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デジタルマーケティングの本質

このところ、「Webマーケティング」「デジタルマーケティング」について考える機会があったので、今の時点で自分の考えているところを書いておきます。つらつらと考えることをそのまま言葉にしていきますので、少し長い文章になりそうですが、「デジタルマーケティングの本質」と称して、2024年現在の思考をまとめるために備忘録としてnoteに残しておきます。


はじめに

はじめに、「Webマーケティング」と「デジタルマーケティング」の違いですが、両者とも、ほぼ同じような使われ方をしているようです。自分なりに、また、いろいろな本やセミナーで聴いた話の要素も取り入れて、整理してみます。

まず「マーケティング」の定義ですが、一言でまとめてみると「売れる仕組みづくり」です。ただ「マーケティング」を手がける側からのスタンスとして自戒をこめて書きますが、誰のための「仕組みづくり」かと言えば、「売らんがための」仕組みではなく、あくまでもお客様、顧客のために「仕組みづくり」を手がけていることを忘れてはいけません。その意味でより誠実に定義すると「顧客にとって価値ある商品を届けるための仕組みづくり」です。

次に呼び方として「Webマーケティング」なのか「デジタルマーケティング」なのか、ですが、その「仕組みづくり」に、インターネット上のサービスを活用するイメージが「Webマーケティング」、インターネットに限らずデジタル技術やスマホやパソコンといった機器を活用するイメージが「デジタルマーケティング」でしょうか。若干ですが、汎用的な印象を受ける「デジタルマーケティング」という呼び方に、今回は統一します。

そして、「デジタルマーケティング」に関して、今回のnoteでは、どのようなデジタル技術、アプリを使えばいいのか、スマホ対応はどうすればいいのか、といった個別の手法というより、前提となる考え方、「デジタルマーケティングの本質」について、今回は以下の3つのポイントにまとめてみました。

デジタルマーケティングの本質 3つのポイント

  1. 顧客とのやりとりをデジタルにより効率化できる

  2. 情報の徹底開示が求められる

  3. 経済規模の大きさによる有利・不利は存在する


1. 顧客とのやりとりをデジタルにより効率化できる

今も昔も、ビジネスは人と人との繋がりにより生み出されるものです。今回の文章は、主に「デジタルマーケティング」の対象としてB to B(主にBusiness=企業間取引によるもの)の事業を想定していますが、顧客との接点も、直接会って熱意を持って話す以上の手段はありません。ただし、直接会うことは、時によって、とても非効率であることもあります。

ここで考えるべきなのは「誰にとって非効率」なのか、ということです。「顧客」にとってです。
「事業者側」を念頭に考えていくと、「非効率だが、自分たちががんばればいい話」としてデジタル技術を保留・否定する方向に話が進んでいくおそれがあります。
あくまでも「マーケティング」とは「顧客にとって価値ある商品を届けるための仕組みづくり」。「顧客にとって価値のある」商品であり、仕組みであることが前提です。
企業のホームページひとつとっても、企業がアピールするために存在するのではなく、顧客の利便性を高める目的が前提となります。

顧客が、どこに自分が求める情報があるかわからず、誰に会えば自分たちに役立つ情報を得られるのがわからなかった場合、インターネットの普及により「検索」することで、求める情報を得られるようになりました。

よって、ホームページの内容は、顧客から電話で問い合わせを受けたり、リアルで顧客と相対して説明したりする場合と同様に、わかりやすいものである必要があります。しかも、口頭での説明に10分かかる内容を、ホームページの文章や図解を1分見ればわかるようにすることで、顧客側の情報収集の時間を短縮することができます。つまり「デジタルによる効率化」です。

「なぜ事業者がデジタルマーケティングに取り組むのか」という出発点は、この「デジタル技術によって、顧客とのやりとりを効率化し、顧客の利便性を高めることができるかどうか」という視点です。

2. 情報の徹底開示が求められる

事業者が顧客に提供する価値ある商品やサービス。その価値は、事業者側から見ると「ノウハウ」とも言い換えることができます。
顧客とリアルで相対する場合、その「ノウハウ」をどう顧客に提供するかという段取りがあり、最初の一言目から重要な「ノウハウ」をいきなり話し出すということはあり得ません。まずは季節の挨拶、その後、顧客の抱える問題意識をじっくり傾聴した後、少しずつ「ノウハウ」を開示していく、という流れになります。

