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生活の建築知識.75

おはようございます。

祖母の家はブロック塀で囲われた一軒家であったが、最近ブロック塀からフェンスに取り替えました。
取り替えた最大の理由は老朽化です。
過去にブロック塀が倒壊して、人命を奪ってしまった事故がありました。
それ以降基準の見直しやその遵守が求められました。
祖母の家は高さこそ1m程度ではありましたが、いつ設置したのかも分からずかなり古いものでありました。
古いブロック塀は撤去して新たにフェンスを設けたのですが、皆様もブロック塀やフェンスを設置もしくはやりかえたいとお考えの方がいると思いますので、今回はそちらを説明していきます。

まずはブロック塀を設置するための流れを説明します。
ブロック塀を設置するためには、その足元に基礎が必要となります。
基礎は地面を掘り下げて、地盤面から深さ30cm以上・丈30cm以上の鉄筋コンクリート基礎を設けることが基準となります。
基礎から鉄筋を40cm〜80cmで立ち上げておき、コンクリートブロックを差し込みモルタルも充填していきながら上に積んでいきます。
ブロック塀の厚みは12cm以上として、高さが6段(H1200mm)以下であればそのまま積むことができます。
それ以上の高さとする場合、控えが必要となります。
控えとはブロック塀とは直行に奥行40cmの倒れ留めのことです。
ブロック塀で造築できる最大高さは11段(2200mm)までとなり、その時はブロックの厚みも15cmとしなければいけません。
このように、高さや大きさに応じた基準を遵守する必要があり、ある程度敷地に余裕がないとクリアすることは出来ません。

次にフェンスを設置する流れを説明します。
フェンスにも基礎が必要となり、各製品によってその基準が異なります。
また、設置の仕方も基礎に直接設置するのか、ブロック塀を数段積んでから設置するのかによって高さの制限も異なってきます。
フェンスはブロック塀とは異なり、軽量であることから高さを出すことが可能となりますが、その時に風圧を考慮する必要が出てきます。
あまり隙間がない形状のフェンスであると風圧を受けやすくなるため、あまり高さを出すのには向いていないことになります。
一方で、隙間が大きいフェンスであれば高さを出すことが可能にはなりますが、目隠しとしての機能は低下する傾向にあります。
フェンスは、基礎もしくはブロック塀に柱を差し込みモルタルで固定します。
その柱に対してパネルを設置することで完成するので、ブロック塀への設置でなければ工程も短く取付を行えることとなります。

ブロック塀のやりかえについては、全て撤去して一からやり直しとなりますが、フェンスの場合は既存フェンスを撤去したのち、基礎もしくはブロック塀に柱設置用の穴を開けて(コア抜き)、新たに柱を建て直すところから出来るので、こちらもフェンスの方がやりやすいと言えるでしょう。

地震の多い日本では、ブロック塀の倒壊は起こらないことではなく、いざ倒壊したら非常に危険なため地震の際は近づかないことをおすすめします。
また、特に郊外になると昔の宅地開発の名残で多くの基準を満たしていないブロック塀が存在しており、老朽化も進んでいるため触っただけで揺れてしまうようなものも見受けられます。
施工をする立場としては、隣地との境界線に関係するため、トラブルになるケースも多く、手を出すこと自体が億劫になってしまうのも現実的にあります。
しかし、もし古いブロック塀があり、少しでも心配されるようであれば頃合いで変更することを是非おすすめします。
災害での被害は、状況によってどのようなものになるかは予知しきれませんが、少なくとも要因となりそうな箇所を減らすことで安心感も得られるのではないでしょうか。

外部のこととなるとなかなか意識も届きづらくなるのは想像できますが、側から見た時にはその家の雰囲気を左右するものでもあります。
安全と美観の面から一度ご検討をしてみてはいかがでしょうか。

では、また。

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