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東京五輪女子バスケチームは、2011年のなでしこジャパンを超えられるか

東京五輪での女子バスケの躍進を見ながら、2011年の女子ワールドカップを勝ち進んで行ったなでしこジャパンに雰囲気が似ているなと感じた。

フィジカルで不利な部分をいかに補うか。なでしこジャパンでいえば精度の高いパスワーク、女子バスケでいえば走ることと全員が3ポイントシュートを打てること。日本の武器を磨きに磨いて、独自のスタイルで勝ち上がっていく。そこにも確かに共通点はある。

しかし私が一番似ていると感じたのは、そこではない。チームが醸し出す「金メダルを獲る」という信念の強さだ。

2011年、ドイツに乗り込む前の国内最終合宿初日。報道陣の前に立ったなでしこジャパンのキャプテン宮間あや選手は、「ここからW杯が終わるまで、一日も、金メダルを獲るという目標を忘れず過ごしたい」とまっすぐな目で話した。マスコミ向けのリップサービスではない。この人は本気でそう信じている、と思った。それほど強い意志を感じた。

目が覚めた。気持ちが引き締まった。その言葉を聞くまで、私は「運が良ければメダル」くらいに考えていた。澤穂希選手も、そのときはまだ目標は「メダル」と話していたと記憶している。

宮間選手はそれからずっと、メディアに対してもチームに対しても、「金メダル」と言い続けた。実際に本人にどれくらいの確信があったのかはわからない。ただキャプテンが「金メダル」と言い続けることで、「目標はメダル」と言っていた選手が、少しずつ「金メダル」と口にするようになり、第1戦に臨むころには、チームの目標は完全に「金メダル」になっていた。

2020年1月に女子バスケのキャプテン、髙田真希選手にインタビューをする機会があった。トム・ホーバスヘッドコーチは就任当初から「東京五輪で金メダルを獲得する」ことを公言してきたが、髙田選手も「今のままでは(東京五輪で)金メダルに届かない。目標を見失わず、一日一日を無駄にせず過ごしていきたい」と話している。(スタンダード愛知vol35に記事掲載)

勝つための確かな戦術とぶれない強い信念。グループステージで敗戦を経験する。準々決勝を接戦でものにする。決勝の相手は絶対女王・アメリカ。何もかもが重なって見える。


WリーグとWEリーグが協力して、女子スポーツを「文化」に

私は2012年のロンドン五輪後、日本サッカー協会を辞め、現在はフリーでスポーツライター・カメラマンの仕事をしている。最初はサッカーがメインだったが、Bリーグ開幕して以降はバスケの仕事が半分くらいだ。サッカー愛も、バスケ愛も、同じくらいに強い。

W杯優勝後、空前の女子サッカーブームが起きた。正直、ドイツから帰国してからJFAを辞めるまではあまりに忙しすぎてあまり記憶がない。「女子サッカーを文化にしたい」という宮間選手の言葉を胸に全力を尽くしたつもりではあるが、もっと何かできたのではないかと、女子サッカーをブームで終わらせてしまった責任は少なからず感じている。おこがましくもあるが。

女子サッカーは2021年大きな転機を迎える。9月に日本初の女子プロサッカーリーグ「WEリーグ」が開幕するのだ。女子サッカー側の視点でいえば、Wリーグ(バスケ女子日本リーグ)にWEリーグの観客を奪われるのではという危機感はかなり強い。WEリーグは秋春制なので、Wリーグと開催時期がばっちり重なるのも不運だ。

今回の東京五輪での躍進を見込んでかどうかはわからないが、Wリーグは新会長に映画監督の河瀨直美さんを迎え入れるなど、体制強化を図っている。ブームで終わった女子サッカーを反面教師として、後発優位を発揮することも可能だ。

バスケットボールの2020年度の競技者登録数は、493,927人のうち、女子が209,430人と40%以上を占める。一方サッカーは818,414人の登録選手のうち、女子はわずか27,249人。サッカーには圧倒不利な状況である。

女子バスケにとっては大きなチャンス、女子サッカーにとっては大きなピンチを迎えていると言える。とはいえ、どちらの競技も、男子と環境や報酬面などでの雲泥の格差があるのは事実で、パイを奪い合っている場合ではない。

高田選手は、味の素ナショナルトレーニングセンターでの合宿中、隣の西が丘サッカー場で満員の観客を前にプレーする、なでしこリーグのオールスター戦を目の当たりにしして、「バスケットボールをメジャーにしたい」という思いを強くしたという。(aispo!インタビューより)


目標にしてきたなでしこジャパンと肩を並べた女子バスケ日本代表。女性スポーツを根付かせるため、協力しあいながら「文化」を作っていってほしいと切に願っている。

WEリーグはWomen Empowerment Leagueの略であり、設立の意義の第1に「 日本の女性活躍社会を牽引する」、第2に「日本に「女性プロスポーツ」を根付かせる」を掲げている」のだから。



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