顧客の問題意識を知ること、また、自らの「ノウハウ」のどのような部分が顧客に刺さっているのか認識することは「デジタルマーケティング」を進める上でも重要です。ただその上で「デジタルマーケティング」の本質的な価値である「デジタルによる効率化」を最大化するため重要なことは「情報の徹底開示」です。

例えば企業のホームページで、どこまで「ノウハウ」を見せるかは悩むところです。顧客になってくれそうな人が、企業のホームページの「ノウハウ」を見ることで満足して、問い合わせもしてくれない。顧客どころか、同業他社がその「ノウハウ」を見ることで盗まれてしまうのではないか。そんなリスクを考えてしまうところですが、「どこまで見せるべきなのか」という質問には「全てわかりやすく開示する」というのが回答になります。

理由は2つあります。
まずたいていの場合、その企業が「自社だけのノウハウ」と考えている部分は、他社により、またなんらかのメディアの記事などにより、同様の内容がインターネット上に公開されているからです。もちろん発表前の学術論文や出願前の特許技術の中にしかないレべルのノウハウであれば開示できないかもしれませんが、そのような「ノウハウ」はごく限られたものです。ある問題意識を持っている潜在的な顧客層は、他社や他メディアで情報収集して、満足するだけです。

2つめは、潜在的な顧客層にとって刺さる「ノウハウ」を情報開示しない限り、事業者の発信は誰にも届かないからです。例えば、近い内容の「ノウハウ」を持つ競合のA社とB社があり、A社のホームページでは、A社の企業理念やイメージなどで、「ノウハウ」そのものではなく「ノウハウ」の「におわせ」程度にとどまっているのと比較して、B社では「ノウハウ」そのものを開示し、キーワードも明確に掲出しているとします。その場合、「検索」で出てくるのはB社のホームページです。
また「検索」している最中に、偶然、A社のホームページを訪問した人が、もし自分が求める「ノウハウ」を見つけられず「詳しくはお問い合わせください」とあった場合、「A社はイメージが良さそうだし、信頼できそうだから問い合わせてみよう」と考えて、わざわざ個人情報を入力してA社に問い合わせるよりも、単純にB社や他のサイトを探しに行ってしまう確率が高いです。

先ほど述べた顧客の利便性を高めるためにも、「どこまでノウハウをホームページ上で公開すべきか」考えるよりも「どのようにノウハウを公開すれば、顧客の利便性を上げることができるか」考える方が、デジタルマーケティングをより前向きに進められます。

3. 経済規模の大きさによる有利・不利は存在する

とは言え、企業イメージのアピールが「デジタルマーケティング」においても有利に働くことは事実です。単なるノウハウのにおわせ程度のイメージ動画でも、TVCMやネット広告を大量に出稿すれば、認知度があがり企業名や商品・サービス名で指名検索する人の数を増やすことはできます。

ただそれには費用がかかります。インターネットが普及しはじめた頃に、「個人商店でもネット上にショップを出店できて、大手と同じように全国に向けて商品を販売できる」という理由で、ネットショップがもてはやされた時代もありました。確かに、物理的に渋谷のスクランブル交差点に面した場所にお店を出せるのは極めて限られますが、インターネットという世界中の人々が行きかうスクランブル交差点のような空間に出店できるのは事実です。

ただし、ネット上で、大手企業が、渋谷のスクランブル交差点で派手な電光サインや巨大な看板を掲示するようなアピールをしている一方、中小の事業者が出せるのは、縦横数cmの企業名がかかれている表札程度のものです。いくら多くの人が行きかうスクランブル交差点でも、小さな表札に目をとめてくれる人はまずいません。よって、事業者がかけられる費用の範囲で、小さな表札を光らせてみたり、表札から音楽を流してみたり、表札の前で毎日チラシを配ってみたり、といった工夫が求められるわけです。

リアルワールドと同様に、「デジタルマーケティング」の世界でも、経済規模の大きさによる有利・不利は明確に存在します。
「デジタル」は魔法の杖ではありません。企業規模にかかわらず顧客に届くメッセージを伝えるには、顧客の問題意識をとらえ、自らの強みを活かし、ノウハウを徹底的にわかりやすく情報提供することが重要であり、「デジタルマーケティングの本質」だと考えるところです。

以上、本日は「デジタルマーケティング」について、考えていることをほんのさわり部分ですが、まとめてみました。なにかご感想などあればお聞かせください。長文に目をお通しいただき、ありがとうございました。


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