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リトアニアのビルシュトナスに行ったワケ・4

「長いよなぁ、もっとまとめてくれない?」そう思われても仕方あるまい。
「しかし、こっちにも言論の自由がある」と妄想の反論をしてみよう。さて、これまで1から3まで書いてきたがまだビルシュトナスの1日は終わっていない。なんならまだこの日の経験としては半分くらいだ。

「どんなんだっけ?」「そもそも読んでない」と言う方のために↓の1から3までをどうぞ。

3の最後に、読者をヤキモキさせていたのだ。

このスパに来た目的と言っても過言ではない「琥珀スパ(Amber SPA)」だ。

琥珀スパの前の扉

この扉を開ければ琥珀スパのお出ましだ。
しかし琥珀スパとはなんだろうか、琥珀がどろどろ溶けている中に入るのだろうか?
なぜ琥珀か。それはリトアニアが接するバルト海沿岸の特産物。それが琥珀なのだ。琥珀は松の樹液が固まって長い間かかって海の中から見つけ出される天然の樹脂である。石のように見えるが石ではない。
今でもバルト海の沿岸を探すとラッキーだと見つかるそうだ。日本では岩手県の久慈市が琥珀の産地として有名だ。実はリトアニアのクライペダと久慈市は琥珀で繋がる姉妹都市として交流している。

リトアニアのクライペダよりも採れるのがロシアの飛地であるカリーニングラードのバルト海沿岸だ。ウクライナ戦争前は世界中に輸出されていたのだった。

そう言うわけで、バルト三国またはフィンランドで琥珀を買うのであればリトアニアの琥珀がお買い得である。
さて、琥珀スパはどんな状態なのだろうかと、扉を開けた。

琥珀スパのロビー

まるで美しいサロンのようなロビーに至る所に琥珀が敷き詰められている。中国の皇帝が座っていたような椅子の座面や足を置く台にまで琥珀が敷き詰められ、下からライトでその美しさを主張していた。
よく見るとランプや受付台まで琥珀だった。
「お待ちしていましたよ」と優しいスタッフさんが英語で対応してくれた。ヴィリニュスで購入した競泳水着の出番が来た。

琥珀サウナ→湿度の高いじめっとした部屋→シャワー浴びる→琥珀サウナ→シャワー・・・という順番でぐるぐると1時間の間に自分が好きな部屋に移る。もちろんこの時間は他に利用する人はおらず、完全に独占できる。

琥珀サウナ
琥珀サウナの中の飾りも琥珀

琥珀のサウナ室にも玉座のような琥珀が敷き詰められたベンチがあるので、横になることもできるし座ることもできる。
ここにおよそ20分ほどいる。その間にドリンクが運ばれてきた。

レモンとハーブが入った体に良さそうなお茶(そして美味しい)

確かにサウナに入る時は水があると発汗を促してくれる作用があるため、ありがたかった。
次の部屋はとにかく湿度300%と言うくらいの蒸気がたくさん出ている部屋だった。面白いのが宇宙のような照明が色を自動で変えて癒しを与えてくれるような感じがした。タイルのベンチに座り、ひたすら湿気と暑さに耐える状況を過ごす。

湿気と熱気がすごい部屋

先ほどいただいたレモンハーブティーがよかったのかドバッと汗が出る。「もう出よう」と思ったら向かいのシャワールームへ向かう。
シャワールームは2つあり、どう違うのかはよくわからなかったが、サウナとじめっと高湿度の部屋で出た汗をスッキリ流す仕組みだ。

2番目のシャワー

私がこのシャワーの中でとりわけ気に入ったのは、設置されていたボディシャンプーの香りだった。

大人の香りがするボディソープ(語彙力に問題あり!)

色はまさに琥珀色のボディソープで洗うと、なぜか琥珀に包まれたような気持ちになった。
琥珀は石ではないため、冷たさは感じず、アクセサリーにしても肌に触ったとしても冷たくないのが利点。琥珀を触るとリラックス効果があるとどこかで聞いたことがあるが、これだけの琥珀に触れているのだから癒され効果があるだろう。

琥珀サウナからシャワーへの流れを3回転ほど行ったところで、ちょうど1時間経った。水着を脱ぎ、ガウンを羽織り施術室へと案内された。
この日泥に入ったり、ミネラルウォーターに浮かんだり、蒸されたりと皮膚が完全に緩んでいるはずだ。こんなことを1年に1度くらいやったら私の寿命は5歳くらい長くなるかもしれない。「もうそろそろ終わりでしょ」
と、思ったのも束の間、更にマッサージルームに入っていた。人生の中でもこれだけ多くのスパを1日で体験したことはない。

琥珀が壁面に輝く施術室

紙のパンツ一丁になり、女性のマッサージ師の方は英語は話さなかったが、身振り手振りで困ることなく全て意思疎通できるものなのだ。ベッドに横になりほとんど空気と体の境目がなくなるくらい揉まれ、最終的には不覚にも寝てしまっていた。極楽浄土から無事帰還した私は、施術室前の椅子に案内され、お茶をいただいた。

マッサージ室から出たところからの景色
見えにくいがガラスのティーポットの中にも琥珀が入っている

琥珀サウナからのマッサージの極楽フルコースを提供してくれたスタッフさんもまた、リトアニアリネンのワンピースを着て癒される笑顔で終始対応してくれたのだった。

琥珀サウナ&スパ担当スタッフのお二人

日頃、私はバルト三国へ行くときは仕事なので、Tシャツにパンツ、スニーカー姿のノーメイクだ。ビルシュトナスの琥珀スパでは「美容にも気を使いなさいよ」という啓示だったのではないかと悟った。


琥珀スパが終わった私は、さすがに揉まれすぎてヘロヘロになっていた。
だがこの極楽は別のステージへ進むことになったのだ。

ここまで読んでいただいた皆様、ありがとうございます。この後も旅の話をたくさん書いて参りますのでぜひ「いいね」&フォローをお待ちしています。

↓続きの5です。

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