざけるようになった。「だって君がいたら雨が降るじゃないか」って。好きで降らせているわけじゃないのに。
「雨、降ってきちゃったね」
俯く少年の隣で、いつの間にか雨宿りをしにきていた少女がそうつぶやいた。
「・・・ごめん」
きっと彼女も、僕を嫌っているのだろう。
無意識に責められていると感じた少年は特に考えることなく謝った。
けれど少女は、どこか楽しそうに言った。
「なんで謝るの?こんなに素敵な雨なのに」
少年は思わず顔を上げた。
少女は雨に濡れた髪をタオルで拭きながら、笑っていた。
「こうやって君と雨宿りできるんだから、素敵な魔法でしょ?」
知らない少女の言葉に、少年は戸惑いつつも笑った。
その瞬間、差し込んだ暖かい光。伸びていく虹色の橋を見て、少年は思わず目を輝かせた。僕の魔法は、こんなにも美しかっただろうか。
今まで悩んでいたことが一瞬で消えた、少女の笑顔。
その少女にお礼を言おうとした少年は、何よりも美しいその笑顔に言葉を失ってうなずいていた。
「ね。だから言ったでしょ?君の魔法は素敵だって」
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