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VR楽器「isonote」 〜概要・紹介編〜

紹介

久しぶりの完全な個人制作として、VR楽器をつくりました。

VRChatのこちらのワールドにて誰でも演奏可能です。
ただしVR Onlyなので、VR機器が必須です。VR機器をお持ちの方は、ぜひ一度演奏しに行ってみてください!

どんな楽器?

この楽器は「演奏技術がなかったり音楽理論があまりわからないという人が適当に弾いても、なぜかいい感じになる」楽器です。
とくに、なぜかJAZZっぽくなります。

具体的には、以下のような楽器です。

  • 木琴のように2本のバチで打面を叩くことで音が鳴る。単純。

  • ただし、(現実とは異なり)打面が互いに重なっているため、1本のバチで同時に3音まで鳴らせる。つまりコードも弾ける。

  • ただし、(現実とは異なり)バチが打面にぶつからずにすり抜けるので、スライド奏法的に弾ける。

  • ちょっと特殊な音の配列になっている。

  • 楽器のサイズ、高さ、角度は、それぞれのアバター身長や体型にあわせて弾きやすいように調節ができる。

もちろん、VRで演奏するというのはVR特有の操作の難しさがあるので、特定の曲、とくにピアノとかギターとか既存の楽器用につくられた曲を弾くとなると一定の習熟が必要ではあります。
ただ、適当にいい感じに弾くだけなら、以下の動画にあるコツさえ押さえれば、本当に、1分あれば誰でも弾けます。

もしすでに一度行って難しかったと感じた方も、このコツを知った上でもう一度行ってみてください。たぶんなんか弾けます。

なぜ適当でもいい感じになるのか?

理由は、特殊な音の配列にあります。
とてもとても簡単にいうと、

  • 関係の深い音が近くにあるので、近くを弾いていれば調子ハズレにならない。

  • 全部の音が均質にならんでいるので、どこから弾いても全く同じ動きで弾けばいい。

というのが肝です。

この楽器を構想・制作するにあたって、実は一年前くらいから空き時間に音や音楽理論についてちょっとずつ学んできました。あれこれ試行錯誤した結果行きついたのが、この三角形グリッドに並んだ音の配列です。

ちなみに、公開してからTwitter上の反応をもとに知ったのだけど、この配列は127年前に考案された“Wicki–Hayden note layout”というものと全く一緒でした。まぁ、たった12音の音の配列方法なんて、100年以上前からあらゆるプロの音楽家が研究し尽くしているはずで、むしろ「おぉ出発点の問題意識が一緒だと同じ解にたどりつくんだな!」と軽く感動しました。

詳しい解説や数学的な説明については、この概要・紹介編のあとに続く別の記事で、興味のある人は「深い話」につきあっていただければと思います。

さいごに、なぜつくったのか?

私は元々音楽が好きで、とくにここ10年はコンテンポラリー・ジャズが好きな人間です。特にギタリストのKurt Rosenwinkelが好きです。
…というと急に高尚な感じがしちゃうかもですが、平たく言うと「複雑だけどなぜか美しいもの」が好きで、単に現代のジャズの演奏家たちが「複雑だけどなぜか美しいもの」の異常探求者集団なので、その界隈を探っては新しいもの変だけど刺さるものを見つけて「おほぉ〜」とか言っているだけです。

ただ、ずぅっっっっっと「結局これどうなってるの?」という疑問がつきまとっていました。複雑なコード進行、複雑にアウトしていくフレーズ(※アウトは調子はずれの音をあえて盛り込んでいくこと的な意味ですたぶん)、自分では演奏もできず音楽理論も学んでいないので、当然全く理解できません。わけわかめです。

(この人たちが何やってるのか、多少なりとも理解したい…)
(あわよくば、わからないのに弾けるようになりたい…)

それが、この楽器をつくった根源的なモチベーションです。

そしてもうひとつ欠かせないのが、2019年ごろVRChatで出会った、らくとあいすさんの「VR楽器」という概念、新しい経験です。VRなら既存の楽器にとらわれることなく、自分の好きなように楽器ごとつくれちゃうんだという発見。単純にいつか自分もつくりたいと思っていました。
そんなこんなで、ずっとあーでもないこーでもないと長時間音について考えた結果「isonote」ができあがりました。

改めて、ぜひ触ってみて、感想や改善案などあればtwitter宛にください!

次>>  VR楽器『isonote』 〜深い話編〜

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