野球部員のこと
私が国語教師だったとき、研修室から野球部の部室が直近でした。昼休みは部室前に部員が集まって弁当を食べているので、
「おーい、弁当うまいかー?」
「おいしいでーす!」
そんな声かけをしていると、生徒が質問や相談をしやすくなります。
野球部員は、抜群に成績の良い生徒から、落第点スレスレの生徒まで、学力は色々です。
テスト前に赤点スレスレの生徒が
「せんせーい!おれ赤点だったらレギュラーはずされるんですー!なんとかしてくださーい!」
と叫ぶので、
「勉強がんばれー」
と、返しました。
そして後でこっそり成績の良い野球部員に「教えてやったら?」と言いました。
すると、野球部は伝統的に教え合う勉強会をやると言われました。赤点で追試や補習を受けていたらその生徒の練習時間が減るからです。野球はチームワークが大事だから、欠けるのは困るんだそうで。
テストの採点で、野球部はひとりも赤点がいなかったので、私は窓から「おーい」と呼びかけて練習開始前に集まり始めていた当の生徒に「丸」のポーズを取ったら、
「0点っすか?!」
「違うよ、オーケーだよ、もう少し自分を信じてやれ~」
生徒は日焼けで真っ黒な顔で「やった!」と白い歯を見せました。
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