メンタル

スポーツの醍醐味は人間ドラマだと思っている。
スポーツは技術を競うものだ。技術に感情は必要ない。むしろ感情が邪魔ですらある。状況を判断し最適な解決策を出す。究極はそれだけの話なんだけど、人間は感情から切り離せない。ひとつのプレイにいくつもの迷い、ためらい、決意がある。その決意はおれの感情を揺さぶる。人間性や性格を知っている選手なら余計に、だ。

ある程度息子が上手くなってからはメンタル的なもののアドバイスが多くなってきた。おれはサッカー未経験だからあまり技術のことがわからない。試合後や練習後にその日のコーチの指示や指摘の翻訳をみたいなことをしたりもするが、バスケ出身のおれからのアドバイスは、同じスポーツ選手としてのメンタル的なものばかりだ。試合の入り方、きついときの頑張り方、心が折れそうなときの立て直し方。はっきり言って大人でも難しい。それどころかプロでも失敗するのが自分のメンタルの保ち方だ。
上手くいかない時に、それでもどう戦うか。
息子はサッカーを通して自分の心と戦っている。ある場面では大人のおれでも難しいシチュエーションもある。だけど息子はそれに挑まなければいけない。その姿は父であるおれを越えて行くようで見ていてワクワクするし、息子ながら尊敬してしまう。

サッカー(スポーツ)に関しては悪い感情も必要だと思う。コーチに叱られたとき、相手に止められたとき、試合に負けたとき、息子にきく。
「ムカつくだろ?悔しいだろ?」
息子はうなづく。
そしたらおれは言う。
「ならサッカーでころせ」

試合は人間性をあばく。裸の心が晒される。出来ること出来ないことが容赦なく露見し、見栄も虚勢も通用しない。サッカーで戦うしかない。

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