明後日が見えないコロナに向けて

いつも、何か辛いこと・悩んでること・モヤモヤする事があったときは、真夜中に走りにいくことが多かった。寝る前に走る事は体に良くないと言われているが、僕の中では、気持ちも体もスッキリするし、走っている最中に、その時々の課題を切り開くアイデアがわいてくるので、そんな一般論はお構い無しだ。


学生時代から自覚しているストレス解消法で、今日もコロナの影響で売上が激減している現状や、この先に対する不安があるから、無になりたくて今夜も走りにいった。


深夜の音のない住宅街に、自分のリズミカルな足音だけが響いて、とても気持ちいい。今でも5000m14分で走れそうな、軽くて正確なリズムだ。ポジティブな気持ちがどんどん沸いてくるのが分かる。メモ帳がないので、溢れでるアイデアがこぼれ落ちてしまいそうだ。


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もうじき、悪夢の全焼火災から一年が経とうとしているが、4月30日に火災が起こり、最初の一週間は、容疑者に対する怒り・先が全く見えなくなった未来への不安・人としての一線を超え、何でもアリになってしまった容疑者 (昔の常連と推測している)に対する恐怖。


色んな想いが交錯して、本当に倒れそうなくらいメンタルがしんどかった。今、振り返ってもよく倒れなかったと思う。


そんな状況だから、もちろんクライミングどころではなかったけど、真夜中のジョギングだけは体が欲して、毎日続けていた。常に倦怠感に包まれているのが、走り終わったときは、少し楽になっているのを感じ、メンタルもポジティブになるのを感じていた。


一寸先が闇になって、自分の生活費・再起できる可能性・焼きつくされた店舗の解体費。考えるべきことが複雑に絡み合って、明後日することの予定がたてられないくらいで、明日のことは明日考え、ただ目の前に現れる課題をクリアしていくように努めた。



そんな状況でも割と俯瞰して、少し先を見つめていた自分もいて、

【苦難を前向きに捉えて進む姿】をSNSであえて発信することで、再起したときのファンを作ろうと思い、火災の翌日から、精力的に動く様子を綴っていった。


容疑者の情報を集め、整理して、警察が捜査しやすくなるように、一週間かけて、A4用紙20枚にわたる【逮捕計画書】なるものをまとめて、担当の刑事さんに提出した。その後、物件探しのために東奔西走。自分なりの【開業計画書】をまとめていった。二つのプロジェクトに取り組んだ感が強烈に残っている。


あのとき、想い描いていた未来は
🌑容疑者が僕の逮捕計画書によって捕まり、僕はテレビで会見をする。警察から感謝状をもらう。

🌑全国的に有名になった自分はクラウドファンディングで5000万のお金を集め、5000万(15年間・月30万返済)の融資を成功させて、計1億円で再建する。


大言壮語すぎることくらい自分でも分かっていたので、さすがに大きく未来はズレてしまったが、全く予想しない紆余曲折な道のりを楽しんでこれた。


○容疑者は別件で捕まるが、放火では証拠が見つからず、別件の逮捕も執行猶予か何かで釈放。悔しいけど、容疑者が欲しかった、仲間・信頼はもう二度と手に入ることはないから、復讐心はない。

○同じ場所で再建するつもりだったから穏便に済ませたい僕は、大家さんの提示する条件を飲み、解体費約250万を全額僕が持つ

○偶然にもクライミングジムに適した倉庫がまた見つかり、2000万弱の融資を受け再起することを決める。

○前店舗の大家さんにも、移転することを告げ、後押しをされる

○たまたま再起した場所が駅前だったこともあり、昨年末に伊賀鉄道からネーミングライツ契約を持ちかけられ、僕もすぐに前向きな返事をする。

○今年4月に比土駅に『バンブーボルダリング前』という副駅名が付けられる



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再起してからは、銀行に提出した開業計画書通りに概ね進み、例年売上が一番に下がる2月も、移転してからの最高売上をマークした。3月から売上は例年上がってくるから、春からガンガン仕掛けていく予定をしていた。


その中でも、自分のチャレンジとて、

○電車のアナウンスの変更にかかる諸経費150万円のクラウドファンディング(次は~バンブーボルダリング前~、とアナウンスを変更したい)

○ホールド大量購入するための200万のクラウドファンディング

にチャレンジするつもりだった。


火災からの復帰で、伊賀や広域にもファンはできた感覚はあるのでクラウドファンディングにチャレンジしたかったのだが、基本的にクラウドファンディングは、世の中の景気がよいときにするものらしいので、こんなご時世では、失敗するだろう。だからクラファン計画は見送りだ。


3月の売上も移転してからの初めての赤字を出し、4月の売上は激減しているので、こんな状況が続けば、正直、自分の店だってヤバい。


しかしながら、一度、店を完全に無くしてしまって【死んだことのある身】としては、悩める日常でさえ【続いていること】が何よりいとおしいことだって本当に思っている。どんな業種も、沢山のクライミングジムも苦境にたたされていると思うけど、職業にやりがいを感じて、続けていきたいと思うならば、どんな手段を使っても、続けていくべきだ。


当然、僕は何があっても続けていくつもりなので、コロナショックも乗り越えるべきものとして前提があって、乗り越えたあとに、どのように攻めていくかの『先の未来』もうっすらと考えている。


コロナショックは、とても複雑に絡み合っている感はあり、僕にとっての火災からの復帰と同様、明後日するべきことすら見えづらい状況だが、まずは【明日やるべきこと】を積み重ねて、楽しみながら乗り越えていくつもりである。



















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