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4P=一貫性、これはマーケティング界のE=mc2?

前回は4Pのフレームワークから始めるべきではないと書きました。

例えば、ポジショニングで価格と商品はある程度決まってしまっているでしょう。SWOT分析で提供出来る商品や販売出来る場所も制限されていると思います。

このように4Pのうちの大半は販売の最終段階であるその前にある程度決まってしまっています。

しかしながら4Pは大切です。最後の戦いの方向の整合性が大きな力となります。その整合性をチェックするのに4Pは非常に役に立つのです。

具体的な例を出すとわかりやすいです。

スウェーデン発の家具屋、イケアにはどんなイメージがありますか?
きっと手頃な安い値段で買えるおしゃれな家具というイメージがあると思います。

・プライス
この時点で価格は家具店では安い値段に設定されていることが分かります。

・プロダクト
そして売るものは北欧風デザインの家具です。北欧風デザインでもシンプルでナチュラルなものに絞っています。トラディショナルテイストのゴテッとしたデザインの家具は売りません。全ての家具がスッキリしたデザインです。

・プロモーション
イケアに行った事がある人は分かりますが、店舗に入るとまずはショールームがズラッと展示してあります。ショールームの見せ方は独特でイケアの家具を使った実際の部屋やキッチンがならんでいます。
イケアを訪れた事がない人に分かりやすく言うと、ドリフのコントのセットが沢山並んでいる感じです。

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そして家具には商品番号が付いていて、それをメモする注文表と鉛筆が置いてあります。
また大きさの表示だけではなくて実際の長さが実感出来る紙製の使い捨てメジャーが沢山置いてあります。これにより店員を呼ぶ必要がなくなります。実際、店員はほとんど見かけません。
ショールームを抜けると倉庫になっています。そこには平積みされた組み立て前の家具が効率よく並んでいます。
ショールムームでメモした番号を見れば簡単に商品が見つかります。

・プロダクトに戻る
プロダクトは全て組み立てが必要です。スッキリしたデザインの家具ばかりなので隙間なく平積み出来るように分解してあります。
むしろ、設計者は平たくする工夫をして家具を開発しなければなりません。
このように在庫管理の為にスペースをとらず、しかもお客様が倉庫から運び出しやすく車に積みやすいデザインにしてあります。ここにも従業員はほぼ見当たらりません。顧客が自分で倉庫から撮り出して荷台でレジに持っていく方式です。

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・プレイス
顧客は倉庫から勝手に組み立て前の家具を持ってレジで料金を払います。その後、駐車場に停めた自分の車で自宅に運びます。
顧客は自分の車で運びますので店舗は車で来店しやすい場所です。しかも、大型の駐車場が必要になります。

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・再びプロモーション
顧客は持ち帰った家具キットを自分で組み立てます。
現在自分で家具を作るDIYが流行っています。イケアの製品には組み立てに必要な工具は全てセットになっていますが。家具を組み立て、設置するときにあると便利な工具も合わせて販売しています。
自分で家具を組みたて部屋を作り上げる行為自体を楽しみとして全面に押し出しすプロモーションに成功しています。
自分で組み立てる手間がむしろ付加価値として定着していることが調査によるデータにしっかり現れています。

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・最後にまたプライス
これらの最初に低いプライスを設定したため、低価格にするために様々な制約が出てきます。
家具の見せ方が実際の部屋のようになっているので使い方に疑問が出ません。限りなく案内要員を少なくする事で人件費を削減しています。
自分で組み立ててもらうことによってプライスは下がります。
自分で自宅に持ち帰っていただくためコンパクトにし、在庫の保管場所節約のために形状は板のようなフラットに統一しました。
車で来店する必要があるので不動産価格に優位性がある郊外に店舗を構えます。

一貫性
イケアの4Pを分析すると以上のように一貫性があることがはっきり分かります。これら4Pを一つずつ分析して設定する事は可能でしょうか?おそらく不可能でしょう。
これが「4Pから始めるな」と主張した理由です。

4Pはそれぞれを独立して設定するのは無理ですし、一貫性が損なわれる可能性があります。「4Pイコール一貫性」と呼んでも良いかもしれません。

4Pのフレームワークは一貫性のチェック、もしくはちょっとしてアイディア出しに使用するのが最適だと考えます。


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