人へのこわさみたいなもの

人が輪郭を持つと、なぜだか急に逃げたくなるようなおそろしさを感じることがある。

顔や身体がくっきりとあらわれると、現実に帰ってきたように、熱がすぅっと冷める感覚になることがある。

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顔が見えず、なんてことないリアルな日常を垣間見ることなく、画面越しにするやり取りでなら心の内をさらせても、対面だと見えそうな感情やしぐさに本音を飲み込んだり。

本を読んで、なんてすてきな考えを持った人なんだろうと思っても、著者紹介の写真を見て「この人も人間だ」と気づき、それなら良いところばかりではないんだろうとふくらんだ気持ちがしぼんだり。

なんというか、相手の輪郭がはっきりするほどに想像しやすくなるからか、「人間」の感情の悪い面への警戒心が出てくるというか。

なんというか、「人間」という生き物に、過剰な期待はしない方がいいとセーブがかかるというか。

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それは、拾ってしまう感情のゆれ、透けてしまいそうな思考が、自分自身に被さってきそうでこわいのかもしれない。

ただ、嫌われるといった拒絶の反応を見ることや、期待しすぎて落胆することがこわいのかもしれない。

触れる温かさと安らぎを知りながらも、距離のある冷たさと楽さに気持ちが凪ぐことがあるのも、また事実。

最後まで読んでくれて、ありがとうございました( ˊᵕˋ* ) よかったら、また読みに来てください!