数ヶ月間、市中感染のなかったベトナムだけれど、先月末の南部解放記念日(ベトナム戦争終結の記念日)前後から、再びコロナが再燃してきた。

事の発端は、中国からの不法入国者が持ち込んだことに加え、外国(主に日本)からの帰国者が、隔離期間終了後に陽性反応を示し、接触者に感染したことと見られている。

僕の住むハノイでは、5月8日時点で、連休前の4月29日からの合計感染者は72人とのことだ。日本から見ればたわいもない数字かもしれないけれど、長いことコロナを封じ込めてきたベトナムからすれば、短期間でのこの人数は、市民が危機感を抱くのには十分だ。

感染経路の一つである外国からの帰国者、そのおよそ半数が日本からということで、日本人の僕としては、肩身が狭いというか、もっと正直に言えば、差別的な扱いを受けるのでは? という不安も多少はあったのだけれど、今のところ、そのようなことは一度もない。

アパートの大家さんはじめ、近所の人たちは、僕が日本人だとうことを知ってているけれど、特に今までと態度が変わった様子はない。当たり前かもしれないけれど、これは実にすごいことだと思う。

1年と少し前、ちょうどコロナウイルスが猛威を振るいはじめようとしていた頃、僕は日本に一時帰国していた。

ニュースでは連日、中国武漢からの感染拡大が懸念されているとのニュースが流れ、街中では、中国人はもとより、華僑や華人と見られる外国籍の人々にまで、一部の心ない人たちによって、差別的な発言及び扱いがされていたようだ。

誰しもが、主観を取り除いて、100%客観的に物事を俯瞰することは不可能だけれど、もし僕が中国人で、あの時、日本にいたらと思うと、恐ろしくなった。と同時に、ベトナムという国に生きる人々の懐の深さを感じている。