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評価軸

こんにちは。

昨今、多くのサービスに口コミレビューが機能として盛り込まれており、サービスを利用する際に参考とすることで、その利用を検討することも多くなりました。
ウェブサービスが発達する以前は、それこそ本当に口コミでありましたが、今では誰もがその評判を確認することが出来ます。
どこまで信用するかは人それぞれではありますが、口コミの数が多いほど多くの情報を獲得できるため、判断材料としては有効だと思います。
つまり、多くの人に接点があるサービスほど利用者も増え、口コミも増える傾向にあります。
では、多くの人に接点を持つためにはどのようにしたら良いかを考えると、まず第一に利用しやすいことが挙げられます。
価格帯が低いサービスは必然的に利用しやすくなります。
また、生活において必需品であれば利用せざるを得ないので、その頻度は上がることは考えられます。
建築においてそれらを考慮すると、必需品ではありますので、何かしらの形で誰もがサービスを受ける機会はあるでしょう。
しかし、高価格帯であるため人生の中でその回数は決して多くはないこと、そして古くからある産業であるためサービス提供者の数が多く、まとまった口コミというのは集まりにくいのが実情のように思えます。
歴史が長いか、大手の提供者ほど口コミが集まりやすく、それ以外となるとなかなか評判を確認することが難しいと思います。

少し話は変わりますが、私の仕事では多くの協力会社に仕事を依頼して、建築というサービスを造り上げることになります。
ビジネス上の話ですが、やはり私も協力会社からサービスを受ける立場にあるということです。
最終的には私が提供するサービスの品質に関わるため、良いサービスを提供してくれる方が当然良く、会社の選定というのは信頼できることが大きな理由となります。
建築を最終的に造る作業は、職人によるものです。
そのため、腕の良い職人であること、設計の意図を汲んでくれること、さらに計画の不備やより良い計画への提案までしてくれれば最高の職人と言えるでしょう。
もちろん、人当たりが良く言葉遣いにも配慮してくれたりすればなお有り難いと言えますが、他人と揉めたり迷惑をかけるようなことがなければ私は気にしません。
逆に言えば、人当たりが良くても腕がまぁまぁであれば発注しないことの方が多くなります。
それはそうだろと思われる方も多くいらっしゃると思いますが、では建築の品質が良いというのを正確に評価出来る方がどれほどいるでしょうか?
また、品質の良い建築が良い評価を絶対に受けると言えるでしょうか?

例えば、ユニクロの服を各々の価値基準で判断することは多くの方が出来ると思います。
価格以上に品質が高い、価格なりのデザイン性だ、これなら別のお店の方が良いなど。
ファッションであると必需品な上に、ユニクロくらいの価格帯であれば手に取る機会も多くなります。
そのため、経験値も上がり個人にとっての評価も出来るし、最終的に世間での評価も把握するに至ります。
しかし、建築では同じことが言えないと私は感じます。
価格に対してサービスが妥当か否かを判断する時に、技術的に優れているかを判断するのは経験値的には難しくなります。
おそらく多くのサービスは一定クオリティが確保されていますが、そこから先の良し悪しはプロか一定の方々しか判断が難しいでしょう。
また、デザインに関しても同じことが言えると思います。
もちろんファッションについてもプロからの視点では、一定のレベルから素人では判断のつかない内容はありますが、そのレベルは建築と比べれば非常に高いと思います。
最終的には、消費者が満足すれば良いサービスだと言える側面はありますが、大局を見れば根拠のない健康食品や真偽が不明な報道とも通ずるところがあります。
一方で、どんなに技術的にもデザイン性も優れていると一部から評価されても売れないサービスでは、世間から評価を受けることはありません。
結論を言えば価格が妥当であり、付加価値の高いサービスが評価を受けるわけですが、あらゆるジャンルのサービス間には評価をするための経験値に大きな差があると思います。

誰もがあらゆるサービスに対して、豊富な知識や経験値を持っているわけではありません。
ファッションは得意でも食に関してはさっぱりということもあり得るでしょう。
建築に詳しくても機械類には暗いという方もいらっしゃると思います。
ご自身の評価軸がどこにあるのか、そしてそのレベルがどの程度なのかをわかっていないとおそらく世間の評価を信じてしまうかと思います。
レベルは経験値があれば確実に上がります。
ただ、学習することでも上げられると私は思います。
生地の種類はなんなのか、その特徴は、生地ごとの相場差は、トレンドのデザインか、体型に合う形状かなどです。
元々建築に関しては、情報が少なかったりアクセスしにくい状況でしたが、以前よりはだいぶ民主化されました。
良いサービスを受けるためには、残念ながら消費者として評価軸のレベルを向上させることが必要です。
レベルが上がれば、そのサービスの良し悪しを誤魔化されずに判断することが出来るでしょう。
売れているものが必ずしも良いサービスとは限りません。
また、高品質というだけでは良いサービスだということにもなりません。
鍛えられた評価軸を駆使して、正確な情報を得た上で、サービスの良し悪しを判断出来るようになることが本当の意味で満足した購入となると思います。
まずは欲しいサービスに対して、ご自身がどれほど知識や経験値があるかを把握してみることから始めてみることをおすすめします。

では、また。

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